蜂蜜ロジック。
七瀬愁



 無題2-7

外灯が路上を照らし、家々には暖かな明かりが点いていて、それは俺の家も例外ではなかった。

兄二人はとうに帰っていたらしく、それぞれキッチンとリビングを占拠している。鍋の中を掻き回しているハル兄の背中に「ただいま」と告げれば、「お帰りー」と明るく返された。

銀に染めた緩やかな波を描く髪が、ライトに照らされて白く見える。煩いくらいアクセサリの類を付けたハル兄は、後ろから見ても派手なことこの上ない。

「シュウ、ちょっと」
「なに」

リビングのソファを陣取っていたナツ兄が、テレビ画面から目を離すことなく手招きをした。

「何だよ」
「お前、これ使う?」
「チケット……?」

映画のチケットかと思い手にすれば、テーマパークのフリーパスチケット、と教えられた。

「いらねえの」
「うん、ちょっと俺はね、こういうのあんまり興味ないし。でも捨てんのも何だし。せっかくだから誰かと行って来て」

俺の意向も聞かずに強引に渡すところが、ナツ兄らしい。
雑誌専属モデルという職に身を置くせいかやたらと顔が広く、こういう優待チケットもよく貰ってくる。これも、そういったものなんだろう。
だが、人混みが苦手な俺だって興味があるわけでもなく、立ったまま手にしたチケットをしばらく眺めていた。わりと有名な施設名だが、行ったことはない。

誰かと。

通常なら女でも誘って、となるのだろうが。ふとあの人の顔が浮かんで。
すぐに消える。いや、消した。

そんなことを考えていると、唐突に横から喧しい声が割り込んで来た。

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今年の更新は、明日ぐらいまでと思っていたのですが、急用が出来てしまいこれでもう終わりになるかと、思います。
今年もお世話になり、ありがとうございました。少し早いですが、良いお年を。

2007年12月28日(金)
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