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■ 無題2-7
外灯が路上を照らし、家々には暖かな明かりが点いていて、それは俺の家も例外ではなかった。
兄二人はとうに帰っていたらしく、それぞれキッチンとリビングを占拠している。鍋の中を掻き回しているハル兄の背中に「ただいま」と告げれば、「お帰りー」と明るく返された。
銀に染めた緩やかな波を描く髪が、ライトに照らされて白く見える。煩いくらいアクセサリの類を付けたハル兄は、後ろから見ても派手なことこの上ない。
「シュウ、ちょっと」 「なに」
リビングのソファを陣取っていたナツ兄が、テレビ画面から目を離すことなく手招きをした。
「何だよ」 「お前、これ使う?」 「チケット……?」
映画のチケットかと思い手にすれば、テーマパークのフリーパスチケット、と教えられた。
「いらねえの」 「うん、ちょっと俺はね、こういうのあんまり興味ないし。でも捨てんのも何だし。せっかくだから誰かと行って来て」
俺の意向も聞かずに強引に渡すところが、ナツ兄らしい。 雑誌専属モデルという職に身を置くせいかやたらと顔が広く、こういう優待チケットもよく貰ってくる。これも、そういったものなんだろう。 だが、人混みが苦手な俺だって興味があるわけでもなく、立ったまま手にしたチケットをしばらく眺めていた。わりと有名な施設名だが、行ったことはない。
誰かと。
通常なら女でも誘って、となるのだろうが。ふとあの人の顔が浮かんで。 すぐに消える。いや、消した。
そんなことを考えていると、唐突に横から喧しい声が割り込んで来た。
********** 今年の更新は、明日ぐらいまでと思っていたのですが、急用が出来てしまいこれでもう終わりになるかと、思います。 今年もお世話になり、ありがとうございました。少し早いですが、良いお年を。
2007年12月28日(金)
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