舌の色はピンク
DiaryINDEX|past|will
| 2022年02月05日(土) |
ホラーとエロゲ、区議会会議録、マッサラな自己 |
休日トーストを食べて洗濯。 OKストアで買いもの。 うだうだと本など読んだりしていたが 思い切ってチョコレート細工に手を出した。 チョコレート細工…。魔の道だ。 用意がものすごい面倒くさいし 実作業も面倒くさいし 後片付けにいたってはそれまでの面倒くささを全部足しても 到底かなわない面倒くささ。 しかも大抵上手くいかない…。 とりあえず用意として、OPPシートを二枚隙間なく並べて マスキングテープを裏から貼って合着させた。 チョコレートはひたすら刻んでボウルに入れる。 でも今回はテンパリングをかなりサボった。 2/3量を湯煎にかけて 本来なら50度まで温度を上げるわけだけど 少量だから温度取りづらいので感覚でやった。 で残りの1/3を入れて混ぜる。 光沢が出てきたような気がするからそれでヨシとして、 OPPシートに塗った。 今回は円形に形作りたいので スポンジ用の15cm型に巻く格好にしたのだけど 2枚分合着させた境目がくにゃりと折れて 我が野望はついえた。 この時点で手はチョコだらけだし。 それでも冬だから固まってくれるのが幸い。 目当ての形にはならないまでも、 曲線にはなったから見栄えはどうとでもなる。 あまりのチョコも適当にOPPシートに塗って くるりと曲げたりしておいて冷蔵庫にしまった。
昼飯はオーブンで焼くだけのピザを二枚。 マルゲリータとジェノヴェーゼ。 どちらも美味い。実に美味い。 一枚あたり200円程度でこの幸福感味わえるのは 現代の強みだよなあ健康には悪いけどな。
食後、妻は怖い話を読んでいた。 彼女は怖い話が好きなのだが、 怖がりたいわけではないらしい。 それどころか恐怖的演出が出てくると 嫌になってしまうとも。 そんな性情を長年見てきては 何言ってんだこの女と散々こけにしてきたけれども ようやく合点がいった。 僕にとってのエロゲーと同じなのだ。 そのジャンルで実現している作風が好きなだけで、 そのジャンルを規定する要素そのものを好んでいるわけではない、 むしろジャマですらある…という点で一致している。 すごいスッキリした。
僕は昨日こしらえたスポンジをカットし、 ダークチェリーを挟んで、 生クリームでナッペした。 なんか大分うまくいった。上手上手。
で西荻へ。 妻のリクエストに応じ、焼肉屋で ヤンニョムチキンをテイクアウトで買った。 注文してから会計でびっくり。 1740円! うそだろ…。ちょっとした持ち帰りメニューで 700円かいいトコ900円くらいとにらんでたので衝撃だった。 店内で5分ほど待ち、受け取ってみるとボリュームがある。 「温めるときは、あの、電子レンジで温めればいいですか?」 「うん? 冷たくても美味しいよ! ヤンニョムだからね」 僕はどう温めるのが美味しいのか聞きたいのだ…。 あとヤンニョムだからと言われても理屈がわからない…。 でもこういう理をすっとばした応答、好き。
できればさくらんぼかアメリカンチェリーを買いたかったが さすがに時期からずれていると見えて買えず。 フォレノワールのデコレーションにしてみたかっただけだから なくてもいいわけだけど。
帰宅後、フォレノワールを仕上げ。 刻んだチョコレートを上から散らし、 ミントを飾り立て、不揃いのチョコレート細工で囲う。 当初の予定とはずれたものの、 なかなか絵にはなった。 ケーキ表面に散らしたチョコレートが土のように広がり、 その端々からミントが生い茂っているようなビジュアル。 でダークチェリーがゴロゴロ並んでいる。 それなりに美しい。 しかしこの作業中に雪が降った。 ほんの一瞬だったが降った。 そのため急きょ洗濯物を取り込み、 ちょっとだけ手間取った。
がまぁ完成。 妻のカメラで写真に収めてもらい、 さらにコーヒーを淹れてもらっていただく。 美味しい…。 美味しいけど出来たてでまだ味が馴染んでおらず 甘みと酸味とが独立しているような感じ。 明日のほうがもっと美味しくなる。
それから腹の冷えているという妻に お吸い物をやって、 僕はだらだらとゲームしたり本読んだりをした。 本というのは真っ当な本ではなく会議録だ。 居住区の区議会の。 これが相当面白い。 図書館の新着図書コーナーに陳列されていて エッ貸してくれんのかよと思って手を出してみたわけだ。 まず国会中継や都議会中継なんかのテレビ映像と比べると こちらは全部文章だからカッタルサがない。 あと話題が身近で具体的。 施設がどうの、この前の計画の報告がどうの、 あの辺の道が、公園が、家賃がうんぬん。 しかし当たり前っちゃ当たり前だけど 問題にならない点は話題されないから 全文に渡って難点ばっかりが並んでいて オイこの辺問題ばっかじゃねーか と鼻白みそうになる。 そんなことはないのだけど。
地域の問題を把握するって大事だと思う。 そりゃそうだろうで流してはいけない。 やれ国交が、輸出入が、アメリカの株価が、 フランスの教育が、指定都市の地価がなどと 国内外の事情を小偉そうに語っていたところで、 自分の住んでいる地域のことを何も知らないんじゃ いまいち説得力に欠けるというか いやハッキリいおうすげえダセエよ。 実際、ビジネス市場で会社員をさんざんやってきたあげく、 定年退職した後に居住地域のことを 何も知らなくって取り残される年配者は多いと聞く。 ちょうカッチョ悪いと思うのだけど。 まあ僕は国内外の事情も地域の課題もろくに知りませんが。 危機感はある。強めの興味も。
夕飯、ヤンニョムチキン。 結局レンジで温めた。まぁ美味かった。 そしてボリュームがスサマジかった。 焼肉屋で出す量かコレ。 四人前だとしてもサブメニューとしては多いんじゃないか。 味は濃い。甘辛。かなり甘いし辛い。 唐揚げ風の鶏もも肉に… コチュジャンとケチャップと、 ハチミツあたりで甘みを足しているのかもしれない。 自分で作ってみたら改良していけそうだ。 しかしカロリーおばけだなこりゃ。
21時くらいまでノンビリして、 それから映画を観た。 バーバリアンズ。 セルビアの若きまなざしとかなんとかサブタイトルがついている。 予想よりも面白かった。 映像的には後姿のカットが印象的、町を踏み歩く姿がすてき。 部屋や道並みも美意識に則って切り取っている。 シナリオとしては、大きな展開はない。 なんにもない空っぽの非行的な青年、 なにがしたいことがあるわけでもなく なにやってもうまくいかない。 デモから発展した暴動についていきながら 警官隊と戦うよりもその辺の靴屋で盗みを働かこうとしている友達の方が よっぽど肉感のある生き方をしている。 結末が良かった。 何にもうまくいかず何も成し遂げられないまま 群れの中に出戻って匿名の青年となる…。 その表現手法によって、 現実にもあるであろうデモ隊、暴動隊を構成する一員が、 どこにでもいる青年(名無し、無個性、無属性)であると証されたようだった。
しかし妻はつまらんかったと酷評。 何も起こらなかった、 もっと起承転結のある映画かと思っていた、と。 アーハイハイこれがオシャレな映画なんでしょうねえ とくさしている。 僕が鑑賞後に感想を書き残している姿を見ても 「何書いてるの? 感想? つまらなかった、って?」 しかし、つまらないと思ったならつまらないと感想する。 これは重要なことだ。 自身の直感的な感想を、理性的な批評で上書きしてはいけない。
三島の対談集、読み直し終わってしまった。 やっぱ面白いな。どの部分をとっても。 野坂なんとかさん…火垂るの墓の原作者にあたる作家だったか。 彼の弁で、 自分はあんな反戦的なモノを書いているけれども、 どこかにはアメリカこの野郎もういっぺんやったるか、 核兵器がなんだ細菌兵器を太平洋にぶちまけてやるぞ、 という思いがあるというのが印象的だった。 また、三島の発言を受けてとはいえ 白人女に生殖器を突き立ててやりたいような衝動がある といった本音も吐露していて(言い方もっと露骨だったけど)、 しかし一方では、 もう戦争なんか嫌だ、もうあんな思いは金輪際ごめんだ、 という萎えた心もあるらしい。 三島が組織していた楯の会に真っ向から反するような いわば「日本男児らしからぬ情けなさ」を白状しているわけで、 かえってなんともはや強靭な人だと感服した。
自己を見つめる、自身に正直になる、 まっさらなスナオな本心をとらえる、 って難しいとつくづく思う。 僕はこの日記でなるべくそれをやってきている。 まっさらって醜かったり愚かだったり 論理的に破綻してたりするもんだ。 それを言葉で捕まえようとすると、どうしても秩序立ってしまいがち。 体裁調えたりもするし見栄もつきものだし。
ところで三島といえば一般には、 セルフプロモーションに優れた劇場型作家という見方がある。 彼の文体もあいまって、自己を”装飾的に”扱い、 本来の自分自身の弱さと高潔すぎる理念とのギャップに葛藤し、 …といった評論がされがちだが、僕はそうは思わない。 彼にとっては性情と理念は離反し難く癒着しきっている。 ギャップの生じる隙間もないほどに 性情と理念が無限連続体をなしている。 だから三島が 「自分は自身の政治思想を芸術に(小説に)込めていない」 というの、すごくわかる。 でも大抵の三島論は彼の小説から 政治思想までをすくいとろうとするんだよな。
本来のマッサラな自己そのものを見つめる、 という一つのアクションがあったとして、 三島の場合はそのアクションが起動したと同時に (即座にではなく同時に) 自己装飾が発生する。 仮面が素顔になりうるわけで、 これはこれで極致なのよな。
|