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■ ただ前に前に向かう旅
ANAもJALも大変だなあ。遠方への取材というものにすっかり倦んで、取材を断りたおしている今でこそ他人事だけど、同業種にとっては単発事故よりシステム障害のほうがよほど緊急事態だと思う。めまぐるしく飛び回ることがなくなって、何かの拍子に地方で通りすがった景色や匂いが泡のように浮かんでくることがある。日本か世界のどこかで見た、とるにたらない、たぶんもう二度と見ることのない景色。忘れてしまって思い出さない景色もきっとたくさんある。新しい景色が強烈にインプットされつづける状況だと、過去の情景を取り出して眺めたりする余裕はないんだね。仕事とはいえ津々浦々行かせてもらった経験はものすごく貴重だったのかもしれない。しかし「ある場所・ある時間に自分の身体を移動させておかなければ何もかもポシャる」というのはすごい恐怖だし、心身にかかるストレスは相当えぐいものがあった。ゆえにまた行きたい、とはまだ思えていない。
ということで遠くには行っていませんが、日帰りできる近畿圏内はけっこうぷらぷらしています。この1ヵ月でなぜか京都に4回行った。春画展とか原画展とか、書店めぐりとか。そして案の定というか思う壺というか、Kさんの強烈なプッシュにより着物にはまる。一昨年くらいから結婚式には訪問着で参列するようになったけど、礼装以外の着物の世界も奥深いですね。端的に泥沼です。そもそも1点ものに弱いヨーロッパ古着フリークが、アンティーク着物に流れるのはある意味ベタすぎるべタだったのかもしれない。そうなると目下の大問題が身長ですよ。165cmで着れる裄丈のアンティーク着物なんかまずない。でも今の柄行よりむかしの着物が好きなんや…。縮め俺の身長!
2016年04月01日(金)
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