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 お婿にいった四+カカのお話
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  ぱすてぃす〜前章
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  ぱすてぃす〜後朝 -18禁-

  猩々   おまけ -18禁-
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  マラスキーノ 後日談
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  らすてぃ・ねーる-12話
 ※4 に、テンカカ以外の絡みあり
  任務に出た二人
  カカシの過去を垣間見る

  恋女   後顧   おまけ
  ストーカー被害に合うテンゾウと
  嫉妬な先輩


  九夜十日
  イタチ里抜けのとき

  百年の恵み
  長期任務の小隊長を命じられるテン
  百年の孤独-6話
  初めての遠距離恋愛なテンカカ
  たーにんぐ・ぽいんと-8話
    テンゾウの帰還

   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
 テンゾウは……

 【1部】 だーてぃ・まざー-4話
 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
 【3部】 ぶれいぶ・ぶる7話
 【Epilogue】 そして、恋

  あふろでぃーて-5話 -キリリク話-
 くるみ


  a`la carte
  -暗部なテンカカとヤマカカの間話-

  春霞-4話
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  ちぇい・べっく
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4話
  ※2,3に、ごく軽くテンゾウ女体変化あり
  久しぶりのカカシとの任務
  聖牛の酒-3話
  波の国任務の少しあと
  てぃままん-3話
  波の国と中忍試験の間

  月読-5話 -キリリク話-
 月読の術に倒れたカカシを心配しつつ、
 イルカ先生の存在が気になるテンゾウ

  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
  惚れ直すテンゾウ
 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
 du chef
-ヤマカカな話-

  再会-Reunion-  第二部





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2009年03月14日(土)
カカシとテン子のバレンタインデイ 5)


「いらっしゃいませ」
「予約はしてないのですが、いいですか?」
「はい。どうぞ、こちらへ」
旧館の奥に位置するレストランは、夕方、お茶を飲んだティーラウンジとパティオを挟んで向かい合う位置にあった。そのパティオを臨む窓際の一番いい席に、ボクらは通された。
「へへ。テン子効果だね」
とカカシさんが笑う。
絶対、正装したカカシさん効果だと思うが、言わない。ご機嫌なカカシさんに下手に逆らって水を差すようなことはしないほうがいい。はたけカカシとの交際術、基本中の基本だ。

「とりあえず、軽く乾杯、ですかね」
席数およそ15ぐらいのこじんまりしたレストランだが、カジュアルでありながら落ち着いたつくりは居心地がいい。
部屋の何箇所かに太い柱が通っていて、それが目隠しの役目を果たしていて、どこに座っても3席ほどのこじんまりした空間になるようにデザインされている。
遅い時間の入店だったからか、客はほかに4組ほど。それももう、食事を終えてデザートを楽しんでいた。
だが、ラストオーダの時間にはまだ間がある。
ボクらは窓の外に見えるパティオの灯りを楽しみながら、シェリーで乾杯し、おまかせアンティ・パストの盛り合わせに、春キャベツとアンチョビのパスタ、そして金目鯛のソテーを平らげた。
「本日、ご来店のお客さまへのサービスです」
食後のエスプレッソコーヒーとともに供されたのは、チョコレートのムース。
こぶりなスプーンでひとさじすくって、味見がてら口に運ぶ。ほんのりとした甘さよりも、よほど濃く香るカカオ。
「甘くなくて、おいしいですよ」
ボクの言葉に、カカシさんがようやくスプーンを手にした。
「そっか。バレンタインデイだったんだっけ」
そう呟きながらムースをひとすくい。
「あ、ほんとだ、おいしい」
ふふ、と笑ってカカシさんは、ムースをすくったスプーンをボクの口元へ。
「はい、どーぞ」
あのね……と開きかけた口を閉ざして、ボクはため息ひとつ。
素早く周囲を見回し、だれもこちらを見ていないことを確かめる。
「あ〜ん」
と言うカカシさんにあわせ口を開く。差し入れられるスプーンに載せられたムースを味わう。
くやしいが、おいしいのだ、思わず、頬が緩んでしまうほど。
「では、お返しに」
ボクもすくいあげたムースをカカシさんの口元に。
けれど、カカシさんはニコニコしながら口をあけてパクとスプーンを咥える。

「お〜いし〜。テン子が食べさせてくれると、いっそうおいしいね」
そうだった。ボクは今、テン子姿だ。

普段だったら、グーで殴られているかもしれない行動を、テン子だというだけで許される。
理不尽だ、理不尽極まりない……と思いながらも、ボクは滅多に拝めないニッコニコのカカシさんの笑顔に、妥協するほかない。

どうせ自分の姿は自分で見えないのだ。
傍目にはバカップルよろしく、ムースを食べさせあうカカシさんとボクだった。

「会計は部屋につけといて」
伝票にサインをして、ボクらは席を立つ。
「あのパティオには出られるんですか?」
つい好奇心で聞いてみると
「はい。このレストランからも出ることができます。パティオを通ってお帰りになりますか?」
という答えが返って来た。
「いいね〜」
カカシさんもすっかりその気だ。
「こちらでございます」
柱の影のドアを開けてくれた。
「ありがとうございました。おやすみなさいませ」
「ごちそうさま」

ボクらは手をつないでパティオに出る。
中央に丸い池があり噴水が上がっていた。
ライトアップされた水が虹色のしぶきとなって飛び散る。
「こんなホテル、任務でもなければ泊まる機会もなかったね」
確かに木の葉の里の近辺には温泉を抱えた旅館はたくさんあり、なかには全室離れの高級旅館などもあるが、こういうホテルはない。
「テン子とデートもできたし」
ふふ、とカカシさんは含み笑いをした。
「付き合ってくれてありがとね」
そっぽを向きつぶやかれた小さな声は、あさっての夜の闇に吸い込まれていく。

あ〜、もうこのひとは!

相手をだまくらかすためのお世辞なら立て板に水のごとく出てくるし、それらしい演技もできる。
ボクも何度その手に乗せられて、危険な任務に駆り出されたことか。
なのに、どうしてこう……。

手を離してスタスタと歩いていくカカシさんの背を追いかけ、ボクは飛びついた。
テン子姿だからこそできる、大胆な行動だ。
でもこのときボクは心のそこからこのひとを愛しく思ってしまったのだ。

「わ、ちょっと何よ」
よろけるカカシさんが、肩越しに振り返り、それから困ったように笑った。
「楽しかったですよ」
「はは。顔と声はテン子でも口調はテンゾウだ」
「んー、じゃあ」
コホンと咳払いひとつ。ボクだってやればできる、できるんだ。

「楽しかったよ! おにいちゃん」

途端固まったカカシさんは急に目元をうるうるさせると抱きついたボクの腕からすり抜け、こちらを向いた。
やば、と思ったときは遅かった。
「テン子〜〜〜〜」
一声叫んだカカシさんにぎゅうぎゅうと羽交い絞めされ、窒息しかけたボクだった。

その夜?
は。ご想像におまかせします。もちろん、窒息しかけたお返しはたっぷりと、ね。

翌朝、カカシさんはいつもの逆立った髪に、それでも気を使ったのかアンダーの上にトレンチコートを着、ブーツを履いた。目は色つきのグラスで隠している。
余計あやしく見えるが、そこは指摘しないでおく。どことなくヨレっているのは、見ないふり。
ボクはもちろんテンゾウだ。
カカシさんとは異なりシャツにスラックスという私服姿で、上にステンカラーのコートを着た。
このボクを見て、昨日のミスターフィールドの奥方だとわかるひとはいまい。

チェックアウトのとき、カカシさんから離れたまたまロビーを通りかかった旅行者を装いつつ、ロビーを見回していると。
エレベーターの扉が開き、中から昨日の秘書軍団の一部、名前を知らない4人とツェット君が降りてきた。
バッチリ目が合うが、別にかまわない。長身金髪のスーツ姿が5人もそろっていれば、自然とそちらに目が行くというもの……と、ツカツカとツェット君が歩いてくる。

な、なんだ?
内心では動揺しつつ、そこは忍。表には出さず、ボクは「なんだこいつ」という顔でツェット君を見ていた。
「失礼。あの、どこかでお会いしませんでしたか?」
「さあ」
それでもマジマジとボクを見る。
と、もう一台のエレベータが開いて、アー君とほか4名の秘書君が降りてきた。ハー君はいない。
「何やってるんだ」
アー君がツェット君に声をかけ、ボクを見る。アー君の顔に浮かぶ、なんだこいつ、という表情。
「どなたかお知り合いに似ていたのではないかと」
と、ツェットくんがはっという顔をした。
「ミセス・フィールド!」
「あ? おまえ、この方のどこがミセスだ?」
アー君の突込みにもめげず、ツェットくんはボクに視線を合わせた。
「ミセス・フィールドのご縁戚の方ですか?」
内心、うっひゃ〜、と思いながら、ボクは首を傾げた。
「なんですか? それ」
「まったく、何を言ってるんだ。ほら、いくぞ。葬儀の準備で忙しいんだ。すみませんでしたね、旅のお方」
ツェット君より余程小柄なアー君にスーツの襟首を捕まれ、のけぞりながらツェット君は去っていった。

「や〜。勘のいいボウヤだったねえ」
ボソと背後からカカシさんの声。
「こういうこともありますから、カカシさん」
「ん〜」
「テン子を任務に引っ張り出すのは、考え物です」
「そうだね〜」
のんびりした声にほっとする間もなく。
「やっぱりテン子は、オレだけのものにしておいたほうがいいね〜」

……だめだ。てんでわかっちゃいない……。
きらびやかなホテルのロビーで、がっくりとうなだれるボクだった。


<了>

*二人の「めくるめく?夜」については、後日、おまけをアップしますので、しばしお待ちを!