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 お婿にいった四+カカのお話
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2009年03月09日(月)
カカシとテン子のバレンタインデイ 4)


廊下を進みエレベーターでロビーのある1階に降りる。
ボクらの宿泊階を悟られないための用心、というよりは、なんとなく口直しをしたい気分だったのだろう。
カカシさんの腹立ちは、よくわかる。
そう、ボクらはまんまと利用されたのだ。
「大切な客人の接待中、静止も聞かず乱入し、商談に水を差した」という口実をつくるためのコマに。
専務の側近やそれに連なる勢力に汚点をつけるための策だったのは間違いない。
そんな依頼は受けていないから、事前の打ち合わせもない。
もしかしたら、カカシさんは秘書アー君が登場した時点で何か感づいていたのかもしれないが。
それでも、載せられたのは間違いない。

「追加料金でも請求しましょうか?」
珍しくむっつりと黙ったままのカカシさんに声をかける。
「ん〜。ま、その必要はないんじゃない。これで、架空のミスター・フィールドが舞台から自然に退場するためのお膳立てが整ったんだから」
「あ、なるほど」
そっちの後始末の必要がなくなった、ということでもあるか。
「策士だよね。それぐらいじゃないと、あの規模の企業の手綱をとることはできないんだろうけど」
話しながらボクらはパティオを囲む廊下でつながっている、このホテルの旧館に来ていた。
高層の豪華絢爛な新館と異なり、こちらは低層ながらどっしりと重厚、それでいて華やかな雰囲気を備えていた。
「へえ、いいですね、あの天井」
きらびやかなシャンデリアの代わりに、鳥や花が描かれた天井に控えめなダウンライトが設置されている。
「あ、失敗した、こっちに部屋取ればよかったかも」
しばし、歴史の重みを感じさせる内装に目をこらしていると……。

「ミスター・フィールド!」
また背後から声が聞こえた。

見交わしたカカシさんの目には、はっきりと「うんざり」という表情。きっとボクも同じだっただろう。
しかし、先ほどのアー君でもハー君でもない、若々しくはあるが落ち着いた声だ。
振り向くとカカシさんと同じぐらい、もしかしたらもう少し高いかもしれない。とにかく長身の青年だ。やはり見事な金髪だが、先ほどのアーくんとは異なり硬質な感じのブロンド。
「失礼いたしました。秘書のツェットと申します」
「まだ、何か?」
明らかに不機嫌なカカシさんの声にもめげず、ツェット君は表情を変えない。ボクはちょっと好感をもった。
「先ほどは大変失礼いたしました。お詫びの印に、お部屋をおとりしましたので、今晩はゆっくりおくつろぎください、との社長からの伝言を預かって参りました」
振り返るツェット君の影に隠れるようにホテルのベルボーイがいた。
「本館の特別室をご用意させていただきました。かつて火の国と隠れ里が協定を結んだおり、その調印のために火の国を訪れた火影さまがご宿泊されたお部屋にございます。内装は新しくしておりますが、ベッド以外の調度品は当時のまま……」
「いえ、そんなご心配はご無用です」
火の国との調印と言うぐらいだから、木の葉隠れ里の草創期、つまり泊まったのは初代さまだろう。
そんな部屋など恐れ多い。という以前に、落ち着かないだろう、きっと。
とはいえ、ホテルのベルボーイもツェット君もボクらの正体を知らない。
「しかし……失礼したままでは」
あの社長はボクらの正体を知っている。ボクらが泊まるはずはないと読んでいる、ということか。
つまり、ここまでの気遣いをボクらが断る、イコール今回の話は破談。
最良とはいえないまでも、悪くないシナリオだ。だが……。
載せられたまま、というのは、やはり腹立たしい。

「でしたら」
ボクは少し見上げるようにしてツェット君を見る。テン子姿のとき、まっすぐ視線を合わせると、なぜかたいてい相手は困ったように目をそらせるのを学んでいたからだ。果たして、ツェット君もさりげなく視線を外した。
「お部屋を拝見するだけ、というのは、いかがでしょう?」
「は?」
「お気遣いはご無用と、主人も申しております。ですが、せっかくのお申し出。その由緒あるお部屋を拝見させていただいて、このたびの記念にしたいと思うのですが」
木の葉の里の歴史に触れる機会でもあるのだ。悪くないアイデアだと思う。
「ね? いかが? あなたのお仕事の参考にもなるでしょうし」
精一杯、機嫌よくカカシさんを見ると、なぜかカカシさんまで目を逸らせた。
「そうですね。妻の言うとおりかもしれません。お部屋を拝見して、それで手打ちといきましょう」

そしてボクらは、旧館の2階に上がった。
どっしりした一枚板を使った木のテーブル、それを囲むソファ、丁寧に細工をほどこされた木のライティングビューローや、コンシェルジュデスクが配置された部屋は、しかし思ったほどきらびやかではなかった。
落ち着いた雰囲気は、むしろ火影の執務室を連想させ、思わずボクは姿勢を正す。
「右手のドアの向こうがベッドルーム、左手のドアを開けると控えの間、となっております」
ボーイが説明しながらベッドルームに続くドアをあけた、と目に飛び込んできたのは、キングサイズのダブルベッド。
ちょっと、クラッときた。あんなベッドでカカシさんとあんなことやこんなこと……。
「その奥がバスルームでございます」
好奇心に駆られて覗いてみると、猫足のついた、スタイルは旧式だがピカピカなバスタブ。
うわ、と内心で声を上げる。
いつか映画で見たような気もするシーンが脳裏を過ぎる。こんなロマンティックなバスタブでバスバブルであわあわになった湯の中でカカシさんと……。
「行くよ」
憮然とした声に我に返る。
「あ、はい」
しかし、カカシさんもほんの少し頬を染めていたのを、ボクは見逃さなかった。

「では、せめてこれだけでも」
と差し出されたは、このホテルのバーの無料チケットらしい。会計が自動的に依頼主の部屋につけられることになっているようだ。そちらはカカシさんが受け取った。
「では、私はこれで失礼します」
結局、再び、豪華絢爛なロビーに戻り、秘書君と別れた。
彼の姿がエレベータに消えるや否や、もらったチケットがカカシさんの手の中で2つに裂ける。
「これにて、任務完了! っと」
くしゃと握りつぶした手を、スーツのズボンのポケットに突っ込んで、カカシさんはやれやれといった風にボクを振り返った。
いつもの逆立った毛ではなく、流れるようにセットされた髪が片方の目を隠している。覗いているほうの濃いグレーが、ボクを捉える。
「さて、と。どうする?」
さっさと着替えたいのが本音だったが、ボクが変化を解けば、きっとカカシさんもキレイにセットした髪をくしゃくしゃとかき混ぜて、いつものアンダーに着替えてしまうだろう。
天井のシャンデリアのきらめきを映して、青やら銀やらに光るスーツを見る。
もうちょっと、この姿のままでいてほしいような……。
いや、どんな姿形であってもカカシさんはカカシさんで、だから、外見がどうのこうのとこだわっているわけではない。
それでも、正装したカカシさんには思わず見惚れてしまう。そしてほんの少し、優越感にひたる。
こんなにかっこいいカカシさんを、いまのボクは独占しているのだ、という事実。
たとえ任務上の都合であっても、たとえボクがテン子姿であっても、嬉しい。不謹慎となじられようが、嬉しいものは嬉しいのだから、仕方がない。
などとぐるぐるするボクをよそに、カカシさんは
「腹減ってない?」
と、あっさり色気のない発言をしてくれた。

だが、言われてみれば……。
こういう神経を使う任務前にはあまり重たい食事をとらない、というわけで、カカシさんもボクも、朝食は兵糧丸をかじっただけ。パーティの席では皿にとっただけで何も食べていない。影分身だ、木分身だとチャクラを使う術を駆使し任務を終え、ティーラウンジで軽食をとったのが夕方。
その後、依頼主の部屋でご馳走になったディナーはフレンチのフルコースだったが、最近の流行なのか量は抑え目で味付けも軽かった。
中性脂肪だコレステロールだ血糖値だのを気にする企業のお偉い方たちに合わせているのだろう。正直、空腹に近い状態だったボクらには、少々上品すぎた感は否めない。
「そういえば、さっき行った旧館のほうにレストランがありましたよ」
「メインダイニングは新館の、あのフレンチだよね」
「別のレストランじゃないですか?」
ボクらは再び、旧館へと移動する。
「なんだか、いったりきたり」
「ですね」
言いながら笑みを交わす。

カカシさんはボクがテン子のままでいるからか、すっかり機嫌を直した様子だ。
ボクは、なるべく自分の姿――ワンピースのすそだとか袖だとかが視界に入らないようにしながら、安堵していた。
このひとの魂胆なんてわかっている。任務は任務だが、それを終えたあとテン子姿のボクと満足するまでデートするつもりでいたはずだ、そのために偽名で部屋までとったのだから。
途中、邪魔が入り、まさかの予定外任務となったが、終わりよければすべてよしとも言う。
切り替えの早いカカシさんは、ふんふんと鼻歌まで歌っている。

何はともあれ、カカシさんの機嫌のいいことが、ボクにとっての安息でもある。
ささやかな、しかし切実な……安息。
どうか、このひとときをだれも邪魔しないでくださいという気持ちでいっぱいだ。
アー君であれツェット君であれ、その間にいる20数名の秘書君であれ、もう、さようなら。
ボクらは、あなたたちとは縁のない人間に戻ります。