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 お婿にいった四+カカのお話
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  マラスキーノ 後日談
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  らすてぃ・ねーる-12話
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  恋女   後顧   おまけ
  ストーカー被害に合うテンゾウと
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  九夜十日
  イタチ里抜けのとき

  百年の恵み
  長期任務の小隊長を命じられるテン
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  初めての遠距離恋愛なテンカカ
  たーにんぐ・ぽいんと-8話
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   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
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 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
 【3部】 ぶれいぶ・ぶる7話
 【Epilogue】 そして、恋

  あふろでぃーて-5話 -キリリク話-
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  春霞-4話
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4話
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  久しぶりのカカシとの任務
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  波の国任務の少しあと
  てぃままん-3話
  波の国と中忍試験の間

  月読-5話 -キリリク話-
 月読の術に倒れたカカシを心配しつつ、
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  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
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 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
 du chef
-ヤマカカな話-

  再会-Reunion-  第二部





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2008年11月24日(月)
ぎむれっと――または、ろんぐ・ぐっどばい 34) Side K


――欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい……。
テンゾウの声にならない声が、一日中聞こえる。
本人は努めて隠そうとしているようだが、丸わかりだ。

こんなことは初めてなので、オレも戸惑う。
大蛇丸の実験のせいで押さえ込まれていた何かが、はじけたとしか思えない。
まるで10代まっさかりのような……。
記憶を封じられて尚、オレを求めるテンゾウに泣きたくなる。
ああ、オレってば、愛されてるじゃん、などとかつての弟子の口調を真似てみる。

オレの体力が完全に回復するころには、里からの指令も届くだろう。
そうしたら、テンゾウもオレも次の戦いに駆り出される。
そうなる前に。この穏やかな空気のなかで……。
黙々と日々、時を刻み生を営むこの村を、オレはとても好きになっていた。
だが、それもオレの日常が血塗られた忍のものだから、なのかもしれない。
それでも、今、この村にいることを許されている間に、テンゾウを求めて何が悪い?
本来、コイツはオレの恋人だった。
その過去を封じたのは里だ。仕方ないことだとは、わかっている。納得もしている。だが、オレだって血の通った人間だ。痛みは感じる。
だが、結局こうやってオレたちはまた、惹かれあった、そのことまで否定されたくはない。
何度引き裂かれようとも、その都度オレたちは出会い、恋に落ちる。ざまあ見ろ。
――と、まぁ鼻息荒く決意したものの、日々訪れる客人の相手に時が過ぎる。
まだ全快とまではいかないオレは、力尽きて床に伏す。
そして、テンゾウの「欲しい」という内なる声に揺さぶられるように、目を覚ます。
こいつ、自覚してないんだろうか? それは忍としてどうよ、と、いささか心配になる。

そんなこんなの3日目の夜。
珍しいことに、長だけでなくハギも訪ねてきた。モズは早めに帰し、まだそう夜も更けぬうちにハギが長を送っていくことになった。見送りのためにテンゾウが席を立つ。
その隙に、オレは多少だるさの残る体を起こした。とりあえず、座敷を片づける。
テンゾウは、体力の回復していないオレを気遣っているから、元気になったと思わせれば、きっと――。

「何してるんですか」
見送りから戻ったテンゾウは案の定、オレの行動を咎めた。
「別に、オレ、けが人じゃないし。今回は消耗したけれど、チャクラ切れは起こしていないし」
無難な言い訳を口にする。
「だって、日がな一日寝っころがって」
「こんな特別休暇みたいな日、こんどいつあるか」
ここが芝居のしどころだ。オレは、ニッコリ笑ってやった。途端に、テンゾウの眉間が険しくなる。
「ボクを心配させて、何が楽しいんですか」
ありゃ、やりすぎたかとは思ったが、今さら引くわけにはいかない。
「おまえを心配させるつもりは、ないよ」
「でも」
「テンゾウ」
テンゾウの言葉を遮る。繰言はもういい。オレは聞きたい。おまえの本心を。オレを求めるおまえの言葉を聞きたいんだ。
「何か、オレに言いたいことがあるでしょ?」

テンゾウは今度は、あわてて視線を逸らした。
「いえ」
どうしてそこで、ためらうのか、とオレのほうがじれったくなる。でも、こいつはこういうヤツだ。
「そう? なら、オレの勘違いか。ま、消耗したのは嘘じゃない、でも、おまえが心配するほどのことでもないんだ」
そう言って、オレは濡れた手を拭い、「寝るか」と座敷に上がった。
テンゾウも後に続く。
テンゾウが布団を敷き、オレがシーツをかける。
布の擦れる音だけが大きく聞こえるのは、二人とも無言だからだ。
夜具の支度が整うと、テンゾウは土間に降り、不自然な沈黙をごまかすかのようにことさらテキパキと顔を洗い口を漱ぎ、それから、しばし天井を見上げた。ただの煤けた天井だろうに……。
そして、オレはと言えば、そんなテンゾウの後姿を眺めていた。

ああ、そうか。
言いたいことがあるのは、オレも、だ。
オレこそ、まだ何も告げていないじゃないか。
まるで、欲しがりの子どものように、テンゾウから言ってくるのを待ちかねているだけで。
そうだ。
“このテンゾウ“は、オレとの過去など覚えていないのだから。

「テンゾウ」と呼びかけたオレの声と、「先輩」と振り向いたテンゾウの声が重なった。

ほの暗い土間に立つテンゾウの瞳は、ほとんど漆黒に見える。
だが、闇の黒ではなく、文字通り艶やかな漆の黒だ。
その目を見ていて、ふと思う。
たとえば、記憶を封じられたのがオレだったとして。
オレは、またテンゾウに惚れるだろうか。
自問しながら覗く瞳の底、いつも冷静なテンゾウが内に秘めている熱を感じる。
オレがナマクラになっていなければ、きっとテンゾウとの記憶をなくしていても、この熱を感知することはできるだろう。だったら、オレだって、たとえ記憶を封じられても、またテンゾウに惹かれる。

この秘めた熱に、心を奪われる。
それは、テンゾウという忍の核を成す熱――彼の内に消えず絶えず、常に燃え続ける火の意志だ。

皮肉なことだ、と思う。
テンゾウとオレを引き裂くのが、里の意志だったとして。
テンゾウとオレを、何より強く結びつけているのが、火の意志なのだ。
そうだ。
テンゾウもオレも、木の葉の里の忍として火を灯し続ける、そんな相手に惹かれたのだ。
もちろん、互いに言葉に出して確かめたことはない。
だが、オレたちの日々の大半は戦場だった。
振り返ると、たまの休暇を過ごしたあの日やこの日の記憶が蘇るが、それは”特別”だったからだ。
そして、思い返すまでもなく、オレたちが共に過ごした時間のほとんどは戦闘のなかだった。
当たり前だ。オレたちは木の葉の里の忍だから。
常に死と隣り合わせの世界で、だれよりも信じ、だれよりも頼り、だれよりも共に戦いたいと願ったのは……テンゾウ、おまえだ。
きっと、テンゾウも同じだったのだ、と。
だから、オレたちは惹かれあったのだ、と。
たとえ、引き裂かれても、やはり惹かれあうのだ、と。
――オレは確信した。

敬愛してやまぬ父さん、先生、大切な仲間だったオビト、リン……彼らに対しては、後悔ばかりのオレだ。
でも、テンゾウに対しては――。
悔やむ必要もないほどに、共に戦い、共に生き、たとえ、今、終わりの時が来ても――もちろん、少しでも長く一緒に生きたいという望みは抱いているにせよ――思い残すことはない、というほどに、いつもいつも、一分一秒、互いの魂を寄り添わせるがごとく、生きてきた。

ささいなことで喧嘩をしたこともある。
行き違ってすれ違って、なかなか会えなかったこともある。
けれど、そういうこともひっくるめて、それでも、後悔しない。そう決めて、生きてきた。
テンゾウも、同じだったから。
だから。
――だからテンゾウは、今回の任務を受けた。

やっと、オレは理解した。
いくら任務とはいえ、本人の意志の確認もなく、記憶を封じた上で抜け忍の里に潜入させる、などということはありえない。それでは、いろいろな意味でリスクが大きすぎる。
つまり、テンゾウがこの任務に就いたのは。
テンゾウが承諾したからだ。
もちろん、断りたいのに否応なく承諾せざるを得ない状況に追い込むことは、可能だ。
だが、あの綱手さまがそんなことをするか……それは、否だ。
何故なら、なんらかの形で遺恨の残る方法は悪手であることを、あの方はよく知っているはずだから。

テンゾウの意志だとしたら。
あいつは、確信していたはずだ。
たとえオレとの記憶を消されても、オレたちを繋ぐ絆を断ち切ることはできない。
確信していたから、任務を受けた。

ほんとうに、皮肉だ。
今、オレとの過去の記憶をなくしたテンゾウを前に。
だからこそ、テンゾウはオレを信じ、心の底から、オレを好きでいてくれたのだと確信するとは。

「テンゾウ……オレ、おまえが好きだよ」
オレの口をついて出てきた言葉に、オレ自身が驚いていた。