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 お婿にいった四+カカのお話
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  カカシとテン子のど〜でもいいヒトコマ


  a sirial -暗部なテンカカ話-

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  ぱすてぃす〜後朝 -18禁-

  猩々   おまけ -18禁-
  モジモジしている二人の一歩
  マラスキーノ 後日談
 ホワイトデー話

  らすてぃ・ねーる-12話
 ※4 に、テンカカ以外の絡みあり
  任務に出た二人
  カカシの過去を垣間見る

  恋女   後顧   おまけ
  ストーカー被害に合うテンゾウと
  嫉妬な先輩


  九夜十日
  イタチ里抜けのとき

  百年の恵み
  長期任務の小隊長を命じられるテン
  百年の孤独-6話
  初めての遠距離恋愛なテンカカ
  たーにんぐ・ぽいんと-8話
    テンゾウの帰還

   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
 テンゾウは……

 【1部】 だーてぃ・まざー-4話
 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
 【3部】 ぶれいぶ・ぶる7話
 【Epilogue】 そして、恋

  あふろでぃーて-5話 -キリリク話-
 くるみ


  a`la carte
  -暗部なテンカカとヤマカカの間話-

  春霞-4話
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  ちぇい・べっく
 -可愛いお嬢さん-
4話
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  久しぶりのカカシとの任務
  聖牛の酒-3話
  波の国任務の少しあと
  てぃままん-3話
  波の国と中忍試験の間

  月読-5話 -キリリク話-
 月読の術に倒れたカカシを心配しつつ、
 イルカ先生の存在が気になるテンゾウ

  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
  惚れ直すテンゾウ
 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
 du chef
-ヤマカカな話-

  再会-Reunion-  第二部





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2008年11月23日(日)
ぎむれっと――または、ろんぐ・ぐっどばい 33) Side T


「もへじさん、こんな感じですか?」
「いちいちオレに聞くんじゃなくて、自分で感触をつかまなくっちゃ」
「でも……」
「印の組み方は間違ってないよ。あとは、チャクラの練り方だけ。ゆっくりでいいから、ひとつひとつの動作に意識を向けてごらん?」
「はい!」

あれから、3日――。
ボクに与えられた家の畳敷のひと間に寝そべって、カカシ先輩がモズの修行を見ている。
寝込むほどではないが、かなり消耗の激しかった先輩は、報告書を忍犬たちに託し休養中。ボクの報告書も届けてもらうように頼み、目下、先輩の回復を待ちつつ、モズの修行プログラムを組んでいるところだ。
とはいえ、敵の身柄は、まだこの村の牢にある。
いずれ木の葉の里から引き取りに来るだろうが、それまでは不測の事態に備えての待機、という意味もあった。

ボクもカカシ先輩同様、正式に客人待遇となった。村としては異例のことだろう。
任務で潜入していたボクなどが大手を振って、と思ったが、ひっそりと暮らすひとびとの心根は穏やかで、正規忍に対する妙な気負いもなければ、負い目もないようだった。自身が抜け忍という者もいるにはいるが、その子孫のほうが割合としては多いのだから、そういうものかもしれない。
もちろん、これらの背景には村長に対する絶大な信頼があった。長が「案ずることはない」とひと言言えば、だれもが納得する。
その長だが……。

「あ、長!」
モズの無邪気な声が聞こえ、見かけによらず律儀な先輩も身体を起こす。
「よいよい、そのまま、そのまま」
笑いながら長は、大降りのかごを差し出した。なかには、きのこと野菜、締めて捌いた鶏肉などが入っている。
「護衛もつけず」とボクが呟いたのを聞き逃さず、「なんの、おぬしらと一緒におるのが一番の安全」と嘯く。
昨日も一昨日も、こうやって手土産を携え、長はやってきた。結局、モズを助手に使いながら、ボクは夕餉の支度を整える羽目になったのだ。
先輩も交えての術についての考察や、ボクらも知らない時代の話など、楽しくはあるのだが。

――もどかしい。

唐突に先輩を抱き、任務のあわただしさのなかで思いを告げた。
先輩も応えてくれている、ように思えた。
だから、今度は手順を踏んで、まず好きだと伝えたい。
まだ完全に体力がもどっていない先輩を抱くことは叶わないが、抱きたいという己の意思ぐらいは伝えたい。
せめて、了解をもらったうえで抱きしめるぐらいは、したいと思うのに。
夜、座を辞す長をひとり帰すわけにもいかず付き従って、戻ってみれば先輩はもう眠っている。
そして、朝餉を終えるころには、モズが来る。時に、モズの友人たちも一緒に。
日中は日中で、守り番たちが入れ替わり立ち替わり尋ねて来る。

思えば、この村に来てこの家がこんなに賑わったのは初めてのことだ。
そして先輩は、「こんなナリですみませんね〜」と言いつつ、縁側に近い座敷の一角に寝ころんだまま彼らの相手をする。時に庭のほうに向きをかえ、モズの修行を見る。
それは長を相手にしてもそうだった。挨拶のときこそ起き上がるが、あとは断りを入れて横になる。
一日も早い回復を望む先輩のそんな姿に、だれも意義は唱えない。むしろ、取り繕わない姿は、自分たちへの信頼の証と思っている節がある。
そして、本来ならゆっくり休むべき相手に会いにくるのもまた、回復したら村を去る先輩から、少しでも多く学びたいという、これまた真摯な願いに基づいている。
ボクがかろうじて嫉妬心を抑えていられるのは、だからだ。
ボク以外、だれひとりとしてヨコシマな想いを抱く者はいないのだから。
それに、みなが先輩を慕う気持ちもよくわかる。たとえ子どもであっても侮らず、年上であっても礼は尽くすがおもねることのないひとだ。
自分が想いを寄せている相手が、みなから好かれる、というのは、嬉しくもある。
だから、それ自体、迷惑なわけではなく……やはり、ただ「もどかしい」としか言いようがない。

この日、長が来てボクが例のごとくモズを助手に夕餉の支度をしているところに、ハギが来た。
上等の焼酎と、取れたばかりの青菜を手土産に。
「見事なちぢみほうれん草ですね〜。これはゴマ和えにするとうまそうだ」
先輩の声に、モズがすり鉢を手にする。
「これ?」
ボクに確かめる。
「ゴマがどこにあるか、わかる?」
「はい」と元気良くこたえ、モズは戸袋に手をかけた。
「ゴマは体にいいから、もへじさんも、きっとすぐ元気になるよね」
「ああ。そうだね」
答えながら、ボクは思う。元気になったら、そのときがこの村との別れのときだ、と。
「あ、あった」とゴマの入った壷を取り出したモズは、ボクに向かってニッコリ笑う。
「ぼく、トキやもへじさんと会えてよかった。ずっと一緒にいたいけれど、トキやもへじさんがいた村でも、待っているひとがいるよね。トキだって、もへじさんだって、帰りたいよね? だから、もへじさんには早く元気になってほしい」
ほんとうに、この子は頭がいい。ひとの心の機微にも聡い。だからこそ、無駄な言葉を発しないのかもしれない、とここ数日のモズを見て、ボクは考えを改めつつある。
「ボクも……先輩もこの村が好きだよ。でも、やはりボクたちはここにずっといることはできない。うん、モズの言うとおりだ」
「でも、ぼく、トキのこと忘れない。トキが聞かせてくれた、樹の声を、絶対忘れない」

あの戦闘のあと、すぐにというのはさすがに無理だったので、翌日、ボクは裏山を訪れた。
そして戦禍に倒れた木々たちの根を探り、再生を試みた。何本かは、それこそ根こそぎだったので、叶わなかったが、何本かはそこから若木を芽吹かせることができた。
本来の木遁の使い方とは違う――どう言いつくろおうと、木遁とて戦闘のための術だから――ボクにとっても珍しい経験となったその作業を、やはりモズは鋭い感覚で逐一捕らえていた。
「ボクも……トキみたいに、なれるかな」
ゴリゴリとすりこ木を動かしながら、俯いたままモズが問う。
「……モズ。きみはボクみたい、じゃなくて、ボクを越える、そんな大人になるんだ」
戦闘のための術ではなく、森羅万象を支える、そんな術が、モズなら可能かもしれない。
戦争が忍の術を極めさせ、強い忍を生む、だけど、そうではない方向に伸びていく道筋があってもいいんじゃないか、そんなことをボクは考える。
「できた!」
ねっとりと艶を帯びるまですり潰されたゴマに醤油をたらし、ゆでて水に晒したほうれんそうを絞って、和える。
「ほうれん草のゴマ和えです」
モズが座敷に小鉢を運ぶ。
「おお、うまそうじゃの」
長のやさしい声。
「もへじさん、ここに置きますね」
「ありがとう。モズくん」
ここで、この村で、先輩と二人……そんなことをふと思ってみる。そして首を振る。

先輩はそんな甘いひとじゃない。忍としての矜持を内に秘めている。
「抜けましょう」などと言った日には、ボクなどきっと瞬殺だ。
そして、先輩は”ボク”という後輩を殺した傷を背負って行く――それは、ダメだ。

「お待たせしました」
土鍋をコンロに載せる。すぐにクツクツと煮え始めた。新鮮な肝は血抜きをし、薬味を添えた。
土間を背に座るボクの正面に、庭を背に横たわる先輩。
居間はもう雨戸も閉めてしまったので、先輩の背後には障子貼りの引き戸があるだけだ。
「寒くありませんか?」
声をかけると、「ん、だいじょ〜ぶ」と答えが返る。
「砂肝と肝、刺身でもいけますよ」
「じゃ、ちょうだい」
モズがさっと動いて、小皿に取り分け、薬味と醤油を手に先輩のところに運ぶ。
「よっ」
先輩が身体を起こす、その背に綿入れ半纏をモズがかける。
盆の上に、ハギのもってきてくれた焼酎を取り分けた徳利があった。
「お湯割り?」
この3日で先輩の好みを覚えたモズが尋ねると、先輩がニコッと笑う。
モズは土間に降り、まだ竃に乗せたままだった薬缶から、別の徳利に熱湯を注いで持ってくる。
その間に、ボクはたたきにしたササミを取り分けた。
「モズ、これも」

手酌で湯で割った焼酎を飲みながら肴をつつき、先輩は長の話に相槌を打つ。
「ええ。彼らが本拠にしていた村は、ちょうど火の国と雷の国の国境にあります、火の国の統治になったり、雷の国の統治になったり、いわば大国の力関係に翻弄された村です。その一番の混乱期を選んでいた節がありますね」
「なるほど。混乱しているからよそ者が紛れ込んでも追求されにくい、ということですか」
ハギが言う。彼の父は、まさにその時代のその村に戻った。
「でも、戦場になったことはありませんし、あの村の村長は代々なかなかやり手で、村のなかにいる限りは安全でしょう」
カカシ先輩の言葉に、ハギがほっと笑みをこぼす。二度と会うことはない父の行く末を、ハギは案じていたのだろう。そして現代のその村から飛んで来たという先輩は、報告書とともに、村に宛てた書簡も託していた。
ボクは詳しく聞かされていないが、もしかしたら、家族は今の時代に移ってくることになっているのかもしれない。あるいは、彼らが過去に干渉することで現れる影響について、何か示唆したか。
「民あっての国のはずが、統治する者の勝手で民が翻弄されるとは、のぅ」
「国も大きくなると、民という言葉そのものが記号のようなものになってしまいます。長のように、この村のすみずまで知り尽くしている、というわけには、やはり……」
「そうでなければ、統治も叶わぬのだろうが、難儀なことよのぅ」

今日もまた、先輩に想いを告げないまま、夜が更けていくのだろうか。
そう思うと、胸の底にひたりと冷たい水が湧く。
つらいというよりも、どこか甘美な陶酔にも似て、ボクは自分が恋に酔っているのだと自覚した。