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 お婿にいった四+カカのお話
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   ぎむれっと-40話 -キリリク話
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2008年11月25日(火)
ぎむれっと――または、ろんぐ・ぐっどばい 35) Side T


――綺麗だ。
先輩の紅蓮の瞳と、濃いグレーの瞳。
何度見ても、綺麗だと思う。、その双眸がボクを捉えている。

冷たい水が、チャプンと胸の奥で音を立て、水面に波が立つ。
――好きだ。このひとが好きだ。
ボクの気持ちに呼応して、波が大きくなる。
波頭が白く砕ける。
頭のなかで、ザザンと波打つ音が反響する。

……くっちゃっていい?

え?

残響に紛れるように、声が聞こえた。

……お帰りって言われたら、ただいまでしょ?

また、だ。

……だから、今回もお前を信じる。

なんだか懐かしい。でも、この先輩の声……。

……錆びない釘でいたいの。

なんだか、若いような……と思った途端、うわんうわんと耳鳴りがした。
そして、あのね、テンゾウ、とか、テンゾウのすけべ、とか、すご~い、テンゾウ、とか、先輩の声が多重音声であちこちから響いてくる。
先輩の声の波にのみ込まれそうになって、ボクはうずくまる。

……ウ! ンゾウ!
「テンゾウ!!」
強く肩を掴まれた衝撃で、我に返った。
「せん……ぱい」

……もう、先輩じゃない、よ

ああ、そうでした。ボクにとっては、あなたはたとえ暗部を離れても先輩ですが、そう呼ばれたくないと暗にほのめかされましたね……。

「……カカシさん」

見開かれていた先輩の目が、さらに大きくなる。
「テンゾウ!」
「はい」

ザザザと引き潮のような音と共に、耳鳴りが遠のいていく。

……謹んで拝命いたします。

自分の声が、はっきりと記憶の底から浮き上がってきた。

そう、ここは抜け忍の村。潜入任務の命を受けると共に、先輩との記憶は五代目が封じた。
術も封印されたが、それは村長が解いた。
任務の途中、カカシさんと遭遇し、ともに敵忍を追い込んでいったことを、まるで映画でも見るように思い出す。
自分の記憶なのだが、スクリーンに映されているかのように距離がある。
早送りの画像のなかには、ボクがカカシさんを押し倒しているものもある。
あんなに、がっついていたのか、ボクは。

ああ、帰って来た。帰ってこれた、カカシさん、あなたの元へ。

ボクは、まだ目を見開いたままの先輩を抱きしめた。
「ただいま」
「え? あ?」と、珍しくうろたえている先輩をさらに抱きしめ、その首筋に顔を埋める。
ああ、懐かしい。ほとんど体臭のないカカシさんの、でもボクだけが嗅ぎ取ることのできる匂いがする。
「カカシさん、お帰りは?」
「は?」
「ただいま、って言ったんですから、お帰りって言ってください」
言いながら、笑いがこみ上げてくる。
ボクは勝ったのだ、相手が五代目なのだから、負けるはずはないのかもしれないが、でも、勝てる確信もなかった賭けに、勝った。
ざまあ、みろ、だ。

「カカシさん、ボクも大好きですよ」
「え? 何言って、ちょ……」
顔を埋めたついでに、首筋を吸う。
ドクンと下腹に熱が集まる。
「抱いても……いいですか?」
「は? や、いや」
「ダメですか?」
堅い大腿部に腰を擦り付ける。ゾクと腰骨がしびれた。
「や、ダメじゃないけど、じゃなくて、テンゾウ!」
グイ、と引き剥がされる。ほんのり頬を紅潮させた先輩が、怪訝そうにボクを見つめた。
「思い……出したの?」
「はい」
「全部?」
「はい」
「村に来てからのこと、覚えてる?」
「はい」
「ほんとうに?」
「はい……いまボクの頭が胴体と繋がってるのは、カカシさんがいてくださったおかげです。あやうく、首を飛ばされるところでしたから」
先輩の顔が、一瞬、表情をなくした。
そして、徐々に、眉根が寄る。
目元が細くなり、口がへの字になった。
と思ったら、口角だけが持ち上がる。
なんだか泣き笑いのような顔だ、と思った途端、背を抱き返された。
今度は先輩が、ボクの肩に顔を埋める。
ぎゅうぎゅう抱きしめられて、苦しい。

ああ、心配かけたんだ、とわかる。

「……すみません」
顔を押し付けたまま首を振るものだから、首筋がくすぐったい。
「いい。いいんだ、そんなことは」
そして、ほっと息とつく。

「ほんとうに、身体は大丈夫なんですか?」
「……ん」
「抱いても……いいですか?」
「ん」

腕のなかの先輩は、心なしかチャクラも弱く、まだ全快しているとは思えないのだが。
ただ、ボクの欲望が突っ走って、このままではどうにも仕様がないほどだ。
こんなことは、なかった。
こんなふうに、欲しいと思うことはなかった。
実験の後遺症だと医療忍からも指摘されていたから、そんなものだとずっと思ってきた。
だが。
この、自分でコントロールすることさえ難しい衝動は。
これが、情動というやつなのか?

「カカシさん……あなたが、欲しい」
ボクが口にすることができた言葉は、それだけだった。