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 お婿にいった四+カカのお話
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   ぎむれっと-40話 -キリリク話
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2008年11月12日(水)
ぎむれっと――または、ろんぐ・ぐっどばい 31) Side T


周囲を見回す一瞬、先輩は、右目を開いた。
白銀の睫に縁取られたなか、濃灰色の瞳が動く。

この色彩のない濃淡こそが、先輩の本来の姿のようにボクには思えた。
決して自ら主張することなく、己を隠す忍という生き物そのもの。
暗部でさえ時に驚くほどの気配のなさも、内面に抱え持つひととしての情の篤さを感じさせない飄々とした物腰も、端正な素顔を微塵も予想させない普段の姿も、無彩色の世界に己を埋もれさせようとしているカカシ先輩そのものに感じる。
けれど、紅蓮の炎の写輪眼が、それを許さない。

それでも先輩は写輪眼を使い、極め、さらなる高みを目指している。
先輩という先達がいたから、ボクも木遁などという大層な術を否応なく伝授されてしまった己を受け入れることができたのだと、改めて思う。

「テンゾウ」
低く潜めた先輩の声に、ボクはやはり低く「はい」と答える。
「陽動」
「はい」
「結界ごと、持ち上げられる?」
「結界ごと……ですか」
「ん。アレは浮かせて移動させることができる類の結界でしょ」
ボクは地面に接している部分の結界の面積を目測した。
かなり広範囲に木遁を発動させなくてはならない。広く根を張る大木をイメージし、次に、根は浅くとも広く自在に伸びるつる草をイメージした。
「……わかりました」
チャクラを練り上げ、両手を合わせて融合させる。でも、慎重に。
地面から緑色の芽が顔を出す、と、見る間に伸びて太い蔓となり、結界に絡みついた。
――よし。
ここからが、勝負だ。さらにチャクラを送り、蔓を成長させる。結界を絡めとったまま、うねうねと地を這っていく。
「はっ」
緩く傾斜した地面から蔓が頭をもたげるように、浮き上がった。
そのまま先端を巻き込むようにすると、結界も一緒に緩やかに傾き始めた。
先輩の言ったとおり、あの結界は大地や樹木などをよりどころとせず、術者が意図した空間だけを覆う類のもの。
――見ただけで、結界の種類までわかるのか。
それも写輪眼のなせるワザだと言うひとも多いだろう。だが、結界の構成というのは、そんな単純なものではない。
結界に関する豊富な知識と経験があって初めて、写輪眼が生きてくる。
もしかしたら、かつて写輪眼を持っていたうちは一族のだれよりも、カカシ先輩は写輪眼を使いこなしているのかもしれない。
後付の、もらいものの、それも片方だけの天眼……。
だとしたら、皮肉なことだ。

「手ごわいね〜。まるで無反応だ」
結界のなかはボクにはわからないが、先輩には見えているのだろう。
「いっそ、転がしますか?」
「あ? できる?」
「浮かせることができたんだから、たぶん……できます」
「じゃ、よろしく」
気軽な調子で言いながら、先輩は左目で結界を凝視する。
「スリーツーワン、で行きます」
「了解」
「スリー」とボクは声に出す。同時に蔓の先を伸ばして、結界を二重に巻き込んだ。
「ツー」で少しだけ傾ける。
「ワン」
巻き込んだ蔓を一気に解く、と、お椀を伏せたような形の結界が一回転して、そのまま放り出された。

「そこだ!」

チチチ……という放電の音が響き、先輩が跳んだ。

バキンとも、バチンとも、言いがたい音と共に、結界がはじけた。
まるで、爆発でもしたかのような、そんな音――先輩が雷切で結界を砕いた、と認識するのに少し時間がかかった。結界というのは決まった手順を踏んで解除しないと解けないし、強引に壊した場合、その影響が周囲の空間をゆがめたりすることもある、そういう類のものだ。
いくら先輩といえど、物理的な攻撃で結界を破るなどということができるはずがない。
いや、実際、結界は砕けるようにはじけたのだ。ということは、可能なのだろう。
結界のよりどころとなる要の部分を壊せば、理論上、結界は解除できる。だが、あくまでも「理論上」だ。
だいたい、要の部分を壊す、そのこと自体が難しいのだ。
それをやってのけた。確かに写輪眼と雷切の使い手たる先輩だからこそ、の方法ではある。
だが、正直「びっくりした」というのが本音だ。
ボクとて、長年、暗部に所属する身、それ相応の知識も技術もあると自負している。
だが、こんな方法は思いつかないし、仮に思いついても実行できない。

相当強固な結界だったようだから、破られた衝撃も相応のものになった。
ずん、と大気が揺れる。
「かしらぁ!」
絶叫が聞こえ、はじけた結界から放り出された人影が二つ。
空中に、血潮が飛び散る。
「ぐはぁっ」
人影の一つが、まるで鳥が地に降り立つように落下した。
こちらが、結界を貼っていたほうだろうか?
もうひとつの人影は、放り出された空中で体勢を立て直し、木の枝につかまろうとしていた。
そこに、先輩の放った手裏剣が跳ぶ。
だが、それをクナイで弾き、幹をけって枝に立つ間に、印を組む。
頭、だけあって、相当できる。
だが、燃え上がる火が襲い掛かる前に、水遁で応戦する。
当然、これはボクの役目。

先輩が枝を蹴る。
クナイを敵に向け、接近戦の構えだ。
だが、これこそが陽動。
一瞬で近づいてくる先輩に相手が気をとられた隙を突いて――。

「拘束!」

「はい」
答えるより早くボクの手が印を組む。
この呼吸、このタイミング。先輩と組むときの、爽快とも言える感覚。
自分が隊長として隊を指揮していても、決して味わえない。
先輩とだから。
ボクを信頼し、背を託し、前へと進んでいくカカシ先輩とだから。
その背を追いかけていく――この時が、戦闘のさなかだというのに、至福。
因果といえば因果だが、忍としてこれ以上の幸せはない。

こんなふうに先輩とバディを組んで、何度、戦場を駆けたことだろう。
何度、闇に潜み、敵を仕留めたことだろう。

先輩。

ボクは、あなたが好きだ。
暗部の後輩としての尊敬や憧憬だけではなく。
といって、ただあなたに焦がれ、想いと熱を滾らせるだけでもなく。

憧れ、敬い、同時に、恋い求め、欲する。

なぜ、とさえ思う。
なぜ、今まで、無自覚でいられたのか。
いっそ、そちらのほうが不思議なぐらいだ。

――っつ。

ズキン、と痛むコメカミに一瞬、目が眩んだ。

「テンゾウ!」

先輩の声に我に返る。
目前に、血まみれの手が迫ってきた。
あの結界の術者の手か?
手だけが?

掌紋までもがはっきりとわかるほど。
――手が、目の前にあった。