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 お婿にいった四+カカのお話
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 四代目とカカシの絆を知って、
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 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
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 【Epilogue】 そして、恋

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  春霞-4話
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4話
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  月読-5話 -キリリク話-
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  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
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 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
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-ヤマカカな話-

  再会-Reunion-  第二部





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2008年10月23日(木)
ぎむれっと――または、ろんぐ・ぐっどばい 29) Side T


気づくと、ボクは先輩の腕のなかにいた。
ボクの言動が、今の先輩を誘導した。

――カカシ先輩。

上も下も右も左もない空間が、急に天地を明確にし始めたときには、戸惑った。
ボクは天を下に逆立ちしていたのだから。
だが落下するほど急激な感覚は覚えず、やがて逆さになったボクの視界に先輩の銀髪が見えた。
それで、納得した。納得できてしまったのだ、理屈抜きに。
別に、先輩がすごい忍だからこの空間をも制御できたのだ、と思ったわけではない。
だいたい制御しようとなど、先輩はしていないだろうから。
ただ、ボクが知っている先輩は、どんな状況にあってもすっと1本まっすぐに芯が通っていた。
妙に儚く見えたりあやうくみえたり、まあ最近では……胡散臭いとかあやしいとか、そんな評価をされることが多かったのも事実だが、それでも“1本”は決してぶれることがなかった。
先輩も人間である以上、悩みもするだろうし、揺らぎもするだろうし、判断を過つこともあるだろう。
暗部を離れてからは猫背気味で、どうみても大地に対して垂直にすくっと、とは見えなかっただろうし。おまけに18禁本は読んでいるし。
だが、それらはすべて表層に過ぎない。先輩の本質は常に変わらなかった。
だからこの空間のなかでもごく自然に、己の立ち位置を掴めたのだ、とボクは思った。
そして、ボクはその先輩の感覚をよりどころにして、ようやくこの空間に身を置くすべを知った。
こんなふうに言うと、まるで依存しているようで情けないのだが、やはり、ボクにとってこのひとは指標なのだと、改めて思わざるをえない。

いまのボクは、もちろん先輩と出会った頃の未熟なボクではない。先輩のすべてに憧憬の念を抱き、賞賛し、追随しているわけではない。そういう時期があったことは確かだが、今は違う。
だいたい、先輩とボクは違う人間だから、まったく同じように振舞うことはできないし、そんなことに意味はない。
でも、ときどき己を省みる、そのときの基準は、やはりこのひとだ。
先輩だったら、と考え、自分は、と考える。
おそらく、先輩にもそういうひとがいるのだろう。あるいは、敬愛するご尊父や四代目がそうなのかもしれない。
それとも、先輩に目を残したと言われている仲間か。
どんなにまっすぐ立っているようでも、人間の身体はその人の生活上の必要や癖によって、少し捩れているものだ。
忍が行う鍛錬のなかには、そうした歪みを矯正するものが含まれている。
心も、放っておけば歪んでいくものなのかもしれない。
自省という行為は、歪みを矯正する鍛錬のようなもの、そう考えると、なんとなく慰霊碑に足を運ぶ先輩の気持ちも少しだけ理解できそうだ、と思う。

もっとも、そんなことを考えたのは、ごく一瞬のことだ。
ただ、ずっと折に触れ考えていたことに、筋道が立ったようなそんな気持ちになった。
そうしたら、先輩に感じていた違和も、情動のままに先輩を抱いてしまったことも、表層のことだと思えた。
ボクにとって何より根底にあるのは、先輩に対する抑えがたい思慕ではないか。
それで何もかもが許されるわけではないが、まず、それを伝えないことには、何も始まらないではないか。

だから、告げた。

こんな状況だから、もちろんボクも何かを期待していたわけではなかった。
ただ、ボクも暗部の一員としてさまざまな経験を積んできたが、こんな事態に遭遇したのは初めてだったから、もしかしたら、これは最悪を想定しないといけないのかも、と思ったのだ。
その結果、ボクは先輩の腕のなか。
当然のことながら、思いを通わせあった恋人同士の甘い抱擁、という雰囲気ではなかった。
むしろ……ボクの思い過ごしでなければ、先輩にすがりつかれているような。

「先輩?」
強く刺激しないように、そっと背に手を回す。
うん、とボクの肩に顔を埋めた先輩が答えた。
「テンゾウ」
呼びかけられて、答える。
「はい」
「おまえもオレも、サッサと任務を終えて、里に戻るよ」
顔は埋めたままだったが、先輩の声からは気力が感じられた。
里に帰る。「おまえもオレも」と先輩は言った。これが、先輩の答え。
「はい!」
勢いのままにボクは先輩をギュッと抱きしめた。
しばしの、後。どちらからともなく抱擁を解く。

直後、ぐらり、と身体が傾いた。

抗いがたい力に引っ張られる。
身体は傾いているのだが、立て直すこともできない。
そして、一瞬の後、抜け忍の村の東結界の近くにいた。
四方の守り番の長たちが、一時、封印を解いたのだ。

「どこだ?」
「なぜ、こんなところに」
「行き先が」
「何があった」
「ここは、どこだ」
男たちが口々に言い募る声が聞こえる。

彼らはつかまった仲間を見捨て、別の拠点に移動しようとしていたらしい。
そう、ボクたちの予想どおり。だからこそ彼らをここにおびき寄せることが必要だった。
今度こそ、決着をつけるために。

「させるかぁ!」
守り番の長たちが、再び、時空の歪みを封印するのに気づいた男が、攻撃をしかけてくる。
「木遁! 木城壁」
堅い木の壁が、敵の攻撃を跳ね返す。
きっと、この隙にカカシ先輩が彼らのなかに突っ込んでいく。言うまでもなく、敵の追い込みだ。

そのとき、どこからともなく村長が姿を現わした。
「テンゾウどの。この時空の歪みの守りは我らにお任せくだされ。それより、ヤツラを」
確かに、腕の立つ8人相手では先輩もきつい。
いつのまにか、ハギの父が長の側につけていた。
「彼らの手はわかっております。村長は、私が」
「わかりました。頼みます」

木城壁を解くと、100メートルほど先の地点で二重の半円形に先輩が囲まれていた。
村の結界近くでは大技も使えないし、背後に守るべき守り番の長たちもいる。
対して相手は数を頼みに、やりたい放題。まったくもって、不利な状況だ。
それでも、ひとりでよくぞあそこまで彼らを後退させたものだと感心する。
見れば、敵方に向かって木々がなぎ倒されている。痛々しいその姿が、戦闘の激しさと、同時に、先輩が決して引かずに相手を追い込んでいった道筋を物語っていた。
――あとで。あとできっと、もう一度、根付かせてみせるから。
きっとこの気配はモズに伝わっている。
倒されても静かに倒れるだけの木々の念を感知するモズに、倒れた木々の再生の声を聞かせてやりたい。
きっと、それが彼にとって力となる。
ボクがこの村に遣わされたことに意味があるとしたら、モズという若い世代に何がしか、残すことではないのだろか。

「まったく、うるさい蝿だ」
先輩の向こうで、ひとりが印を結び始める。
明らかに先輩ごと、背後の守り番の長たちを巻き込もうとしていた。
――まずい。
まだ先輩に大技を使わせてはいけない。
「木遁! 大樹林の術」
「ぐわぁっ」
標的の男を弾き飛ばし、後方の男も二人なぎ倒す。左右はさすがに身をかわし後方に跳んだのを、先輩の投げた手裏剣が襲う。
キンと暗器をはじく音が、森に反響した。
念のために倒れた3人は木遁で拘束して、ボクも先輩を追う。
手裏剣の応酬に見えて、先輩は確実に敵を誘導しているのがわかった。
村から離れ、できればこの山の尾根を越えて向こう側へ。
ならば、ボクもそれに倣うまで。左右に散開しようとする相手に、しとめそこねた風を装い、手裏剣を投げる。
うまくかわしたと安堵しているうちに、こちらの思うとおりの場所にいつのまにか誘導されている、そう気づいたときには遅いのだ。

「先輩」
彼らを追う先輩に、並ぶ。
「いくよ、テンゾウ」
ぐいと斜めにかかっている額上げが、持ち上げられた。
白銀の睫に縁取られた、白いまぶたの奥――。
瞳の中、紅蓮の炎が、姿を現わした。