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 お婿にいった四+カカのお話
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   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
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 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
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 【Epilogue】 そして、恋

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  春霞-4話
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4話
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  月読-5話 -キリリク話-
 月読の術に倒れたカカシを心配しつつ、
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  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
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 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
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-ヤマカカな話-

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2008年07月12日(土)
ぎむれっと――または、ろんぐ・ぐっどばい 22) Side K


テンゾウが溶けるように姿を消した後の空間を、ハギと呼ばれた男は凝視していた。
オレにとっては見慣れた瞬身の術だが、この村では使う者がいないのかもしれない。

ともあれ、村長に「では、また夜に」と挨拶し、オレは蔵を後にした。男も一緒に、蔵を出た。

しばらく歩くと予想通り、男が問いかけてきた。
「さきほど、トキが消えたように見えたのだが」
「あれは忍の術のひとつで、瞬時に場所を移動するときに使います」
「忍の方が普通に使う術、ということでしょうか?」
「普通……と言っていいかどうか」
どこに基準を置けば、この村の“普通”なのか、それがオレにはわからない。
「忍の術のなかでは一般的な術ではありますね」
「時空間忍術というのは?」
「瞬身の術は、ある程度以上の技量があれば使いこなすことのできる術ですが、時空間忍術は、かなり特殊な術です。どの忍も訓練を積めば身につけることができる、という類のものではありません」
長の家の敷地を出て、男が東へと道をたどるのに、オレもついて歩く。これと言って理由があったわけではない、強いて言えば、男のことが心配だった。
男は、目の当たりにした己より若い父の姿に動揺しているのだろう、心ここにあらずといった態だ。
その姿は、いやでも死の間際の父の姿を連想させた。

確かに、先生の言うように、時空を繰るのはタブーなのだ。
目の前の男の姿を見て、改めて思う。

「お気づきかもしれませぬが、私は忍としての資質をあまり持ちませぬ。結界の守り番を命じられたときには、何かの間違いかと思ったほどで」
しばらくして、男が問わず語りに話し始めた。
「結界の守り番は、忍としての資質を持っていることが条件なのですか?」
「それが条件とは言われておりません。が、守り番に選ばれる者を見れば、自ずと……」
「……なるほど」
「でも、わかりました。今日のため、だったのでしょうな」
オレは、どう答えればいいのかわからず、口をつぐんだ。
「さきほどは不覚にも動揺しましたが……二度と会えないと思っていた父に会えたことは、嬉しく思います。彼が、犯罪に手をそめている……たとえやむを得ずであったとしても、そうなのだとしたら、それを止めるのが己の役目でしょう」
彼は言葉にしたことを確かめるように、頷く。声に力がこもっていて、オレは安堵した。
「母は……もしかしたら……知っていたのかもしれない……」
オレたちはしばらく無言で歩いた。彼が足を止めたのは、テンゾウの住まいとよく似た一軒屋の前だった。
「おお、うっかりと繰言につき合わせて……こんなところまで。失礼いたした。茶でもお入れしましょう」
「いえ。私が勝手についてきたことですので」
オレは一礼すると「また夜に」とのみ答え、その場を去った。

テンゾウの家に着くと、家の前に子どもがいた。突然現れたオレに、びっくりしたように後ずさる。
だが、逃げるかと思った予想と異なり、彼はオレを見上げた。おとなしそうな顔立ちだが、意志の強そうなくっきりとした眉をしている。確か名は。
「モズ?」
子どもは、きっと唇を引き結んだまま頷く。
「トキはいないよ」
テンゾウに用があると思ったオレの言葉に、首を振る。
「知ってる」
じっと見つめられ、どうやらオレに用があるらしいとわかった。
「あがる? なにも出ないけど」
うん、と小さく答え、モズは土間に入ってきた。
土間からの上がり口に腰を下ろしたオレと向かい合うように、モズが立つ。
じっとオレを見つめ、そして目を閉じた。何かの気配を確かめるかのような行動だと思ったオレは黙っていた。
やがて目を開いたモズは、またオレを見た。
「やっぱり、あなただ」
「やっぱり?」
「うん……前に……」
そう言ったきり、モズは黙ってうつむいた。

彼について確か、テンゾウは「特殊な感知能力を備えている」と言っていた。
どう特殊なのか、その話はしていない。うっかりしていた。気にはなったのだ、その話を聞いたとき。

「前に感じた気配と同じかどうか、確かめに来たのかな?」
問いかけると、モズは下を向いたまま頷いた。
「前に感じたのが、どんなだったか……話してくれる?」
モズは顔を上げてオレを見た。
「どうして……」
「ん?」
「どうして、それだけで、わかるの? トキもすぐわかってくれた。でも、ほかのひとは、なかなかわかってくれない」
ん〜、とオレは言葉を探す。
言わんとしていることが、よくわからない。でも。相手は何がしか、自分を理解してくれていると喜んでいる。
どうも口下手な子どものようだ。
「全部わかるわけじゃない、でも、わかりたいとは思っている、だから話してくれるかな?」
うん、とモズは頷いた。
「前に、気配を感じたんだ……えっと、気配ってのは、ボクがときどき感じるザワザワっとした感じのことで、そういうときは大抵、戦闘があって……」
たどたどしい言葉で語られる内容から、村が脅かされそうな、たとえば戦闘とか、結界を破ってだれかが侵入しようとしているとか、そういった気配に敏感なのがわかった。
だが、その能力が何に由来しているのかまでは、わからない。本人も自分の能力について、うまく説明できず、また周囲も彼の能力について理解できないため、正しく理解できないでいるのだろう。
それでも、事情を知らないよそ者のオレに、補足説明をしながら語る様子から察するに、言葉が不足しているだけで、頭の回転は速いことがわかった。
「で、オレの気配を感じたのは?」
「うん、前に、気配を感じたとき。いつもの気配とは全然別の……今まで感じたことのない……まっすぐにこっちを見ているみたいな感じ」
「まっすぐ……?」
「うん」とモズはオレを見た。
「会ってわかった。アレ……トキを見ていたんだ」
難しい謎々に正解したみたいな顔でモズが言う。邪気のない顔に、ドクンと心の臓が脈打った。
長の言葉を思い出す。執着が、封印されていた道を開いたと、言ったあの言葉。
あのとき、キーワードを掴んだと思った。
オレが印を組むと開いた「ときわの森」から続く時空の道を、ほかの暗部が試しても無理だった、その理由――つまり、執着、だ。
アレが発動したのは、過去へのオレの思いがあったから。だとしたら、オレより年下の暗部が印を組んでも道が開かないのは当然だ。
オレよりずっと年若い彼らに、そこまで強い過去への執着がなければ……当然のことなのだ。
そう思った。

だが、今回この村の封印を解いたのは、ひとつには、あの男――息子をこの村に逃がしたらしい男の思い。
だが、それだけでいいなら、とっくに封印は解けていたはずではないか。
この村の東の地点には時空の歪みがあるが、それが今まで封印されており、今回、それが解けたということは。

――オレ?
この村にいるテンゾウへのオレの執着が、道を開いた?

「あの」
黙ってしまったオレに不安を覚えたのだろう、モズがおずおずと声をかけてきた。
「ああ、ごめんね。ちょっと考えていたんだ……で、ザワザワした感じは、東の結界の辺りから感じるのかな?」
「……ザワザワした感じはいつもある……ただ、ときどき、ザワザワした感じがとっても大きくなるんだ」
いつもある?
「たとえば、だれもしゃべったり動いたりしていなくても、人がたくさんいるところには、自ずと気配がある、みたいな感じかな?」
モズの表情がパァッと明るくなった。
「そう、そうだよ」
そして、うん、と頷く。
「それ! なかなかわかってもらえないんだ。人がいても、しゃべったり動いたりしていなければ、静かだろう?って、言われる」
なるほど、普通の五感ではそうなるのかもしれない。だが、生きた人間には生きている証、呼吸や血液の脈動といった生命活動がある。ただ、それを感知するのは、忍以外のひとにとって特殊な感覚になるのだろう。
「いつもは、穏やかなんだ。でも、ときどきすごくザワザワする。そういうとき、たいてい戦闘があるんだ」
わかったよ、という印にオレは大きく頷いて見せた。それに力づけられたかのように、モズは言葉をつなぐ。
「そのザワザワは、でもね、近いときもあれば、遠いときもあるんだ。トキに言われて気がついたんだけど、遠いときって、今じゃないみたいなんだ」
「今じゃない……つまり、過去や未来?」
「……かなぁ?」
「そういう気配も伝わってくるのかな?」
「いつもじゃないよ。ときどき。最初のころは、ほかの気配と区別つかなくて騒いで、でも、何もないから、みんなに呆れられた。今は少しわかるよ。安心していていいのか、危ないのか、少しだけ、なんだけどね」
一気に話し終えると、モズはふぅと大きく息をついた。
「いっぱいしゃべって、疲れた」
モズはオレを見上げて、笑った。