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 お婿にいった四+カカのお話
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  らすてぃ・ねーる-12話
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  恋女   後顧   おまけ
  ストーカー被害に合うテンゾウと
  嫉妬な先輩


  九夜十日
  イタチ里抜けのとき

  百年の恵み
  長期任務の小隊長を命じられるテン
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  初めての遠距離恋愛なテンカカ
  たーにんぐ・ぽいんと-8話
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   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
 テンゾウは……

 【1部】 だーてぃ・まざー-4話
 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
 【3部】 ぶれいぶ・ぶる7話
 【Epilogue】 そして、恋

  あふろでぃーて-5話 -キリリク話-
 くるみ


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  春霞-4話
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  ちぇい・べっく
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4話
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  久しぶりのカカシとの任務
  聖牛の酒-3話
  波の国任務の少しあと
  てぃままん-3話
  波の国と中忍試験の間

  月読-5話 -キリリク話-
 月読の術に倒れたカカシを心配しつつ、
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  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
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 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
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-ヤマカカな話-

  再会-Reunion-  第二部





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2007年08月31日(金)
たーにんぐ・ぽいんと 2)


「ふーん。じゃ、とりあえず無事に政権交代したんだ」
「はい。新王擁立については、前王も水面下で動いていましたし……自分の体調にも気づいていて、準備していたんだろうというのがボクたちの見解です」
シャワーで汚れを落とし、洗濯物が乾燥機のなかですっかり乾くころ、先輩はやはり窓から現れた。手には、酒とどこぞの飲み屋で仕入れたらしい惣菜。『花散里』の持ち帰りご膳でなくて、ボクは心底ほっとした。
そして、ボクたちは、次の任務の話をすることもなく酒を飲んでいる。
まるで二ヶ月前の続きのように。

「海に囲まれた国って、違うでしょ?」
暗部装束から、ボクのシャツとパンツに着替えた姿は、すっかり緩みきっていて、もちろん素顔を隠してもいない。
「ええ。風からいつも潮の匂いがして。木の葉も砂隠れなどに比べれば空気が湿ってますけど、もっとしけっているというか」
「うん。潮を含んで、濃いんだよね」
今回の任務は、豊かな海底資源を有する国の王が病の床に伏したことに端を発した、表向きは王族の護衛、事実上は諜報のための任務だった。幸いクーデターも起きず、政情が不安定になることもなく、王の死後、すみやかに政権が交代し、ボクたちの任務も終わった。
「任務でなければ、海は綺麗だし、海産物はおいしいし、気候も温暖で住みやすいんだろうなと思いましたよ」
「そうだねー。新鮮な魚、食べ放題だよねぇ。あ、なんかオレも行きたかったかも」
口を尖らせる先輩に、ボクはハハハなんて笑っている。
いったい、この和やかさはなんだというんだろう、と頭の片隅で考えながら、山菜の煮物をつまむ。
「狭い国ですが、火山帯が通っているらしくて、内陸のほうには温泉もあるって聞きましたね」
「もったいなかったねぇ、入れなくて」

任務中は、そんなこと思いもしなかったのに、遠く離れた里に戻ってきてから、ふと先輩を連れてあの国の温泉に行くのもいいかな、などと思う。
小さな国で、内陸と言っても海からもさほど離れていないから、きっとおいしい魚も堪能できるだろう。ご機嫌な猫みたいに目を細める先輩の顔が浮かんでくる。
ずっと張り詰めていた糸がゆるゆると解けていくときの気だるい感覚に、ボクはほっと息をついた。

命の危険を感じるような事態にこそ遭遇しなかったが、一瞬たりとも気を抜けなかった。ある意味、暗殺よりも緊張を強いられる任務だったかもしれない。
己の感覚が日常に戻っていくのを感じながら、ボクは先輩の色違いの目をぼんやり眺めていた。
「テンゾウってさ」
テーブルの上に顔を乗せた先輩が、上目遣いでボクを見る。
「なんですか?」
「……なんでもない」
そう言って、ふぅっと視線をあらぬほうに泳がせる。
すねているようにも見える態度に、ボクは首を傾げた。なにか機嫌を損ねるようなことをしただろうか。
「うん。でも、そういうところが、テンゾウなんだよね」
先輩は自己完結したみたいに言うと、よっと上体を起こした。
「もう、酒はいいや」
「じゃ、お茶漬けでも作りましょうか」
うん、と頷く先輩は、長期任務に立つ前まで馴染んでいた先輩のままだ。
いつもは冷凍庫に、何かしらストックがあるのだが、今日は何もない。
「海苔茶漬けでいいですか?」
尋ねながら、ボクは先ほど身内を貫いた痛みを思い出す。
ああ、そうか。ボクは、先輩に会いたかったのだ。
とても、会いたかったのだ。

小隊の一つを任されたボクは、ことあるごとに、「カカシ先輩だったら、こんなときどうするか」と考えた。
ボクと先輩は違う。個性も忍としてのありようも違う。
けれどボクにとって、上司として範にしたいのは先輩だ。土壇場での決断力、いざというとき道を切り拓いていく行動力、そして何より決して仲間を見捨てない強い意志。
先輩のようにうまくできたわけではない。それでも、ボクはやってのけた。まぁ、うまくできたほうだと思う。
別に、ほめて欲しいわけではない。
ただ、このひとがいたから、今回のボクがあったことを、会って確かめたかった。
そして、あとは……なんども思い浮かべたそのひとの実像に、会いたかっただけだ。

なのに、あんな噂を聞いて……。
先ほどとは別の痛みが走った。これは、知っている。嫉妬、だ。他を妬む気持ちが生み出す、どす黒い感情。
妬みは、時に国を揺るがすこともあるけれど、ボクのコレは、ボクがいない間、先輩のそばでその温もりを分け合った相手へのものだ。

「なーに、ため息ついてんの?」
ひょい、と先輩が肩越しに声を掛けてきて驚いた。
「テンゾウがつくるお茶漬け、おいしーんだよね」
無邪気に喜ぶ声だけ聞いていると、このひとのどこが暗部の凄腕なんだろうと思う。
いつも思っていたことを、また思った。
「はい、どうぞ」
大ぶりの椀に、熱い茶をかけまわして先輩に渡す。同じものを、自分にも。
にこ、にこ、にこ。嬉しそうに茶漬けをかっこんでいる先輩に、思わず笑顔になる。
もう、いいや。なんでも。
こうして、ここにいてくれるなら。
独占したいなんて、ボクだけのものでいてほしいなんて、そんなことは思っていない。
「ごちそうさまでした」
そう言って、先輩が目を伏せ、上げる。
ボクが食べ終わるのを待っている。
食べ終わるのを? それとも、別の何かを?

散らかった食器もそのままに、ボクは先輩の手を取った。
小首をかしげるようにして、先輩はボクを伺う。そして、小さく「いいの?」と聞いてきた。
こんなこと初めてだったから、ボクは戸惑う。
「えっと、その……疲れてない?」
ためらいがちに、照れているとも思える口調で聞かれ、ボクの理性は崩壊した。いや、消滅した。
疲れているかって? そりゃ、疲れている。疲れているけれど。違う、疲れているからこそ、ボクは。

神経をすり減らし、体力も削り、へとへとだった。
けれど、小隊長だったから、疲れを見せるわけにはいかない。
ぎりぎりまでチャクラを消耗しながら、いつもヘラリと笑っていたこのひとのように。
ボクは……。

「く、くるし、テンゾ」
小さく訴える声を無視して、ボクは抱きしめた。
ボクより少し細身で、でも鋼のように鍛えられた身体を、力いっぱい抱きしめた。
会いたかった、会いたかった、会いたかった。
「先輩」
まるでボクのほうがすがり付いてでもいるかのようだ。
「会いたかった」
万感の思いを込めて告げた言葉は、結局、陳腐なひとことだ。
「うん……俺も」

先輩の体温と心拍数が一気に上がった。
すでに潤み始めた目が、ボクを見つめていた。