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 お婿にいった四+カカのお話
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  らすてぃ・ねーる-12話
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  恋女   後顧   おまけ
  ストーカー被害に合うテンゾウと
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  九夜十日
  イタチ里抜けのとき

  百年の恵み
  長期任務の小隊長を命じられるテン
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  初めての遠距離恋愛なテンカカ
  たーにんぐ・ぽいんと-8話
    テンゾウの帰還

   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
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 【1部】 だーてぃ・まざー-4話
 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
 【3部】 ぶれいぶ・ぶる7話
 【Epilogue】 そして、恋

  あふろでぃーて-5話 -キリリク話-
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  春霞-4話
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4話
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  久しぶりのカカシとの任務
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  波の国任務の少しあと
  てぃままん-3話
  波の国と中忍試験の間

  月読-5話 -キリリク話-
 月読の術に倒れたカカシを心配しつつ、
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  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
  惚れ直すテンゾウ
 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
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-ヤマカカな話-

  再会-Reunion-  第二部





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2007年08月30日(木)
たーにんぐ・ぽいんと 1)

*これは「百年の恵み」「百年の孤独」から続くお話です。


『写輪眼がさ……』
耳を掠めた言葉に、ボクは足を止めた。
『入りびたりだって』
『ここんとこ、遊郭での噂、聞かなかったのにな』
『いい妓でも見つけたんじゃないか』
『いつもの、気まぐれだろ?』
『いつまで続くか、賭けようぜ』
『ああ、それいいな、じゃ、俺、1ヶ月……』
声の主たちを問い詰めてやりたい衝動を抑えて、ボクは自室に向かった。
ヒグラシが名残の夏を惜しむように鳴いている。
今回の任務のため特別に編成された暗部4個小隊の一員として出立したのは、里の木々が夏に向かって濃い緑をまといはじめたころだった。
あれから2ヶ月余り。主のいなかった部屋には、うっすらとホコリが積もっている。
窓を開け放って部屋の熱気を逃がし――。
「先輩? 何やってるんですか」

目の前の枝葉の影から、カカシ先輩の夏でも白い顔が覗いていた。
「お帰り。テンゾウ」
ヒョイと身軽に窓から入ってくる。
「あ……ただいま戻りました」
暗部面を後ろに回し、口布を下げた先輩がニッと笑う。
「オレって、いい勘してるなぁ。そろそろ戻るころかなって思って来てみたんだ」
「先輩は? 任務帰り……じゃないですね」
「今日は里内警備。交替の時間になったら、また来るね」
チュッと音を立ててボクの唇を軽く吸うと、面を前に回してまた窓から飛び出していく。
ひらひらと揺れる右手の残像が、しばらく目の奥にちらついた。
『いい妓でも見つけたんじゃないか』
噂話を思い出し、ボクはため息をついた。

初めてツーマンセルで任務を請け負ったのが、初春のころ。
その日、ボクたちは初めて抱き合った。
あまりに自然に腕の中におさまったあのひとに、驚くよりも先に、ボクは溺れた。
戸惑いは、遅れてやってきた。
それはそうだ。カカシ先輩には、両手の指では足りないほどの“伝説”がある。
虚実ないまぜとなったそれらは、もはや尾ひれ背びれに羽まで生えたとしか思えず、信憑性は薄いのだが、反面、妙な説得力もある。つまるところ、はたけカカシという男は、伝説さながらに実態が掴みづらい存在なのだ。
そんな彼が、猫科の動物のようにするりと身体を寄せてきたとしても、真意がどこにあるのかなど、ボクごときにわかろうはずもない。
つまみ食いされたのだ、と割り切ろうとしたこともある。
けれど、違っていた。
違っていたとわかってからは、熱に浮かされたようだった。
まるで、互いをむさぼるかのような時間だった。
その前から、カカシ先輩の足は花街から遠のいていたが、あのころも同様だった。
ただ、その理由は、他里の忍に狙われているから、というものだ。
決してボクがいたからではない。
それでも、ボクたちはたびたび甘く濃密な時間を共有した。
たまに任務がすれ違うことがあっても、たいていは同じ隊で動いていたし、待機の日は一緒にいた。
恋人同士だと、思っていた。言葉に出して確かめもした。
けれど、やはり不安は根深く、ボクのなかにあったのだろう。

長期任務、と聞いたとき、初めてボクは先輩と離れていることの不安を自覚した。
先輩の肌に馴染んだ時間を思い、先輩と離れて過ごす時間を何度も思った。

でも、待っていてください、とは言えなかった。
浮気をしないでほしい、とも言えなかった。
喉まででかかったその言葉を、結局、のみ込んだのはなぜだったろうか。
多少は見栄もあったかもしれない。
そんなことを言ったら、まるで先輩を信じていないようじゃないか、とも思った。
けれど、では信じていたのかと問われれば、答に詰まる。
任務に就いているボクはいい。
会いたいと思うことはあっても、相手に触発されないと情動の起こらない体質だ。
けれど先輩は違う。身近にいれば、いつもボクを欲しがった。
そのさまは冷静に見ても、発情期真っ最中の獣並だった。
遊郭に居続けたという噂も、あながち嘘ではないと思ったほどだ。
そんな先輩に、ひとりで耐えろとは言えなかった。

出立の前夜、先輩に急な任務が入った。
早朝の集合のとき、ちょうど任務を終えて帰ってくる先輩と行き合った。
少し離れたところからボクたちを見送る先輩に、若手を中心に構成された隊はざわめいていた。
なぜ、あのカカシ先輩が?
不思議に思いながらも、みなどこか湧き立つような気持ちでいたようだ。
先輩の視線とボクの視線が、一瞬だけ絡み合ったとき。
先輩は肩のところで手をヒラヒラとさせた。
面をしていたから表情はわからなかったが、たぶん先輩は笑っていたのだと思う。
その身体のどこからも血臭が感じられないことに安堵して、ボクは旅立った。

帰ってきたときのことを考えなかったといえば嘘になる。
ただ、今までと同じような時間が流れると思っていいのかどうか、わからなかった。そうであればいい、と願いはしたが、所詮、願望だ。
その一方で、先輩との絆が断ち切られることはないと確信していた。
ボクの所属はカカシ先輩の隊だ。それは変わっていない。

帰ってきた途端に聞かされた浮名には、正直、やられた、と思った。
そして、さっきの行動。
「やっぱり……わからん」
ボクは窓際に、座り込んだ。というより、脱力した。
――いい妓を見つけたんでしょう? だったら、なんでボクの部屋になんか来るんですか?
目の前にいない先輩に向かって、あれこれと質問を放つ。
――そろそろ戻るころ、ってどういう意味ですか? まるで……。
そう、まるでボクの帰りを待ちわびていたみたいな言い方じゃないか。
でも、花街にもいい妓がいる。
――それはそれ。これはこれ。そういうことなんですか?
自分で言っておきながら、それはそれ、これはこれ、ってどういう意味なんだろうと考える。

「また、来るね」
先ほどの言葉に、「別れ」の匂いはなかった。
おそらく、別れるときは何も言わず去っていくだろう。
そしてボクは、そうやって先輩が離れていけば、地に沈み込むかのような寂しさを覚えはしても、追いかけるようなことはしない。任務に支障をきたすような真似もしない。
いかに私的な感情を切り離して任務に臨むことができるかは、暗部の適正のひとつだが、それに関してボクは自信をもっている。
ボクのそういう資質をふまえたからこそ、先輩はボクと関係を結んだと、どこかでボクは思っていたのかもしれない。何かあったとき、説明も弁明も必要ない相手だったから、と。

だったら、なんのために来るのだろう?
「もしかして、次の任務の話?」
一応、長期任務から戻ったばかりだから数日の休暇をもらえるはずなのだが。
もし、先輩が特に必要とされる任務があれば、ボクがバディを組むことも考えられる。あるいは、ボクが間に合えばボク。帰還が間に合わなければ別の相手、という二段構えなのかもしれない。
ならば、「来る」の意味もわかる。
長期任務から戻ったばかりのボクが、また任務に出ることができるかどうかの様子伺いだとしたら。
「なんだ。そうか」
ボクは立ち上がった。
そういうことにしておきたかった。
あのキスに何か特別な意味があると、期待したくなる自分から目を背けたかった。

「まずは、洗濯かな」
次の任務が控えているなら、予備も含めて汚れきっている支給服を洗わなくては。
胸の底のほうがキリッと痛む。
痛みには慣れているはずの忍であるボクにとって、初めて経験する種類の痛みだ。
それがどういう意味をもっているのかぐらい、わかる。十代後半で経験するのが遅いのか、早いのかはわからないけれど。いずれ、この痛みも自分を鍛える糧になる。
ボクは汚れ物の詰まった荷物を抱えあげた