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 お婿にいった四+カカのお話
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 四代目とカカシの絆を知って、
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 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
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 【Epilogue】 そして、恋

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4話
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  月読-5話 -キリリク話-
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  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
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 ※途中、18禁あり
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  La recommandation
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-ヤマカカな話-

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2007年08月25日(土)
香る珈琲、そして恋 〜そして恋 最終話


「見てみて、テンゾウ、ほら、あれリンゴ飴」
「食べたいんですか?」
「ううん、甘いの苦手」
こんな問答を何回繰り返したことだろう。
最初は綿菓子で、次は飴細工、その次は焼きそばで次がたこ焼き、甘くない2つは「おなか空いてないもん」の一言で却下された。
つまり先輩は食べたいわけではなく、祭りのときのみ供される特有の食品について、ボクに教えてくれている、そういうことなのだろう。
そして「あ、金魚すくい」と言うや、まっしぐら。
なんかボク、ものすごいデジャブと言いますか、これ四代目と子ども時代の先輩だったんじゃないかという推測に捉われているのですが。配役はまったく異なっていますが。
あわてて追いつくと、「金魚じゃなかった」とふくれている先輩がいた。
子供用のビニールプールの中でぷかぷかしているのは、小さなボールだった。
「あ〜ぁ、なんか情緒がないなぁ。最近は金魚すくいじゃなくて、スーパーボウルなんだって」
ぶーたれる先輩を、「まぁまぁ」とおだてて、ボクは使い捨て容器に注がれたビールを差し出す。
「ボクらは、こっちでいいんじゃないですか?」
続いて、焼き鳥の包み。
「味は保証しませんけど」
と言うと、先輩は笑った。

「オレ、いま分かったよ」
焼き鳥をもぐもぐしながら、先輩が言った。
「四代目、オレに気を使ってお祭りにつれてきてくれたとばっかり思っていたんだけど、違ったんだね」
「違った?」
「あれ、絶対、本人がお祭りを楽しみたかったんだよ」
そうだよ、あのひと、意外とノリのいいひとだったからなぁ、と先輩が呟く。
たぶん、それはどっちもほんとうのことだったのではないかとボクは思う。
先輩に祭りの楽しさを経験させたかったのもほんとう。でも、自分が楽しみたかったのも、実はほんとう。
自分がその楽しみを知っているから、先輩と一緒に楽しみたかったのだ。
任務だけでなく、楽しい思い出に残る日々を分かち合いたくて。
「ステキなひとじゃないですか」
そう言うと、先輩はまるで自分をほめられたみたいにちょっと照れた。
妬けたけど、でも、里を守って散った四代目に敬意を表して、焼きもちはひっこめた。
「あ〜あ。一回ぐらい、やっておけばよかったなぁ」
突然の先輩の言葉に、ボクは飲み込もうとしていた焼き鳥を喉に詰まらせた。
「1回ぐらいって、ゲホ」
「だいじょ〜ぶ?」
心配そうにボクを覗き込んで先輩が眉根を寄せる。
「だいじょ……ゲホ……です」
「伽任務の指導もしてくれなかったしさ。ほんと、四代目って先生だったんだよね〜」
う〜ん、とボクは唸った。
里の英雄について、あれこれ憶測で物を言うのはどうかと思うが、四代目もかなりぐらついたことはあったんじゃないだろうか?
生身の男だったら、きっと……。
実は四代目の私生活については謎が多い。
表立っては噂されないが、暗部のなかではいくつかの憶測が乱れ飛んでいる。
曰く、九尾を封印された赤子は四代目の息子だったとも、また違うとも。
そして、奥方がいたとも、いまだ正式な婚姻はなされていなかったとも言われている。
先輩は、四代目には思い思われた奥方がいた、と言っていた。
それがほんとうのことなのか、先輩の願望、あるいは思い込みが見せた幻なのか、あるいは子どもで事情を知らない先輩の目にはそう映ったにすぎたかったのか、いまのところ確かめるすべはない。

「ちょっとは経験があれば、テンゾウのことももっとわかったんだろうけど」
ポツンと呟かれた言葉に、違和感を覚えた。
「ちょっとは?」
問い返すと、先輩は「しまった」という顔をした。
「ちょっとは、って、それどういうことですか?」
ボクの問いを無視して、焼き鳥の串に手を伸ばした先輩の手首を掴む。
「えっと、ね? オレ、焼き鳥食べたい」
「そうですか」
「だから……」
「ちょっとは、って、どういうことですか?」
はぁ、と言うと先輩は、ボクに掴まれていないほうの左手を上げた。降参、とでもいうように。
「そういうの、聞き流してほしいんだよねぇ。でないと、オレ、いっつも気を抜けないじゃない」
「聞き流せないようなことを、隠しきれないほうが悪いです」
「だって」
「だってじゃありません。そんな安い想いは持ち合わせてないって言いましたよね、ボク」
ずいと迫ると先輩がずいとのけぞった。
「あ〜、えっと……」
先輩の目がすっかり暮れた空を見る。
「あのね、こんなこと今さら言うの、すっごく恥ずかしいの、わかる?」
内容がわからないのだから、わかるもなにも答えようがないが、とりあえずボクは頷いた。
「だからね、絶対、笑っちゃ、ダメだよ」
「はい」

すぅ、と先輩は深呼吸した。
そんなことをしないといけないような内容なのだろうか、とわずかに身構える。

「オレ……テンゾウが初めて、なの」
は? と言いそうになって、思わず口をつぐんだが、疑問は目に浮かんでいたのだろう。
「だから!」と少し焦れたように先輩が口調を尖らせる。
「初めてなの、こーゆーことするの」
え? だって、先輩の浮名は……。
違う、そうじゃない、先輩の言う「こーゆーの」は、今のボクと先輩の関係のことだ。
「そりゃ、オレは、散々遊郭には通ったし、戦場で気が向けば性欲処理につきあったりもしたよ、それは知ってるよね?」
ボクは先輩の勢いに気おされて、コクコクと無言で頷いた。
「でも、だれが……」
呟くような言葉に殺気がこもっている。
「だれが、大人しく突っ込ませてやるものか。先生はね、心配ばっかりしてたけど、オレは、先生の監視をかいくぐってオレに突っ込もうとするような相手に、大人しくしているようなガキじゃなかったんだよ」
「え?監視をかいくぐって?」
「ああ、そりゃもう、散々狙われたよ。先生もとっても気をつけてくれてはいたけど、欲に狂った輩はそんなもんじゃないんだよ。今だから言えるけど、オレ、言うこと聞く振りして、局所食いちぎって何人か半殺しにしてるんだ」
へ? 食いちぎって……。
「もちろん、全部、正当防衛と認められたよ」
でもね、と先輩は言う。
「オレが子どもじゃなかったら。きっとあいつらも、そんな気持ちにはならなかったんだろう、と思うと、くやしくてくやしくて、なんで、自分は大人じゃないんだろ、と思った」
キッと鋭い眼差しをボクに向ける先輩は、どこか子どもみたいな顔をしていた。
早く大人になりたかった子どもだったのだ、先輩は。
子どもである自分を受け入れられなくて、だから……。
そんな先輩だったから四代目は、心配したのだろう。
子どもらしい楽しみの感情を知って欲しいと思ったのだろう。
ご尊父が存命なら、任務のときはともかく家に帰れば、子どもらしい生活もあったのだろう。
不器用な方だったようだが、先輩のことはかわいがっておられたようだから。
でも。

「テンゾウが、初めてなんだ」
ああ、なんでそんな大事なことを、こんな神社の境内の石垣に腰掛けて、使い捨て容器のビール片手に焼き鳥をつついているときに言うのだろうか、このひとは。

「ほんとはね、最初のときに言おうと思ったんだけど」
そう言って、先輩は照れたように脚をぶらぶらさせる。
可愛いだけだから、ヤメロと言いたい。
「それもさ、なんか、恥ずかしいじゃない。それに、テンゾウに引かれちゃったら、いやだなとも思ったし。ほら、オレのイメージって遊び人でしょ? 遊び人が実はって、言ってもねぇ、女じゃないし」
それにさ、と先輩は、うつむいたまま言った。
「オレが初めてだろうが、なんだろうが、そういうのとは関係なく、オレを欲しいと思ってくれてるのかなって……、ちょこっと……ほんと、ちょこっとだよ、思ったんだ」
えへへ、と先輩は笑う。

ああ、もう。
どうしてくれようか。

だから、なんだというわけでもないのだが。

先輩はまた、えへへ、と笑って、ボクの腕に腕を絡ませた。
「ね〜、早く帰って、しようよ」
ガクンと、ボクはけつまずく。
「あ〜もう、なんか、ガッツンガッツン突っ込まれたい気分」
はぁ、気持ちは嬉しいです。
でも、その色気のなさが悲しいです。
思ってもいえない言葉を、胸の内で呟く。

「だってさ。すっごく幸せな気分なんだもの。ああ、ここにテンゾウがいる、って思うとさ」
晴れ晴れとした顔でそう言われて、ボクが抵抗できようか。

ニコと笑う顔を見て、ボクは思う。
四代目、先輩を巡って決闘などする必要のないことを、ボクはほんとうに幸運に思います。
でも。
望んでも詮無いこととわかっていて、尚、ボクは望んでしまいます。
あなたが生きていてくださったら。
四代目火影として、あなたがここにいて、そして、先輩とボクがいて。
ボクは無謀とわかっていても、あなたに決闘を申し込むでしょう。
たとえ、相手にされなくても。
そして、言うのだ。
「先輩をひとり残して死ぬんじゃね〜。おまえがぼやぼやしていたら、あいつをいただいちまうんだからな!」
そうやって、タンカを切ってやるのだ。
でも、四代目はいない。
あいまみえる前に、別の世に去った。

「へ、ボクの勝ちだ」
言葉に出して、それが強がりだとわかる。
それでも、いい。

ボクは決めている。
長いか短いかわからない己の生涯で、これが最初の恋。
そして、同時に最後の恋にすると、決めている。
この恋以外、いらない。
この先、どんな人生が待っていようとも、この恋だけで、ボクはいい。

「じゃ、先輩、さっさっとかえりましょう」
「へ?」と先輩がボクを見る。
「さっさとかえって、ガッツンガッツンするんでしょ?」
あ〜、えっと、と先輩が言葉を探す。
「一晩中でも、オッケーですから」
そう言うと、先輩は爆笑した。
「言ったな」
「はい、言いました」
「じゃあ、一晩中、付き合ってもらうよ」
「ええ、お望みのままに」

ボクたちは子どものように手を繋いで、部屋に戻った。
部屋にはいるなり……獣の交尾のごとく繰り広げられた欲望の一夜を、そのさなか、先輩が一度だけ零した涙を、ボクは決して忘れない。


<了>