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 お婿にいった四+カカのお話
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  マラスキーノ 後日談
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  らすてぃ・ねーる-12話
 ※4 に、テンカカ以外の絡みあり
  任務に出た二人
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  恋女   後顧   おまけ
  ストーカー被害に合うテンゾウと
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  九夜十日
  イタチ里抜けのとき

  百年の恵み
  長期任務の小隊長を命じられるテン
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  初めての遠距離恋愛なテンカカ
  たーにんぐ・ぽいんと-8話
    テンゾウの帰還

   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
 テンゾウは……

 【1部】 だーてぃ・まざー-4話
 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
 【3部】 ぶれいぶ・ぶる7話
 【Epilogue】 そして、恋

  あふろでぃーて-5話 -キリリク話-
 くるみ


  a`la carte
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  春霞-4話
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  ちぇい・べっく
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4話
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  久しぶりのカカシとの任務
  聖牛の酒-3話
  波の国任務の少しあと
  てぃままん-3話
  波の国と中忍試験の間

  月読-5話 -キリリク話-
 月読の術に倒れたカカシを心配しつつ、
 イルカ先生の存在が気になるテンゾウ

  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
  惚れ直すテンゾウ
 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
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-ヤマカカな話-

  再会-Reunion-  第二部





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2007年08月19日(日)
香る珈琲、そして恋 〜ぶれいぶ・ぶる 3)


警備のために里を巡回している暗部のかすかな気配が、近づき遠ざかっていく。
少し前には、2小隊の中忍上忍混成チームが、大門に向かっていた。
そろそろ日付の変わるころだろう。先輩はまだ戻らない。

合鍵もあるが、ボクは先輩が部屋に戻るときに見渡せる道端に、いた。
先輩からボクが見えるということは、ボクからも先輩が見えるということだ。

遠くに酔っ払いのダミ声が聞こえる。
いい気分なのだろう、調子っぱずれの歌を歌っている。
思わず苦笑がこぼれたとき、闇を透かして、淡い人影が見えた。
気配がないから、まるで幻のようだ。
幻が、一瞬、足を止める。ボクに気づいたのだ。
それからまた、歩き出す。先ほどと同じ速度で、急ぐでもなく、いつものように飄々と。

互いに夜目が利く者同士、視線が絡み合う。
片方の目が、ボクを見つめる。
紅蓮の炎を宿した左目も好きだが、生まれたままの右目も好きだと改めて思う。

余程近づいてから、先輩は足を止めた。
「お帰りなさい」と言うと、うん、ただいま、と答え、何してるの?と言う。小さい、いまにも消え入りそうな声だ。
「もちろん。待ってたんですよ、先輩のこと」
「部屋で待っていればいいのに」
「いいんです。待っている、という状況に浸っていたかったんです」
なにそれ、と呟いて、先輩が少し笑った。
「お土産にもらった酒、一緒に、飲みましょうよ」
先輩の目が、うつむく。そして小さく「うん」と聞こえた。

部屋に入ってからも、先輩はどことなくぎこちなかった。
そそくさと着替えると、冷蔵庫の扉を開け、「なにもない」と言う。
その背に、「つまみは調達してきてますから」と声をかける。
匂いで気づいているはずなのに、そうやって間を持たせているのだろう。
「ビールでも、買ってくる」
「ビールもあります」とボクは冷えたそれを荷物のなかから取り出す。もちろん、酒瓶も。
「えっと、グラス」
ボクに背を向けたまま、先輩は食器棚を覗き込む。
諦めて座ってください、と喉まで出掛かっている言葉を呑み込んだ。

それからも、やれ取り皿だの、箸だのとひとしきりウロウロして、ようやく先輩は座った。

「お疲れ様でした」
ボクの言葉に、少しだけ笑みを浮かべグラスを掲げる。
それを、一息で空け、グイとグラスを差し出した。
どうやら開き直ったらしい。
虎面や鳥面が言うように、子どもみたいな反応だと思いながら、空のグラスにビールを注ぐ。
「テンゾウ、飲んでないじゃない」
「ボク、ヒガタたちと一杯やってきましたから」
「あっそ、じゃ、遠慮なく」と先輩は、居酒屋で持ち帰り用に包んでもらった串焼きに手を伸ばす。
「まったく、三代目も話が長くて困るよ」
おかげで喉は渇くし、腹も減るし、などと、ブツブツ言いながら、でも、やはりボクの顔を見ようとはしない。

「先輩」と呼ぶと、串焼きを物色している振りをしてボクから目を逸らせながら、「ん〜?」と答える。
「好きです」
しん、と、静寂が広がる。
カカシ先輩の手は空で止まり、目は串焼きのうえで留まったまま、見開かれている。
「ボクは先輩のことが、だれよりも、好きです」
ようやく、先輩が顔をあげた。ひどく真剣な顔でボクを見る。
「なんか……悪いものでも、食べた?」
「いいえ。悪いものも食べてませんし、術にかかっているわけでもないですし、もちろん酔ってもいません」
ボクの言葉に嘘のないことを確信したのか、また先輩の視線が下を向く。
「どうしたのよ、急に。驚くでしょ」
「いいじゃないですか。急に言いたくなったんですから」
先輩は黙ってしまった。
「先輩、四代目の話、聞かせてください」
ボクの言葉に驚いたのか、顔をあげた先輩の表情は無防備で、いっそ子どものようだった。
「ボク、このまえの任務の関係で、四代目と先輩の話を聞いたんです。四代目が先輩の師匠だったのはもちろん知っていますし、先輩が心から尊敬していた方だというのも知っていたんですが、ちょっと動揺してしまいました」
「動揺?」と先輩が首を傾げる。
「はい。四代目に深く愛されたあなたに、ボクは何ができるのだろうか、ボクでは至らないことばかりではないか、と」
「テンゾウ!」
悲鳴のような声で、先輩がボクの名を呼ぶ。
「違う、チガウ!! 四代目とオレは、ほんとうに師弟関係以上の何物もない、いろいろ噂が流れているのは知っているけど、それは、ない! ないんだから」
「はい」とボクは先輩の興奮を冷ますように、静かに答えた。
「それは、わかっています。多くの場合、師が弟子に手ほどきする伽任務の手順も、結局、あなたは受けなかった。四代目が反対したから、ですね」
先輩の両の目が、真ん丸くなった。左では、紅蓮の炎が燃えている。
「でも、先輩、ほんとうはそのことを残念に思った。違いますか?」
先輩の白い顔が、さらに白く血の気を失っていく。
こんなふうに、感情を露に、うろたえる先輩を初めて見た。
鎌をかけただけなのに、それにさえ左右される、それほどこのひとを縛っている想いを、ボクはじっと見据える。

じっと見据え、それを胸の内に受け止める。
それでも、と思う。
それでも。

――ボクはやっぱりあなたが好きだ。

あなたが背負っているもの、ボクが知っているものあれば知らないものもある、それらすべてをひっくるめて、ボクは好きだ。
はたけカカシという、この男を好きだ。
ボクは、それを、そのことだけを確かめたかったのだ。
自分の想いが、相手が返す想いに左右されるのかどうか。
相手が答えてくれないからと褪せてしまう想いなのか、それとも、はなはだ勝手ではあるが、ひとり燃やし続けることのできる想いなのか。
そして、ボクは確信した。

――どうあっても、ボクはこのひとを好きだ。

ならば、それでいいじゃないか。
最初は憧れだったかもしれない。同胞意識もあるのかもしれない。
共に危険な任務にもついたから、そういう意味での勘違いもあったかもしれない。
でも、過去を奪われ、望みもしない他人の細胞を植え付けられ、どこまでが自分でどこからが自分ではないのか、定かではないボクにとって、この想いだけは間違いなくボク自身のものだと言える。
それがあれば、もう、いいじゃないか。

ボクの人生、上等だ。

「さ、飲みましょう。先輩も応援任務のあとだから、どうせ明日は待機でしょう?」
ボクは土産の酒瓶の口をひねり、蓋を外す。
「このまえ、屋台で飲んだのもうまかったですが、これもいい香りですね」
吟醸香を放つ酒を、出したまま使っていないグラスに注ぎ、先輩に渡す。
先輩は、ポカンとボクを見ていた。
「どうしたんですか?」
「テンゾウ、聞いてないの?」
「聞いて? 何を?」
「だから、四代目とオレの噂」
いや、嫌と言うほど知っていますけれど、と答えかけて、ボクは口をつぐんだ。
そういえば、虎面も鳥面も、ついでいえばイナダもヒガタも、四代目絡みのボクの発言には、ずいぶんと食いついてくれたっけ?
はぁ〜、と先輩がテーブルに突っ伏した。
「バッカみたい、オレ」
「ええと」とボクは先輩を見る。つむじが2つある頭頂部が、目の前にある。
「先輩?」
先輩は無言だった。
「もしかして、四代目と先輩の噂が、新たに暗部内に流布しましたか?」
突っ伏したまま、先輩が手だけをヒラヒラと起こした。肯定、ということだろう。
「それ、もしかして、ボクが鳥面と任務で里を離れていた間、とか?」
また、ヒラヒラ。
「でもって、先輩、ボクの耳にその噂が入る前になんとかしようと、ボクを探し回ったとか」
今度は、無反応。まあ、先輩の沽券にかけて、肯定したくはないわな。
「あの屋台での、ボクと鳥面の反応から、もうボクの耳に入ったと思いましたね?」
し〜ん、という擬態語が聞こえて聞こえそうなほど、先輩の気配が薄くうす〜くなっていく。

「先輩、それ、どんな噂だったんですか?」

先輩はボクの問いに、死んだフリをしてくれた。