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 お婿にいった四+カカのお話
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   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
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 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
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 【Epilogue】 そして、恋

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4話
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  月読-5話 -キリリク話-
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  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
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 ※途中、18禁あり
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-ヤマカカな話-

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2007年08月20日(月)
香る珈琲、そして恋 〜ぶれいぶ・ぶる 4)


「じゃあ、いいにします。噂については、聞きません」
ボクは先輩のつむじを見る。
まったく気配もなく、息遣いもなく、心拍数も極限まで落として……なんて無駄なことをやっている先輩に呆れる。
その一方で、かわいいなぁ、なんてことも思う。
「先輩と四代目の間に、師弟関係以上の具体的な事項はなかった、それもボクは信じています、でも」
ごくわずか、ピクンと先輩が反応した。
ずっと先輩の背を追いかけているボクだから、辛うじて気づくことのできる先輩の動揺。
「でも、先輩にとって四代目は、敬愛する師であり、尊敬する忍であり、同時に……恋い慕う相手だった時期がありましたね?」
ガバと先輩が顔をあげ、回りかける写輪眼に先輩自身があわて、両手で顔を覆った。
色事には長けているのに、根は純情というか……。
こんなふうにおたおたおろおろする先輩を見ることができただけでも、本望だとさえ思う。

「ねえ、先輩」
ボクは手を伸ばして、先輩の髪に指を絡ませる。
「どうか……後ろめたく思わないでください。何も感じないと言えば嘘になりますが、そういう過去も含めて、ボクは先輩が好きなんですから」
偉そうなセリフだ。その境地に到るには、少々、険しい道のりだったことは認めよう。先輩には、言わないけれど。
「……だなんて、思ったことない」
突然、先輩が怒ったように言う。まだ顔を覆っているせいで、最初のほうがよく聞こえなかった。
「え?」
「だから」
「お願いです、顔を見せて」
しぶしぶといったふうに先輩が手をおろし、顔をあげた。まだ、蒼白だ。
普通、赤面するところだろうに、と思いながら、なんだかそんな先輩が痛々しくてならなかった。
ボクは髪に絡ませたままだった指を解き、そっと頬に触れた。ひんやりとしている。
そんなに衝撃だったのだろうかと思うと、いっそ意外な気がした。
「恋だなんて思ったことはなかったよ」
泣いているような笑っているような顔で先輩が言う。
「先生がいなくなって、ずっとたってから、あれを普通、恋と呼ぶんだと、やっとわかった」
「初恋、ですね」
先輩の片方の頬に掌をあてる。冷えた頬をあたためるように。
先輩は目を見開いてボクを見た。
「はつこい?」
問い返しながら目を閉じる。
「はつ……こい……」
伏せた睫が震え、左の目からだけ透明な雫が溢れてきて、ボクの手を濡らす。
このひとは、そんなことさえもわからないまま、途切れた想いを抱きしめてきたのだろうか。

わけのわからない激情が、突然、湧き起こった。
なぜ、こんなにも純粋な想いが、あの数々の噂になってしまうのだろうか。
なぜ、だれもが心のうちに大事にしまっているはずの、甘やかで密やかな思い出さえも、揶揄や侮蔑の対象になってしまうのだろうか。
幼くしてその才を花開かせながら、不幸にも後ろ盾を失くした、という、ただ、それだけで。

「はつこい……かぁ……はつこいって、実らないものなんだよね」
片方の目からだけ涙を溢れさせながら、先輩の口元が笑みの形になる。
こんなときにも笑おうとする先輩が、いとおしくて、ボクはもう片方の手も伸ばして、両手で先輩の頬を包み込んだ。
間のテーブルが邪魔だったが、蹴飛ばすわけにもいかない。
先輩は、そのボクの両手に自分の手を重ねた。
ボクたちは、そうやってしばらくの間、ただ黙っていた。
そうやって、静かに時を共有していた。

先輩が伏せていた目をボクに向け、目元だけで微笑んだのは、深夜も深夜。
もう少しすれば、夜明けも近くなろう、という頃合、任務で野営をしているときなら、最も緊張する時間帯だった。
「飲もっか」
すっかりぬるくなって気の抜けたビールの入ったグラスに手を伸ばし、一息で飲み干して渋い顔をする。
「まずい」
思わず笑ってしまったボクに、先輩がふくれる。
ボクは立ち上がり、冷蔵庫から冷えたビールを持ってくる。
「はい、どうぞ」
まだ、ふくれている先輩は無言のまま、ずいとグラスを差し出す。
ああ、かわいい、なんてことを思うボクは、相当、いかれている。
きっと四代目も、先輩のことがかわいくてかわいくて仕方がなかったんだろう。
いつの日になるか、あの世とやらに行ったら、ぜひ酒でも酌み交わしたい。
そして、先輩のかわいさについて、延々、語り合いたい。
などと、思っていたボクは、ほんとうにノンキものだ。
だって、そうではないか。
先輩とゆっくり部屋でくつろぐのは、実に3週間ぶりだったのだ。

もちろん、先週は屋台で偶然会ったし、その前、ボクが鳥面との任務に発つ前にも、一緒にメシを食った。ただ、そのときは入れ違いに近いスケジュールだったので、メシを食っただけだ。
その前は、先輩が2日間の単独任務、で、さらにその前が暗部カカシ小隊の任務で、つまりその任に着く前に休暇を過ごしたのが最後だった。
3週間ぶりに会ったのに、先輩が欲しがらないことにボクは気づいていなかった。
自発的な衝動に薄いせいで、どうも、その辺の配慮が後手に回るようだ。
遅ればせながらに気づいたのは、大して飲まないうちにうつらうつらし始めた先輩を、ベッドに運んでいるときだった。
「テンゾウが据え膳くっちゃっても、オレ、テンゾウのこと嫌いにならないよ」
そう言って、すぅすぅと寝息を立て始めた先輩を床に落とさなかったことについては、自分を褒めてやりたい。
しかし。
しかし、だ。
……アホ! ニブチン!! と、己をののしってやりたかった。

やっぱり、気にしていたんだ。
ただ、四代目との噂のことがあったから、先輩も強い態度に出られなかっただけで。
思いっきり、気にしまくっていたんだ。
だから、らしくもなく、火影屋敷に向かう道すがら、手土産をボクに届けてくれたのだろうし、部屋に入らずに待っていたボクの、いつにない行動についても、問い詰めることもしなかったのだ。
それに何より、酔っているわけでもないのに、今日の先輩はなんだか情緒不安定だった。

『あんたねぇ、どっうして、そう、すっとこどっこいなわけ? もう、ほっんと、しんじらんない』
もし、ここに鳥面がいたら、地団太を踏みながら、きっとそう言うだろう。
“すっとこどっこい”がいかなるものか、ボクは浅学にして知らないのだが、きっとこういう場面に使われる罵倒ではないか、という気がする。
そういえば、さきほどもイナダに言われたばかりだ。
「そんなに好きなんだったら、それ、そのままカカシさんに全部、ぶつければいいじゃないか」
ほんとうに、そのとおりだ。
「なに、遠慮しているんだよ。本音ぶつけて、ケンカになっても、そうやってわかりあっていくもんなんじゃないのか?」
ヒガタは、「言っても、テンゾウには無理だよ」と笑っていたが。

よほど、疲れていたのだろう、先輩はぐっすりと眠っている。
それはそうだ、正規部隊の応援とは、つまり写輪眼を必要とされる任務である場合が多い。
帰里してすぐ、通常の報告ではなく火影屋敷にまで赴く必要があったほどの任務だ。疲れないはずがない。
それでも、疲れていても、いや、疲れているときほど、べたべたいちゃいちゃしたがるひとなのだ。
最近では、じゃれあうような愛撫に、ゆらゆらと身を委ね、挙句、ストンと眠ってしまう先輩に、ボクの暴走しかけた欲望が急停止して、眩暈を起こすことも、ままある。
それだけ甘えてくれているのだと、苦行を甘受するのが常なのに……。
――失敗した。
これが任務だったら、大チョンボだ。
どうしたものか、とボクは、ベッドの端に腰を下ろした。
疲れ切って眠っている先輩を起こすわけにはいかない。
先輩のためにも、我が身の安全のためにも、そしてこの建物とそこに住まう他の住人たちのためにも。
顔半分をタオルケットに埋めて眠る先輩の横顔に、ため息ひとつを挨拶代わりに、ボクは立ち上がった。
大して散らかっていないテーブルの上を片付け、グラスを洗い、残った惣菜は冷蔵庫にしまう。
帰ったほうがいいのかな、と自分が担いできた荷物を見て、それから、いや、ここにいようと考え直した。
とりあえず、だ。
近くにいる、というのは、最善ではないにせよ、よりよい策だということは、学んでいる。
ここで帰ってしまって、先輩に今以上に拗ねられるよりも、ここに残って、明日、目覚めた先輩に罵倒されるほうが、まだましだ。
帰るのは、それからでも遅くない。
ボクはしばし、ダイニングキッチンと呼ぶには質素な部屋の床と、続き部屋のベッドを見比べた。

――いまさら、か。
いまさら、遠慮することはない。
ここへ泊まるときのボクの定位置は、あのベッドのこちら側だ。
先輩に蹴り出されたら、それから考えよう。

ボクは向こうをむいている先輩の背に触れないように、ベッドに横たわった。
緩く空調をきかせた部屋は、夏なのに快適だ。
うつらうつらしかかったボクの肩に、寝返りをうった先輩の髪がかかっているのを夢うつつに感じながら、ボクは眠りに引きずり込まれていった。