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 お婿にいった四+カカのお話
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 四代目とカカシの絆を知って、
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 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
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 【Epilogue】 そして、恋

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  月読-5話 -キリリク話-
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  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
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  La recommandation
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-ヤマカカな話-

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2007年08月15日(水)
香る珈琲、そして恋 〜ぶれいぶ・ぶる 1)


「ただいま」
窓から声がしたとき、ボクはシャワーを浴びたあとの“パンツ一丁”という姿で、ぼへ〜と床に座っていた。
え? と振り返ると、開けたままの窓から銀髪が覗いている。
「先輩!」
あわてて窓に駆け寄る。
「おみやげ」
額宛を斜めにかけた先輩の、隠されていないほうの目が笑った。
差し出された手には、スーパーの袋みたいな手提げがあり、思わず受け取ってみると細長い箱が2つ。包装してあるが、重さといいかすかに聞こえる音といい、750ml入りの酒瓶が2本、といったところか。
と見当をつけて顔をあげると、カカシ先輩は影も形もなくなっていた。
「え? ええ〜!」
な? なにがどうして、どうなった?
「本人……だよな?」
まるで幻のように掻き消えてしまった先輩。
ボクは、しばし呆然と暮れかけた空を見た。

おかげで、先輩が任務から戻ったら夏祭りに誘うというボクの一大プロジェクトは、動き出す前に躓いた。
帰還した先輩と遭遇するパターンを何通りも考え、誘うタイミングや口実をシミュレートしていたのに、だ。
まったく予想外の出来事で、すべてが無に帰した。
そう、ボクはまったく考えていなかったのだ、先輩のほうからボクを訪ねてくれる、などというパターンを。
――これも、忍は裏の裏を読め、ってヤツですか?
呟いたボクの脱力感を、どうかわかってほしい。

先輩が正規部隊の応援任務に発つ前日、ボクが鳥面とのツーマンセル任務から戻った日、先輩からは避けられていたから、よもや帰還したその足で訪ねてくれるとは思ってもいなかった。
相変らず、よくわからんひとだ。でもって、行動も読めない。ボクごときには……と付け加えて、自分でへこんだ。
好きなのに。
こんなに好きなのに。
ボクが、ボクでなくて、もっと能力も地位も家柄もあるような忍だったら、違ったのだろうか。
もっと違った形で先輩と出会えたんだろうか。
大蛇丸の実験体だったという過去も、その前の失ってしまった過去も、全部ひっくるめてボクという人間なのだと最初に教えてくれたのが、カカシ先輩だったのに、ボクはそんなことを考える。

先輩は何を思って、酒を買ってきたんだろう?
ボクは箱を取り出し、包みを解いた。
聞いたこともない名前の酒だ。きっと任務で赴いた先の地酒なのだろう。
とりあえず冷蔵庫に収めて、ボクは服を着るために立ち上がった。
先輩の部屋を訪ねるぐらいしか、方策はない。
幸い、と言うべきか、鳥面がちょっとした怪我を負ったため、ボクらには1週間の待機が命じられていた。
先輩も単独で動く任務が入らなければ、待機だ。
考えた挙句、私服にした。けれど、緊急の呼び出しがあったときのために装備一式をリュックに詰め、少し悩んでから、土産の酒を1本、冷蔵庫から取り出して詰め込んだ。
そして、勇んで出かけたのに、先輩は部屋にいなかった。
締め出されたわけではないのは、合鍵が使えたからわかったが、行き先となるとお手上げだ。
里ハズレのおでんの屋台はもう夏休みに入っているし、先輩の部屋に来る途中、外から様子をうかがった立ち飲み屋にも、姿はなかった。
半ば意地になって、思い当たる限りの居酒屋――暗部の打ち上げで使ったとか、たまたま通りすがりに入ったとか、先輩が一度は足を運んだことのある店を思いだせる限り――当たったが、どれもハズレだった。
もちろん慰霊碑にも行った。先輩のお気に入りの場所、火影の顔が彫られている顔岩の崖の上にも行った。
けれど、影も形も、ない。
完璧に気配を断てる先輩だが、幻術を使うのでなければ、姿形まで隠せるわけではない。
思い当たる場所に姿がない、ということは、そこにはいない、ということで、でも里には戻ってきているはずだ。
結局、木の葉のメインストリートに戻ってきたボクは途方にくれ、立ち尽くすしかなかった。

「おい」と肩を叩かれたのは、どれぐらいしてからだろう?
振り返れば、イナダがいた。ベストを着用しているのは、暗部棟からの帰路なのだろう。
「何してんの?」
「あ」と言いかけたボクに、あからさまなため息とともに、呆れた視線を向ける。
「あのな、おまえ、不気味。往来に突っ立ってるなって」
「あ? ああ、すまない」
ボクはようやく、事態を呑み込んだ。
「いや……尋ね人が留守で、どうしたもんかと……」
「カカシさんなら、さっき火影屋敷に入っていくのを見たぜ」
火影屋敷……だったら、いくらさがしても見つからなかったのも、当たり前だ、とボクは思った。
そして、気づかなかった。ボクは一言も尋ね人が先輩だとは言わなかったのに、イナダが迷いなくその名を口にしたことに。
「そう……だったのか。じゃ……」
歩き出そうとした首根っこを、イナダに掴まれた。
鳥面とイナダの妙な相似に笑いそうになる。そういえば、ボクに対してどことなく強引で、なんとなく頭が上がらない感じが、似ているかもしれない。もっとも、二人に言えば、どちらもが怒るのは目に見えているが。
「おまえ、久しぶりに会った友人に、その態度はないだろうがよ」
え? と返すボクに、イナダは盛大なため息を零した。
「三代目に呼ばれてるんなら、カカシさんの用も長引くだろう? 一杯やる時間ぐらいあるだろに」
「あ、ああ……そう、だな」
引きずられるように居酒屋の暖簾をくぐる。その前に、イナダがベストの胸元から何かを取り出し、空に放っていた。
「式か? さっきの」
「ああ。ヒガタが開発中なんだ。いくつか預けられてて、呼び出しに使ったりして試している」
空に翻った途端、はじけたように見えた。
「なんつーか、匂いの式だ。ヒガタが匂いを辿ってここに合流できれば、成功、ってとこかな」
「へえ」と言いながら、地道に術の開発にいそしんでいるヒガタを思った。
体格のせいか鈍臭く見えるヒガタだが、実際には敏捷だ。それに、頭もいいうえに努力家。
このイナダにしても、暗部という名前から連想される殺伐としたイメージからは程遠く、人情味に溢れている。
「しばらく待ってみようぜ。ヒガタが来なかったら、別の試作品を試してみるからよ」
ボクとイナダは汗をかいているビアジョッキを軽くかかげた。
「最近、合同任務ないなぁ。このところカカシさん、単独や正規部隊の応援が多いだろ?」
「ああ」と頷きながら、ボクは里を抜けた元同僚を思った。
うちはイタチの里抜けによって、写輪眼を使えるのは先輩だけとなった。
イタチの弟、サスケは、忍としての才には抜きん出ているようだが、まだ開眼していない。
だから勢い、カカシさんに指名任務が舞い込んでくる。
「あのひとが隊長で指揮をとる任務、正直、しんどいだけど、俺、嫌いじゃないんだ。なんていうんだろう? 充実感ってのも違うし、満足感……なんてないしなぁ。達成感とも違うか……ただ、なんていうのかなぁ、ああ、終わった、っていうあの感じ?」
それは、わかる。
任務の内容なんて、謀略、暗殺、諜報、殲滅、いずれにせよ、ロクなもんじゃない。人間の欲と怨嗟の渦巻くさなかに、乗り込んでいくようなものだから。
それでも、いや、だからこそ、なのだろうか。
先輩が指揮を執ると、余計なことを考える暇もないぐらいに過酷で、生きるか死ぬかの瀬戸際を何度も味わい、かいくぐり、任務を終えたときは、ただひたすら生きていて良かった、としか思えない、余計なことなど考えられない、いわば真っ白に燃え尽きた灰みたいになる。つまり、自分が屠った相手の感触や、今わの際の顔や、断末魔の呻きや、そんなものをも含めて一切合財、燃え尽きた状態になってしまう。
そのうえ、自分のチャクラも使い果たしてしまう、バカな隊長の後始末までオマケについてくることもあり、里に戻るまでは、ひたすら無事に帰還することしか考えられなくなるのが常だった。
自分の行ったことの残酷さ、非道さに目が行くのは、里に戻り、ある程度、体力も気力も回復してからだ。
だから、ボクらはそれぞれに、己が手にかけた相手と己の任務とを、冷静に振り返ることができる。
これが中途半端に体力が温存され、戦闘時の興奮を残した一種異様な精神状態のときに、己のしでかしたことに眼を向けようものなら。
……狂い死にしてるかも、とボクでさえ、思う。
でも、過酷とも思える燃え尽き感が、実はボクらには救いなのだとわかるのは、だいぶ時間がたってからだ。
それまでは、先輩は血も涙もない隊長として恐れられる。なかには暗部を抜けるまで、わからない輩もいるのだ。
つくづく、割りに合わないと思う。
そんなことを考えながら、冷奴とモズク酢をつつくボクの隣で、イナダは緑鮮やかな枝豆を、時折、口に運んでいる。なんだか卓が地味だな、と思い、ああそうか、ヒガタがいないのだと気づいた。
ボクもイナダも、間違っても食が細いわけではないのだが、いつも、威勢良く注文をする相方がいないため、なんとなく場がもたない感じだ。
「焼き鳥でも、頼むか?」
そうだな、とイナダが答えかけたとき、ガラリと戸が開き、
「オヤジ、大ジョッキ2丁、と、レバサシ3人前、串揚げ10人前、焼き鳥おまかせで12人前、あ、野菜焼きもね。あと、ほっけの開きと、焼きお握り8個」
聞きなれた声がした。
「いたいた。今回は成功だ」
得意満面の笑みをたたえるヒガタに、なぜか後光がさしてみえたのは、きっとボクが疲れていたからだろう。

ドンと卓に置かれた大皿から、見る間に食料が消えていく。
ヒガタのこの食べっぷりに自分はうんざりしていると思ったのだが、違った。
うんざりしている、というのは、見栄だ。正直なところ、呆気にとられているというか、呆然としているというか、もういっそ、ほれぼれとしているとでも言いたい気分だ。
知り合って1年と少しだが、いつ見ても、見事な食欲だ。
これが、戦場ではほとんど兵糧丸しか口にしないのだと知ったのは、ごく最近のことだ。
「食べ物を消化するエネルギーってのは、半端じゃないんだよ。俺はとくに燃費が悪いから、戦場では普通に食事をするほうが効率が悪いんだ。だからと言って、普段から兵糧丸しか食べないんじゃ、逆に身体を悪くするだろう? これでも、けっこう調整には気を使ってるんだよ」
串から焼き鳥をひと口でこそげ取るようにして、咀嚼するヒガタに、ボクは頷くだけだ。
「なんか、おまえがそうやって、むしゃむしゃパクパク食べてるのを見ると、こっちまで釣られて食べちまうんだよな」
そういいながら、イナダも先ほどだるそうに枝豆をつついていたとは思えない健啖家ぶりだ。

「で? カカシさんとケンカでもしたのか?」
ふぅ、と満足そうなヒガタの吐息に混ざって、イナダが放った一言に、ボクは先輩の雷切に脳天を一撃されたような衝撃を覚えた。
「ケ、ンカ?」
バクバクとはねる心臓の鼓動を隠しながら、とりあえずジョッキをテーブルに置き、ボクはイナダに聞き返す。
目の前で、ヒガタが「バカ」と小さく呟いた。

遅ればせながら……ようやく、ボクは、イナダと出会ったときの会話を思い出した。
「そういえば……どうして、ボクの尋ね人がカカシ先輩だって、わかったんだ?」
はは、とイナダは両手を挙げて、降参のポーズをとる。
「うっかり言っちまって、しまったと思ったものの、おまえ、聞き流していたから、助かった!って思ったのにな」
串揚げを頬張りながら、ヒガタがまた「バカ」と呟いた。