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 お婿にいった四+カカのお話
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  月読 後日談


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 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
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 ※途中、18禁あり
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-ヤマカカな話-

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2007年08月09日(木)
香る珈琲、そして恋 〜ぶらっく・るしあん 4)


「ボクが……先輩の過去にこだわりすぎて」
「「過去?」」
二人の声が重なった。
「んなこと、はなから承知で惚れてたんじゃないの?」
鳥面の、あまりに直截な言葉に、別の意味でボクは言葉を失くした。

「そろそろ、いかがですか?」
食欲をそそるニンニクとトマトの香りに視線をあげると、骨付き肉とジャガイモの煮込みが食べやすいように取り分けられた状態で、ボクら3人の前に出された。カリカリに焼き上げられたパンが添えてある。
途端に腹の虫が騒ぎ出すのがわかった。
「そうね、おなか空いてたんだわ、思いっきり」
欠食児童のごとく、ボクらはしばし無言で料理と格闘した。なんとも贅沢な時間だ。
「うーん、満足。おいしかったぁ」
そう言いながら、ビールで喉を潤す鳥面、皿に残ったソースにパンを浸して、黙々と口に運ぶ虎面。
先輩ほどではないにせよ、任務を離れたボクらは、大なり小なり、子どものような面をもっているのかもしれない。

「さっきの」
皿が下げられ、軽く摘めるナッツとチーズが供されたのをきっかけにボクは口を開いた。
「過去、ですが。ええ、はなから承知のうえです。いろんな噂は以前から聞き及んでいましたし、いろいろ言ってくるひとは今もいますけれど、そんなことはどうでもいいんです。ただ」
そう、今さら先輩の流した浮名にこだわっているわけではない。
「ただ、今回、ちょっと……四代目のことを……」
「ああ、隊長が四代目のお稚児さんだったとかいう噂なら、あれは嘘だよ」
さりげなく、核心に触れるようなことを鳥面が言う。
「そう、言いふらしている輩がいたのは事実らしいけれど。おおかた、やっかみ半分だろう?」
「いえ、噂だとか、そんなものはどうでもいいんです。ただ、先輩が……どう思ってるのか」
しん、とした静寂のなか、ごくかすかにBGMが聞こえる。
さっきから鳴っていたのだろうが、初めて気づいた。
掠れた女性の声が、異国の言葉で歌っていた。
「おまえは、どうなんだ?」
ちょうど一曲終わったところで、虎面に尋ねられた。
「おまえ自身は、何をどう、思っているんだ?」

ごく短い無音の間をおいて、また異国の歌が低く聞こえる。
いつだったか、先輩が口ずさんでいた歌だ……。

「隊長の心がいまでも四代目に向いていたら、許せないのか? すべてを、自分に向けてほしいと望んでいるのか?」
問い詰めるでもなく、ただボクの思考を促すように、虎面が言う。
言われて初めて、ボクは何を気にしているのだろう、と自分自身に問いかけた。
「ボクで……先輩はいいんだろうか、と……」
「はぁ?」
呆れたような鳥面の声が聞こえた。
「あんた、アホ? あの隊長が、よ? 自分の忍犬に着せるマントひとつにもこだわって、市販品のあそこが気に入らない、ここがダメと散々ケチつけた挙句、どこがいいのか他人にはサッパリだけど、本人は大満足の手作りマントを着せてる隊長がよ?」
あ、あのマントには、そんな由来があったんですか? と、どうでもいいことをボクは考える。
「任務でもないのに嫌なことをガマンするような真似、するわけないじゃない。休日には終日惰眠をむさぼりつつ合間にイチャパラを読むのを至上の楽しみにしていた隊長が、よりにもよって休日にわざわざベッドから這い出てて、のこのこ会いに出かけていく相手に対して、妥協なんてするわけないじゃない? 妥協するぐらいなら、イチャパラ読んでニヤニヤヘラヘラしてるわよ、あのひとは」
他人の目にボクたちがどう映るのかが明確にわかる表現をされると、かなり恥ずかしいということに、ボクは気づいた。
「……そうなんですか?」
「そうよ。あたしなんて、あの寝汚い隊長が、休日の昼間に街を歩いているってだけでびっくりしてるのに」
「ああ、確かに。緊急の呼び出し以外で、休日の陽のあるうちに見かけるとしたら、忍犬を訓練させているか」
「あれは、遊んでるのよ」
鳥面の言葉を無視して虎面が続ける。
「あとは、知り合いの上忍に勝負を挑まれて、無理やり引っ張り出されるか。それぐらいだったな」

「だいたい、あんた。四代目と張り合おうって、そりゃぁ、無理ってものよ」
「ボクも僭越だとは思います、火影さまと自分を比べるなんて……」
「じゃ、なくてぇ!」
いらだったような鳥面の声に、虎面が「声がでかい」と注意する。
「あ、ごめん」と鳥面も声を潜めたが、ほかに客はいなかった。
「じゃなくて、ね? 火影さまだろうがなんだろうが、いま生きている相手だったら、張り合うこともできるけど」
ああ、そういう意味、ですか……。
「相手が死んじゃってるんだから、どうしようもないじゃない」
搾り出すような鳥面の声に、ボクは不意に思いだした。
まだ、先輩と付き合い始めてすぐのころ。彼女もまた、ずっと先輩に思いを寄せていたのではないかと、思ったことがあった。単なる思い付きだったが、それはたぶん、外れてはいなかったのだろう。
「思い出ってのは、相手の気持ちの中にあるものだから。本人以外には、どうしようもできないじゃない」
間抜けなことに、ボクはただ「そうですね」としか答えられなかった。
そうですね、ほんとうに。
幻を相手に戦っても意味がない、幻術にかかったら、まず術を解く。
「ボク自身が、あれこれ考えすぎていた、ってだけなんですね」
「そーよ。きっと、隊長今頃、いじけてるわよ。絶対、他人には悟らせないけど、案外、プライベートでは、後ろ向きだからね」
後ろ向きとまでは思わないが、まあ、そんなものなんだろうとは思う。
相手の些細な言動が、数十倍にも膨れ上がって、やきもきさせられる、なんていうのは、恋という幻術にかかった者に共通の行動じゃないか。
一般的な幻術と異なるのは、解術のすべがない、ということだ。

「じゃ、猫面の悩みもめでたく解消したことだし、お開きと行きましょうか」
さっさと場を仕切る鳥面に、虎面が苦笑する。
「あ、でも……なんか、締めにこう……欲しいね」
「マスター」
虎面の言葉を受けて、マスターがニッコリと頷いた。
「では、食後のコーヒー代わりに、コーヒーのリキュールを使ったカクテルはいかがですか?」

マスターがシェイカーを振る姿を見ながら、先輩を思う。
今回は、どういうわけかコーヒーと縁が深い。これも何かの符号なのか。
「どうぞ」
大振りのグラスが、ボクら3人の前に置かれた。
キンと冷えたカクテルは、強いアルコールとリキュールの甘さがあいまって、コーヒーの香りが直接、頭の芯に響いてくるようだ。
「へえ、コーヒーの味なのに、お酒なんだねぇ」
感心したように鳥面が言うところを見ると、カクテルを飲むのは初めてなのかもしれない。
ボクはあの立ち飲み屋で、ごくたまに女将さんが振るシェイカーを知っている。
店に合わないと言えば合わないのだが、女将さんには妙に合っている。
「先輩も、ときどきここへ来るんですか?」
ボクの問いにマスターが、いえ、と首を振った。
意外だった。
「俺のテリトリーだから、遠慮しているんだろう?」
「妙なところで、気を使うよね、隊長」
「俺は、隊長ならここで鉢合わせてしてもいい、と思ったから連れて来たんだがな」
虎面の言葉は、少し残念そうに聞こえた。
「え? じゃあ、あたしたちと鉢合わせしてもいい?」
「猫面はともかく、鳥面は御免蒙る」
「あ、即答」と笑う鳥面は、少しも気分を害した風ではない。

今さらながらに、ボクは思う。
この小隊は、ほんとうにいい。
変に気を使わず、でも肝心なところでは、ちゃんと互いをわかっていて、ビジネスライクなようでいて、人情味に溢れている。
そうでなければ、だれが他人の恋愛ごとに首を突っ込もうとするものか。
それもこれもすべて、はたけカカシという隊長の人柄を映しているからだ。

先輩は、あのときボクらが話していた会話の内容ではなく、その直後の、あからさまにびっくりした鳥面とボクの態度に、気を回したのかもしれない。
あのとき二人とも、後ろめたさ全開だったし、その後、ボクはボクであれこれ考えすぎて妙にぎくしゃくしていた。
先輩は、そんなボクの態度に傷ついたのだ。
あれは怒っていたというより、拗ねているのと遠慮しているのとが微妙に混ざり合った反応だった、とようやく思い当たる。
鳥面が言ったように、ボクを探してやってきたとは思わない。
でも、ボクに会いたいとは思っていてくれたかもしれない、とは思う。
鼻の効く先輩は、それだけで意図せずしてドンピシャリの場所に行き着くことがままあるのだ。
だとしたら、ボクの態度は二重に先輩を傷つけた。
ボクに会いたいなぁ、と思いながら、ふらりと立ち寄った先に偶然ボクがいた、そういうシチュエーションで、そのボクの挙動が不審……改めて、己の対応のまずさに、肩にずんと重石が乗ったような気分になる。

そうだ、夏祭り。
誘い損ねてしまったけれど、予定通り先輩の応援任務が終われば、間に合う。
子どものころの先輩には、ご尊父との夏祭りの思い出があり、四代目との夏祭りの思い出がある。
何年もたって、今を振り返ったとき、先輩の思い出の中にボクがいればいい。
ボクが生き延びる限り、毎年思い出は更新されるだろうけれど、今このときの先輩は、この一瞬なのだ。
その一瞬に、ボクがいれば、それでボクは満足じゃないか。

「今日は、ありがとうござました」
と頭を下げたボクに差し出された伝票は……まあ、ちょっとした金額だった。
こういうところも、しっかり先輩を見習っているよ、鳥面も虎面も、とちょっぴり恨めしく思ったボクを、だれが責められよう。


<二部 了> 三部へ続く



ブラック・ルシアン
先のダーティ・マザーのブランデーをウォッカに変えると、ブラック・ルシアンというカクテルになる。ベースとなるウォッカの切れの良さが生き、サッパリした味わいのカクテルに仕上がる。