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 お婿にいった四+カカのお話
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2007年07月28日(土)
香る珈琲、そして恋 〜ぶらっく・るしあん 1)


「遅かったね」
里に戻り鳥面と落ち合うや否やの一言に、ボクは「ちょっと不測の事態に遭遇しまして」と答えた。
鳥面は、ふうん、とだけ返し、「とりあえず、一段落。また引き続き、依頼があるかもしれないけれど、そのときは改めて、ってことらしい」と続ける。
「あんたとあたしのツーマンセルなんて、珍しいよね」
「珍しいどころか、ボクが記憶している限りでは、初めてなんですが」
あれ? と彼女は首を傾げた。
「そうだっけ?」
へえ、と言いながら、ボクを見る。
「じゃ、打ち上げ行こうよ」
「う……ちあげ、ですか?」
「なに? あたしとは、打ち上げも出来ないって言うんか、あんたは」
「いえ、そんなことは。そうではなくて、その、彼氏さんが……」
「ああ。大丈夫。あいつは忍の家系じゃないけど、忍のことには理解があるから。打ち上げぐらいでガタガタいわないさ。場所は任せたよ」
まあ、この彼女の恋人になるぐらいの男なのだから、いずれ尋常な神経ではないだろう。
「じゃあ、えっと……ちょっと遠いんですが、里のハズレまで、いいですか?」
ん? と首を傾げる仕草は、ちょっと先輩と似ていた。
というか、先輩と身近に接していたり、先輩に意識を向けていたりすると、微妙なところでどこか先輩と似てしまうのかもしれない。あるいは、ちょっとした相似をボクが律儀に拾っているのか。

鳥面を誘ったのは、里のハズレのおでんの屋台。ボクが最初に先輩に連れられて来た店だ。
夏場は店を休んでいるから、もしかしたらもうやっていないかと思ったのだが、幸いなことにポツンと灯ったちょうちんが見えた。
「もしかして? 屋台?」
「はい」と答えてから、女性を屋台に誘うような無粋な男とでも思われたのかもしれない、と思い当たった。言い訳めいて、付け加える。
「ですが、味はバツグンです」
「……じゃなくて、さ。あれでしょ? あのオヤジさん、四代目と因縁が深かったっていう……」
「え?」
そんな話は、聞いたことがない。
「違うの?」
「は?」
「どんな縁なのかは知らないんだけど、四代目繋がりで隊長が通ってるって、聞いたよ、あたしは」
ボクは、オヤジさんが元忍だということしか知らなかった。先輩とも、どんな縁だったのか、聞いた事がない。
「あ、じゃあ……他の店にしますか?」
「ううん、いいよ。あそこにしよう」
鳥面ボクを振り返り、ニコリと笑った。
「一度、食べてみたいと思っていたんだ、あの屋台のおでん」

ボクらが今日の最初の客だった。
「おや、こんばんは」とオヤジさんがボクを見て、鳥面――といっても面もしていなければ、暗部装束でもないが――を見、笑顔を見せる。
「なんにします?」
「あたしは酒。冷で。おでんは適当に見繕って」
「ボクも」
「はいよ」とオヤジさんは答え、グラスに酒を注いでボクらの前に置いた。
「んじゃ、乾杯」
「お疲れ様でした」
共にグラスを掲げる。ボクがひと口飲む間に、くいと半分ぐらいを空けた鳥面は、ふぅ、と小さく息をついた。
「五臓六腑にしみわたる、って、こういうのを言うんだろうね」
やがて、鳥面の前にはこんにゃく、大根、がんも、ゲソ巻き、つぶ貝といった具の入った皿が、ボクの前にはさつま揚げ、豚足、ロールキャベツ、結び昆布といった具の入った皿が出てきた。
「へえ……あたしの好物、よくわかったね」
「いえ、いい飲みっぷりでしたので。この辺がお好きかな、と思っただけです」
串に刺したつぶ貝を食べ「おいし〜」と鳥面が声を上げるのを、オヤジさんはニコニコと見ている。

鳥面もボクもかなり空腹だったので、ひたすら食べ、合間に酒を飲み、ようやく人心地ついたのは、小半刻もしたころだった。

「で?」と鳥面に言われて、「はい?」と返したボクを笑わば、笑え。
「だから。不測の事態ってなに? 女の匂いと関係あるの?」
そうだった……鳥面の鼻は滅法いいのだ。
「もう消えてるし、密着してついた匂いじゃぁ、なかったみたいだけど」
今日のことは里に報告しておこうとは思っていたので隠す必要はないのだが、どう説明したものか。
「善意の第三者がいて、でも、その背後に悪意をもった第三者がいて、善意の第三者はそれと知らず、相手を罠にかける役を担ってしまったと言いますか」
「何? あんた、罠にはまったの?」
「いえ、はまりませんって。そこまでうかつではないですから。ただ、まぁ……残念だったかなと」
アカデミー時代の先輩を、ただ純粋に覚えていてくれた彼女の記憶を消さざるをえなかったのは、とても残念だ。
「何が? 据え膳食わなかったのが?」
「据え膳じゃないですから」
「な〜にが、据え膳?」
「「うわ!!」」
鳥面とボクが同時に声をあげた。
「もう。おまえら、何、二人で打ち上げなんてやってるのよ。こういうときこそ、普段、お世話になってる隊長を誘うのが、筋ってもんでしょうが」
にへ、と笑った先輩が、「酒ね。あと、昆布と大根とがんも」と言った。
「せ、せ、せんぱい」
「はい」と先輩がにっこり笑う。
……絶対、聞こえていた、いまの。それも中途半端な情報のまま。
まずい、非常にまずい、と思うのだが、鳥面は知らぬ顔を決め込んでいる。
それはまぁ、彼女も事情は知らないわけだが、それならあんなふうに意味深に話題を振ってこなければ、よかったのだ。

「来週あたりから、また夏休みに入るんで」
オヤジさんはそう言うと、まだ半ばほど残っている酒瓶を取り出した。
「今年は梅雨明けが遅かったからね」
「ええ、おかげさまで。商売は繁盛しましたけれど」
言いながら、ボクらそれぞれのグラスに酒を注いでくれる。
クン、と匂いを嗅いだ先輩が、「あぁ、これ」と目を細めた。
おそらく特別な客のための酒なのだろう、果物のような吟醸香に鳥面も少し目を見開く。
「昨日、封を切っちまったんで。空けてください」
「じゃ、遠慮なく」
先輩はコクンとひと口飲んで、ふっと遠い目をする。
「いい、酒だよねぇ。華やかで、凛としていて」
ボクも遅れて、ひと口飲んだ。途端に広がる芳香に、しばし陶然となる。
「うまいですね」
ボクの独り言に、先輩が「うん」と答えたとき、気づいた。
先輩、ボクのほうを見ない。いつもだったらこういうとき、必ず視線を送ってくるのに。
やっぱり、さっきの会話を誤解しているんじゃないだろうか。
――どうしよう。どう言えば……いや、今さら何かを言っても、言い訳にしか聞こえないか。
それでも、きちんと説明しておいたほうがいいとは思う。
彼女のほうは記憶を消してしまったけれど、先輩を覚えていたひとがいたことは、伝えたい。
――いや、それはそれでまずいか?
先輩の心に深く残っている傷に、無神経に触れることになるかもしれない。
「なーに難しい顔して、酒、睨んでるのよ」
先輩の声にはっと顔をあげると、もう視線は別のほうを向いていた。
――やばい……。
と思ったときだった。先輩が何気なく呟いた言葉に、ボクは忘れていた感情を呼び起こされた。
「この酒、先生も好きだったねぇ」

ああ……四代目。
先輩の、師。

「先生」と呼ぶとき、ほんの少し、ほんとうにごくわずか、先輩の声は甘くなる。
ご尊父亡き後、親にも等しい存在だったのだということは知っている。
知っているけれど。ほんとうに、それだけだったのか?

ボクはふっと思いだす。
1年以上も前になるか。
その日は、ボクにとってはいろいろな意味で特別な日で、慰霊碑に向かったのだ。
そして、そこでうなだれている先輩を見つけた。
その少し前、風に乗ってすすり泣くような「せんせぇ」という声が聞こえてきた。
甘えるような、心細さを訴えるような、あるいは何事かをかきくどいてでもいるような。
だから、先客がいるのは知っていた。
だが、それが先輩だとはとても思えなかった。
先輩を目にしても尚、信じがたかった。

まるで子どものような、頼りない声だ、とそのときボクは思った。
でも……閨で囁かれる声音にも似ていると、ボクはいま、気づいた。