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 お婿にいった四+カカのお話
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  らすてぃ・ねーる-12話
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  九夜十日
  イタチ里抜けのとき

  百年の恵み
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  初めての遠距離恋愛なテンカカ
  たーにんぐ・ぽいんと-8話
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   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
 テンゾウは……

 【1部】 だーてぃ・まざー-4話
 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
 【3部】 ぶれいぶ・ぶる7話
 【Epilogue】 そして、恋

  あふろでぃーて-5話 -キリリク話-
 くるみ


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  春霞-4話
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  ちぇい・べっく
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4話
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  久しぶりのカカシとの任務
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  波の国任務の少しあと
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  波の国と中忍試験の間

  月読-5話 -キリリク話-
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  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
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 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
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-ヤマカカな話-

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2007年08月04日(土)
香る珈琲、そして恋 〜ぶらっく・るしあん 2)


ピー、という笛の音に、一瞬、ボクと鳥面が反応しかけたとき、
「ああ、今年も夏祭りですね」
と、のんびりした声でオヤジさんが言った。言われてみれば、緊急召集の音とは違っている。
それに笛の音に混じって何やら賑やかに聞こえてくる。
「あいつら、忍びじゃないんですよ。ただ、笛の音というのは、けっこう紛らわしくてね、特に素人が扱うと思いも寄らない音が出たりする、だからこうやって里のハズレまで来て練習しているんですね」
「夏祭りのお囃子?」
「ええ」と鳥面の問いに答えて、オヤジさんが目を細める。
里のどこに住まいがあるのかは知らないが、一般人の足でここまで来るのは難儀だろう。
そうまでしてボクら忍を気遣ってくれる人々に、頭が下がる。

「そういえば、先生、お祭り好きだったなぁ。ずいぶん引っ張りまわされたもの」
懐かしそうに先輩が呟いた。
「え? 隊長、お祭りなんて行ったことがあるんですか?」
「ありますよぉ、オレだって」
先輩の視線は間にいるボクを通り越して、鳥面を捕らえる。器用な視線だ、まったく……。
「ちゃんと子どもだったころがあるんだから」
「でも……」
「うん、まぁ、そうね。基本、アカデミー時代まで、かな」
下忍になってからは悠長な生活など望めなかったのだろう先輩は、それでも口元に笑みをたたえていた。
「ただ、お祭り好きな先生のおかげでお祭りの警備、なんて任務は割とやっていたんだ」
「でも、警備するんじゃかえって……」
言いかけたボクの言葉を、視線を合わせずに遮り、先輩はふふっと笑った。
「そこは、うちの先生、抜かりなかったから。ちゃんと途中で交替になるような任務のときを狙ってもぎ取るわけ。で、『はい、交替! 任務終了。さぁ、カカシ、金魚すくい競争だよ』なんて言って……」
「金魚すくい……」
「そう言って駆け出すのに、絶対途中で綿菓子や林檎飴買って、嬉しそうな顔でオレにくれるんだ。でも、ほら、オレそういう類の甘い菓子苦手でさ。子供心に、いかに先生を傷つけないように断るか、ほんっと苦労したんだよ」
それはきっと……。
子どもらしい生活を望めない先輩への、精一杯の配慮だ。
たぶん先輩だって、そのときはわからずとも、後になってそんな四代目の心遣いに気づいただろう。

「最近、お祭りなんて行ってないなぁ……」
コクン、と先輩がグラスを傾ける。
ボクも、祭りとは縁のない生活を送ってきた。あのころは、里も大変な時期だったのだ。
でも入院中、小児病棟の子どもたちの慰めにと、季節ごとに病院の庭でちょっとしたイベントが行われたのを思い出す。
そして、祭囃子を聞くと、なんとなくうきうきした気分になる。そんな経験など持たないはずなのに。
あるいは、それは大蛇丸に捕らえられる前の、ボク自身には掴み取れない記憶のせいなのか。
去年の今頃は、長期任務で里を離れていた。
里にいれば、先輩を祭りに誘うぐらいの気は利かせたのに、と、思う。
よし、今年はボクが先輩に夏の思い出を作ろう。

「先輩、お祭り行きましょう!」と言いかけたとき、「オヤジ、酒」と二人連れが顔を出した。
忍ではないらしい。チラリと忍服姿のボクらを見、会釈するとさりげなく間を開ける。
「今年の囃子方、新米揃いだから心配だなぁ」
などと言い合っているところを見ると、先ほどから聞こえているお囃子の指南役らしい。
「まったくだ、基礎がなっちゃぁない。これで間に合うのかねぇ」
「屋台で暇つぶしできるぐらいですから、大丈夫でしょう」
笑いながらオヤジさんがグラスを出す。
「暇つぶしどころか、ワシらの出番なんぞ、あるものか。音を合わせられるようになってから声かけな、って言ってきたところさ」

「じゃ、オヤジさん、また来年ね」
数枚の札を手にしたオヤジさんが、「ええ、また」と答える。
「ほら、おまえらも。行くよ」
「え? おまえらって……」「会け……い」
「すんでるよ」
暖簾の向こう側から先輩の声が聞こえる。
鳥面と顔を見合わせ、オヤジさんを見ると、ニッコリ笑って頷かれた。
「うそ」と鳥面が小さく呟きながら、「ごちそうさまでした。おいしかったです」と挨拶する。
「はいよ。ありがとさん。また秋になったら、おいでな」
ボクも頭を下げ、屋台を後にした。先輩の姿はもう見えない。
まるでボクから逃げるよな先輩の態度に、思わずため息がこぼれそうになったときだ。
「うそ〜」と鳥面が言った。ボクが首を傾げると、「だって、初めてだよ」と言う。
「偶然同席したとき、隊長が支払いもってくれたの」
「そうなんですか?」
「そうだよ。自分が誘ったときは別だけど。そうじゃないときは、払わないよ。だって、そうでもしなくちゃ、どこに飲みに行っても、そこで会ったみんなの飲み代負担しなくちゃならないじゃないか」
「あ……」
先輩ぐらい長く上忍をやっていれば、そこら中、後輩だらけになるのだ。
「ね?」
「……直属だから……とか?」
「ないない」と鳥面は顔の前で手を振る。
「こういう場合は例外つくっちゃいけないんだよ。だって、任務によっちゃ、メンツが変わったりするんだから。それに、大所帯の部隊だったら、どこまでが直属よ?」
「……そう……ですね」
「大所帯でも、自分が誘ったときは何十人分って額を払ってるからね、あのひと」
「え?」
「その分、どこぞで取り返してるんだろうけどね」
はぁ……のぼり詰めるというのも、なかなか大変なのだ、と改めて思う。
っと、肝心なことを、すっかり忘れていた。
「しま……すみません、ボク、急いで」と言いかけた襟ぐりをぐいと掴まれる。
「今、追いかけて、どうすんのよ」
「え、でも」
「追いかけるんだったら、屋台を出て、すぐ。即。あんたは、もうタイミング逃してるんだから。だいたい、どうやって見つける?」
「とりあえず……部屋とか……」
「とりあえず?」
「あ、いえ。こういうとき、先輩はたいてい部屋にいるんで」
先輩が本気で拒んでいたら、ボクは部屋には入れない。
「ふうん。で、なんて言うつもり?」
「単刀直入、嘘偽り虚飾なく、そのまま話します」
「そ。じゃ、頑張って」
案外あっさりとボクを解放した鳥面は、「なんかあったら、相談ぐらいのるから」と苦笑した。
「多少は、責任、感じてるんだから、これでも」
走り出したボクの耳に、かすかに聞こえた独り言。
申し訳ないような、嬉しいような、困ったような……。

先輩は部屋にいた。
もちろんボクも締め出されはしなかった。
が。こんもりと盛り上がったベッドにため息……。

眠っているのだ。フリでもなんでもなく、ほんとうに熟睡している。
単独で余程疲れる任務でも受けたのだろうか、とボクは先輩の背を見つめる。
抱きしめたら、起きるだろうか?
起きてくれたら、話もできる。

手を伸ばしかけてから指先を握りこんだ。
それぐらいで起きてくれるなら、世話はない。何しろ、戦地でもない限り、一度寝たら起きないひとなのだ。
もちろん、不審人物が部屋に入れば本能的な警戒心が働いて、目覚める。
でも、ボクたち同じ小隊のメンバーや、親しい上忍何人か、つまり先輩が勝手に部屋に入ってもいいと認知している数人に対しては、それもない。
これで殺気でも放てば間違いなく起きてくれるだろうが、それはそれで後が怖い。
ボクも半殺しの目には合いたくないし、先輩の部屋を壊滅させるのも本意ではない。
だいたい、そこまでして起こして、どうしろと言うのだろう。

そっと髪の毛に触れてみた。
湿り気を帯びている、ということは、帰宅してから洗髪したことを示している。
それほど遅れをとったつもりはなかったのに、シャワーを使ってベッドに潜り込み、熟睡するだけの時間はあったということか。
つまり……瞬身でも使ったか……。

――そんなにボクに追いつかれるのがイヤだったんですか?

思わず頭を抱え込んだ。

言い訳ぐらい聞いてくれてもいいじゃないですか?
いや、いっそなじってくれてもいい。それなら、こちらも説明のしようがある。

徹底的に視線が合うのを避けて、果てはボク自身を避けて。

――でも、待てよ?

屋台では、ボクの隣に座ったじゃないか。
そうだ。鳥面の向こうではなくて、ボクの左に。
でも、ボクとは目を合わせなかった。
ボクは抱えた手でばりばりと頭をかいた。

――わからん……。

今日のところはボクも、例の件を任務報告とは別に里に報告するための書類を作成しなくてはならない。
ひとまず退散。明日、改めて出直そう、そう決めて先輩の部屋を去った。
そして翌日。

先輩が正規部隊の任務に急に借り出され、一週間の予定で里を離れたことを知った。