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 お婿にいった四+カカのお話
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   ぎむれっと-40話 -キリリク話
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2007年07月15日(日)
香る珈琲、そして恋〜だーてぃ・まざー 1)


「ちょいと、あにさん」
里の外、遊里に到る繁華街のはずれに近い一角で、ボクを呼び止めたのは、粋筋とも見える女性だった。

見れば女性の立っている後ろには、開かれたままのドアがあった。
中ではなにやら工事でもしているらしく、ドリルが壁を貫く音や板を切る音が聞こえてくる。
改装中、といったところらしい。
「あにさん、忍さんだろ?」
その日、ボクはちょっとした情報収集のために里の外に出た。ただし、これは木の葉の里が動いているぞ、と相手に知らしめるための、いわば陽動も兼ねた任務だったため珍しく正規部隊の服装だったのだ。
「隠さなくてもわかるよ、その額宛」
別に隠すつもりもないんですが、と思いながら、彼女の顔を見る。
「あたし、7、8年ぐらい前まで木の葉の里に住んでいたのさ。下忍にはなれなかったんだけど、アカデミーに通っていたこともあるんだ。たまたま親の使いで火の国の叔父さんちに届け物をした日に、九尾が里を襲って」
ああ、なるほど。
「で、親は死んで、そのまま叔父さんの世話になって、その叔父さんも亡くなったんだけどね、なぜか、最近、妙に木の葉の里が懐かしくてね」
里の近くに戻ってきちまったんだよ、と女は笑った。
「それで、さ。あんた、木の葉の忍だったら、はたけカカシって知ってる?」

――でたよ。
なぜか、予感があった。なんの根拠もなかったのだが。

「まあ、知らないこともないです」
「だろうね。あの子、出世してるんだろうね」
その口調は色の恋のというよりは、遠縁の子どもを懐かしがっているようで、それが予想外だった。
「出世と言うか……そういうことは、極秘事項に含まれますので」
「ふうん。極秘事項に含まれちゃうほど、出世したってことか」
確かに、木の葉の里の出身なのだろう。その辺のメカニズムは、よくわかっているようだ。
「あの子、あたしと同じ年にアカデミーに入ったんだ。こっちは、もう7歳になっていたんだけど」
そういえば、先輩は5歳でアカデミーを卒業したんだったっけ? 1年ぐらいしかいなかった、と聞いたことがあるから入学したのは4歳? だったら、この女性は先輩より3歳ぐらい年上ということになる。
しかし見た目は、もっと若い。
「うちの弟よりちっちゃくてさ。なのに、あたしなんかより……ううん、同期のだれより、ずっと忍の顔してた」
彼女は、開いたままのドアに背を預け、素足に履いた金色のサンダルのかかとをトンと打ちつける。
「あたしらがぼぉ〜っとしている間に、とっとと卒業して、それからしばらくして中忍になったって聞いたんだ」
彼女は、鳶色の目を細め、うす曇の空を見た。
「ほかの男の子みたいに、女のあたしらにちょっかいだしたりはしないし、無愛想だし、で、とっつきにくかったけど。すごいのはわかったよ。だれかがうっかりしたことをして、他の子が怪我しそうになると、とっさに庇うんだ。でも、庇われたほうは気づかないで、突き飛ばされたって思ったりしてね」
そのころから、先輩は、先輩だったってことですか。

「で、その方に、何か御用とか?」
ボクの言葉にその女性は、目を見開き、それから笑った。
「いや、別に、御用とかじゃないって、ただ、懐かしくてさ」
笑いながら言う。
「懐かしいなぁ、って思っていたら、ちょうど木の葉の額宛をしたあにさんが通りかかったから」
そう言って、女は子どものような笑顔を見せた。
「店は、まだ改装中なんだけど。家は近所さ。遠慮のいらない一人身だから、ちょいとよっていかないかい?」
ええと、とボクは口ごもる。
任務中に酒は困る。いや、一応の報告は今回の相方を務めてくれた鳥面が済ませてくれることになっているのだが。彼女のほうは暗部装束だったので、帰里は別々のルートを辿っている。
逡巡していると、女はまた笑った。
「なあに、こんなとこの店だけど、飲み屋じゃなくて珈琲屋」
「コーヒー?」
「飲み屋で仕事したこともあるけど、あたしゃ、下戸でさ。店をやるなら珈琲屋って、昔から決めてたんだ」
「……はぁ」
「ちゃんと仕入れた本場の豆を自家製焙煎したのを丁寧に挽いて、とびきりおいしい珈琲を飲ませてやるからさ」
酒でないなら、時間的には多少の寄り道も可能だ。とはいえ、相手は女性だし。
「なぁに、取って食いやしないさ。思い出話に付き合ってくれればいいだけさ」
普段だったら、そんな口車に乗ったりはしない。
ただ、アカデミー時代の先輩を知っているという、その女性の言が罠なのか、それとも事実なのか、単純に確かめたいと思ってしまったのだ。
声をかけられたのが、たまたまボクだったのか。そうだとしたら、これが他の忍だったら、どういうことになるのか。
あるいは、ボクを狙ってきたのか。

店の改装を手がけている職人たちに声をかけて、彼女はボクをそこからほど近いアパートに案内した。
外見は古びていたが、ちゃんと手入れも行き届いている。
彼女の部屋も畳敷きの8畳に小さな台所(そしてドアの配置から、おそらくは風呂とトイレがある)だけの簡素なもので、全体的にくすんでいたが、清潔で懐かしい匂いに満ちていた。
畳敷きの座卓の前にボクを座らせ、彼女はゴリゴリと珈琲豆を挽き始める。
キッチンでは、独特の形をした銅製の薬缶らしきものが火にかけられていた。
「強引に誘っちまったけど、あにさん、コーヒーは嫌いかえ?」
今さら嫌いと答えたら、彼女はどうするつもりだったのだろう? とふと疑問に思いつつ、
「いえ。嫌いではない、と思います」
と答えた。
何しろ、ボクの知るコーヒーの味は、待機所のベンダーマシンのものだ。
そうひどくまずくはないのだろうが、格別おいしくもない。
それでも疲れたとき、あるいはひどく苛立っているとき、その香りに癒されることはある。
「と、思いますって、あにさん」
くすくすと笑う、その笑い方は少し先輩と似ていた。
「ちゃんと仕入れた本場の豆を自家焙煎したのを丁寧に挽いた、とびきりおいしい珈琲というものを、飲んだことはないので」
「あはは」
いっとき、ミルのハンドルを回す手を止めた彼女は、いっそ気持ちいいほどの大声で笑った。
「いいよ、あにさん。そのキャラ。いい味だしてんね」
はぁ、というボクの返事は、さらに彼女のツボを突いたらしく、また笑われてしまった。

シュンシュンと湧いた銅製の薬缶の取っ手を綿入れ手袋をはめた手で掴んで、彼女は挽いたばかりの粉に熱湯を注ぎ入れる。
そっと、静かに。
瞬間、ぶわと、粉が膨らみ、そして香りが立つ。
「ああ……いい香りだ」
思わず声に出していた。
「だろ? 叔父さんってのはさ、珈琲屋をやっていたんだよ」
細く湯をかけまわしながら、彼女は言う。
濃厚な香りを漂わせた褐色の液体を、白い飾り気のないカップに注ぎいれ、彼女はボクの前に差し出した。
「好みで、砂糖とクリームを。でも、できればひとくちめは、何も入れないで飲んでもらいたい……かな」
匂いを嗅いでみるが毒はなさそうで、ただ複雑な香りだけが鼻腔をくすぐる。
言われるままに、ボクは口に含んでみた。途端に広がる苦味と、その奥から広がる甘みや酸味。
「うまい!」
ふふん、と得意そうに笑う彼女の顔は、やはり少し先輩と似ていた。
「あにさん、好き嫌いはあるかえ?」
「いえ」
「じゃ、さ」と言いながら立ち上がり、簡素なキッチンの冷蔵庫を開ける。
「これも、試食しておくれでないかい?」
小さな皿に盛り付けられたのは……チーズ?
ひときれ摘んで、これも匂いを嗅ぐ。やはり毒はない。替わりに、乳が発酵するときの濃厚な香りがする。
口に含むと、くどいような乳臭さが珈琲の苦味とほどよく調和した。
「へ……え」
「ケーキも扱うけど、こういうのもさ、店で出したいなと思ってるのさ」
またひと口、コーヒーを飲む。なるほど、コーヒーというのは嗜好品なのだと納得した。
「あ、そうそう。あにさんに声をかけたのはさ」
彼女は立ち上がると、茶箪笥から手文庫のような箱を持ってきた。
「えっと、あ、これこれ」
そう言って、箱から取り出したのは……。

「うわっ!」
思わず、ボクは叫んでいた。
銀髪の子どもを片手で抱き上げた……金髪の……これは四代目?
はずかしいのか、むっつりした顔の子どもはもちろん先輩で、いまとは違って頬の線がふっくらとしているのが、なんとも言えず愛らしい。その足元にまとわりつくように笑っている3人のうちのひとりが、おそらく目の前の彼女だろう。
「四代目……このころは、まだ四代目じゃなかったけれど、このころよくアカデミーにきてくれてね。いろいろ忍術を見せてくれたんだよ。そのときに撮った写真でさ」
懐かしそうに目を細めてから、彼女はボクを見た。
「でも、こんな写真、一般人のあたしがもっていちゃ、いけないのかねぇ」
ボクは返答に困り、再度、写真に視線を落とす。
「亡くなったとはいえ、四代目だろ? それに、この二人はあたしと一緒で下忍になれなかったからいいとして、はたけカカシは、現役の忍なんだよねぇ」
ああ、なるほど。彼女が、里の機密事項に抵触するのでは? と危惧していることを、ようやくボクは理解した。
「断言はできませんが、たぶん大丈夫だと思いますよ」
先輩、こんな小さなころから口元は隠していたんだなと、と思いながら、ボクは答える。
「それに、捨てがたい……写真なのでしょう? あなたにとって」
ボクの言葉に、彼女は一瞬、泣きそうな顔をして、それから、笑った。