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 お婿にいった四+カカのお話
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  ぱすてぃす〜後朝 -18禁-

  猩々   おまけ -18禁-
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  マラスキーノ 後日談
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  らすてぃ・ねーる-12話
 ※4 に、テンカカ以外の絡みあり
  任務に出た二人
  カカシの過去を垣間見る

  恋女   後顧   おまけ
  ストーカー被害に合うテンゾウと
  嫉妬な先輩


  九夜十日
  イタチ里抜けのとき

  百年の恵み
  長期任務の小隊長を命じられるテン
  百年の孤独-6話
  初めての遠距離恋愛なテンカカ
  たーにんぐ・ぽいんと-8話
    テンゾウの帰還

   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
 テンゾウは……

 【1部】 だーてぃ・まざー-4話
 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
 【3部】 ぶれいぶ・ぶる7話
 【Epilogue】 そして、恋

  あふろでぃーて-5話 -キリリク話-
 くるみ


  a`la carte
  -暗部なテンカカとヤマカカの間話-

  春霞-4話
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  ちぇい・べっく
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4話
  ※2,3に、ごく軽くテンゾウ女体変化あり
  久しぶりのカカシとの任務
  聖牛の酒-3話
  波の国任務の少しあと
  てぃままん-3話
  波の国と中忍試験の間

  月読-5話 -キリリク話-
 月読の術に倒れたカカシを心配しつつ、
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  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
  惚れ直すテンゾウ
 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
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-ヤマカカな話-

  再会-Reunion-  第二部





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2007年06月24日(日)
百年の孤独 5


「ご酒をお持ちしました」
小菊が脚つきの膳を運んでくる。
「じゅんさいのいいのが入ったから、ぜひ、と」
ん〜、とカカシはイチャパラを伏せて、起き上がった。
朱緋は、どうしても外せない上客の席に出ている。
「そんな、気を使わなくていいのに」
「ええ、でも……」
小菊は言葉を濁し、それから顔を上げると笑った。
「わたしのお酌じゃ、つまらないかもしれませんけど」
そう言って、杯をカカシの手に持たせ銚子を手に取る。
「いや、オレ、一応、仕事でここにいるわけだから」
「あ、ご酒を召し上がったらいけないんでしたっけ?」
これしきの酒では酔いはしない。飲んだ先から分解され、体外に排出されるだけだ。
「そんなことはないよ、じゃあ、いただこうかな」
杯を差し出すと、小菊は微笑んで酌をする。笑みにも艶が増し、出会った頃の山だしの雰囲気は、もうすっかりない。
「小菊ちゃんは、さ、その旦那さんと添いたいの?」
何気なく聞いたつもりだったのだが、小菊の気配が強張る。そんなに怖い思いをしていたのか、とカカシは理不尽な理由で逆恨みされている小菊が不憫になった。
「旦那さまは、いい方です。桜花楼にとっても、いいお客さんです。だから水揚げは……いいんです、でも」
そう言って、小菊はカカシを見つめた。
「奥さんになりたいなんて、思ってません。謙遜とか、自分が遊郭育ちだから引け目を感じているとか、そんなんじゃないんです。ほんとうに、こんなふうに言うのは恐れ多いとは思うんですが、奥さんになんかなりたくないんです」
ああ、なるほど、とカカシはようやく納得した。
小菊はあくまでも、遊女として「その旦那なら」と思っただけで、惚れたはれたではない、ということなのだ。
「もしかして、小菊ちゃん、だれか好きなひといるの?」
小菊の顔が、にわかに朱を掃いたようになる。
「ああ、そう……そうだったのか」
そうだとしたら、親戚連中の杞憂は、まったくの見当違いではないか。
「それ、ちゃんと親戚のひとたちに言った? 小菊ちゃんにその気がないと分かれば、きっと敵意なんかもたないと思うよ」
「はい……それも考えました。でも、それじゃ、旦那さまのお立場がなくなります」
ああ、そうか、とカカシは腕組みした。
「ま、あちら立てれば、こちらが立たずってことですか」
「……すみません」
うなだれる小菊に、カカシは笑いかける。
「いいの、いい〜の。オレはこうやってノンビリさせてもらってるんだから、ね。役得だよ」
「カカシさんは……好いたお方が、いま遠国にいらっしゃるとか?」
小菊は、さりげなく話題を変えた。あまり自分のことを詮索されたくないのだろう。
「う〜ん、あ〜、ま〜ね」
曖昧なカカシの返答に、クスクスと小菊が笑う。
「やっぱり、忍の方なんですか?」
「うん、まあね」とカカシは照れ隠しに、じゅんさいを摘んだ。つるりとした感触が喉を落ちていく。
「お綺麗な方……なんでしょうね」
その小菊の言葉で、自分の相手がくの一だと思われていることにカカシは気づいた。思わず、笑いそうになる。
「んー、どっちかっていうと、ムサイ」
「は?」
「無表情だし、無愛想だし、生意気だし、ほんっと、可愛くない」
目をパチクリしている小菊が、おかしい。
――そりゃ、そうだよね。この写輪眼のカカシの恋人が男だなんて、思っちゃいないだろうからね。
「でも……お好きなんですね、その方のこと」
「え? どうして?」
「だって」と小菊は、朱緋のように手の甲を口元にもっていってコロコロと笑った。
「とっても、嬉しそうなお顔ですもの」
まるで臈長けた花魁のような流し目に、カカシは思わず口ごもった。
「水揚げが無事終わったら、わたしは菊香と名乗ります。朱緋ねえさん同様、どうぞ、ご贔屓に」
そう言って、小菊は小首をかしげて銚子を傾ける仕草をした。
少女がいきなり成熟した女に変化したような感覚に戸惑いながら、カカシはまた杯を差し出す。
「その方……早く、お戻りになるといいですね」
そうね、と呟くように答えながら、カカシはテンゾウを思った。
元気にしているだろうか、とか。まさかイビキが配置されたのがテンゾウの小隊じゃないよね、とか。
小菊は、物思いに沈んだカカシの杯に、ただ静かに酒を注ぎ続けた。

*    *    *    *    *

部屋に止まったイナダのために目覚ましをセットして、テンゾウは仮住まいから出かける。
今日も空は青い。
通常なら雨の多い季節なのだそうだが、連日の青空だ。しかし、湿気が多い。
今のところ不穏な動きは感じられない。国主の容態も安定していて、とても平和で穏やかだ。
一歩、踏み込めばどこにでも闇の世界はあるが、それでも総じてこの国は恵まれていると言えるだろう。
老人も子どもも飢えていない。公園などに住所不定の輩が住み着いていたりするが、そういう手合いが餓死せず生き延びていけるということ自体が、まず豊かな証拠だ。
妙にこましゃくれ、人生に疲れたような顔をした子どもがいたり、成熟しきれず、常に苛立っている大人がいたり、と、歪んだところはあるようだが、それでも、と思う。

集合場所となっている公園に赴いた。
前夜の警備についている小隊からの特別な連絡がなければ、異変はなし。そのまま、自分たちは警備を交代する。
警務部隊担当のふたりも、遅れずに姿を現した。羽目を外しはしても、任務中は度をこすことがないのは、腐っても暗部だ。心なし昨日より元気なのが、なんだかな、という気持ちを掻き立てはするが。
が、一方のベテランのほうも、今日は妙にサッパリとしている。どこでどうやってストレスを発散してきたのかはわからないが、ベテランともなれば任務地で問題を起こすようなこともなかろうとテンゾウは思った。
――いざとなったら、ボクが責任をとる。
再度、自分に言い聞かせ、本日の任務の確認をする。
このままなんの騒動もなく無事、政権が交代してくれるのがこの国のため。
そうは思っても、退屈な任務であることに変わりはない。
でも、退屈でも退屈する間がなくても、任務は任務。ましてや自分たちは火影直属の暗部だ。
「気分的にも中だるみしてくるころでしょう。それだけに、一層、気持ちを引き締めてください」
はい、と3人の声が重なる。
「今日は、ちょうど昼を一刻ほどすぎてから警備任務が終わります。この暑さでは、おそらく日中はたいした諜報もできないでしょうから、3時間ほど、自由時間にします。夕方、5時に一度集まって、夜の行動を決めましょう」
はい、とまた3人が答える。もちろんテンゾウ自身は、休憩をとるつもりはない。
ただ、彼らにはリフレッシュ時間を与えたほうがいい、と判断したのだ。
ほんとうはカカシのように、一見部下が上官のわがままに付き合っていると思わせて、休息をとったり、気分転換を図ったりできればいいのだが、テンゾウにはまだ無理だ。
というより、そういうワザはあのカカシだからこそ、とも言える。
せいぜい、気遣いを悟られないように言い訳を用意するぐらいしか、自分にはできない。
「では、各自の配置へ。散!」
テンゾウはベテランと一緒に、今日も国主邸に赴く。
「あんた、なかなかやるじゃないか」
いきなり声をかけられ、とっさに返答が出来なかった。
「ちゃんと隊員の状態を見極めている、その若さで、たいしたもんだ」
思わず、昨夜の「採点でもされているようだ」と言ったイナダのセリフを思い出す。
無言のままのテンゾウに、ベテランは苦笑し、
「カカシの隊なんだって?」
と言った。
「はい」
「あんたか。放り出されたのをカカシが拾ったってのは」
暗部のなかで噂になっているのは知っていたが、まさか、こんなところで話題になるとは思ってもいなかったテンゾウは、驚いて返事をしそこねた。
「ま、カカシにとっちゃ、いい拾い物だったな」
「……そう、でしょうか?」
「そうだよ。あのな、カカシみたいにヤレって言われてやれる忍は、いない。暗部と言えど、まずいないな。でも、勘違いするヤツはいる」
「勘違い?」
「ああ、勘違いだ。カカシはああ見えて、部下のことはよく見ている。まあ見えたとおり何も考えてなかったりすることもあるがな、あいつの力量があれば、たいがいの後始末はつけられるんだ。だから、泰然と構えている。でも、カカシほど力量のないヤツがそれを真似しようとすると、どうなる?」
「……」
「力以上を求められた部下はパニックになる、で、上官は後始末もできない。な、悲劇だろ?」
「……そうですね」
「でも、あんたは違う。ちゃんと、カカシと自分の違いをわかっている。そのうえで、カカシのやり方から使えるものを使っている」
「そう……ありたいとは思っていますが」
ベテランは、笑った。
「もっと自信もっていいぞ。カカシはあんなヤツだが、忍としてのスピリットはピカイチだ。あんたは、ちゃ〜んと、その真髄を、わかっている。いずれ、カカシ以上の忍になるさ」
カカシを越えることなど、ありえないとテンゾウは思う。
根本的なところで、越えられない。でも、近づくことができるなら、とは思う。
「ありがとうございます」
ベテランは、今さらのように照れたのか、コホンと咳払いをする。
「あいつは、あいつ。あんたは、あんた。それをわかっていれば、大丈夫だ」
はい、とテンゾウは頷いた。
そう、カカシはカカシ。自分ではない。
だから、自分はこんなにもあのひとを求めるのじゃないか。
テンゾウは空を見上げる。
この空は、先輩のいる里にまで続いている。
今は、それだけでいい。