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 お婿にいった四+カカのお話
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  九夜十日
  イタチ里抜けのとき

  百年の恵み
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  初めての遠距離恋愛なテンカカ
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   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
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 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
 【3部】 ぶれいぶ・ぶる7話
 【Epilogue】 そして、恋

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  春霞-4話
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4話
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  月読-5話 -キリリク話-
 月読の術に倒れたカカシを心配しつつ、
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  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
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 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
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-ヤマカカな話-

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2007年06月19日(火)
百年の孤独 3


「すっかりお見限りでしたねぇ」
その名のとおり、燃えるような緋色の衣装をまとった朱緋が、長いキセルをポンを煙草盆に打ち付ける。
「まあ〜、ね。いろいろあったし」
さすがに店にあがってまで忍服では野暮かと、気流しに着替えたカカシは杯を口に運ぶ。
「いいひとでも、出来なんしたか?」
「う〜ん、まあ〜、ね」
適当に相槌をうったつもりだったのに、「おや」と聞きとがめられた。
「珍しいこともあるわいな」
「え? そぉ?」
空になった杯を、小菊が満たす。水揚げを控えた小菊の髪は、ずいぶんと長くなっている。
きっちり揃えられた切り髪は、小菊のちんまりした顔立ちに似合っていたのに、あれはもう見られないのかと思うと、カカシは少し寂しかった。
「はいな、珍しいこと」
にっこり笑う朱緋は、師が生前、通っていた頃と変わらない。あれから、もう何年もたったと言うのに。

四代目が九尾を封印し、この世を去って後しばらくは、倒壊した建物の下から生存者を救い出したり、九尾の瘴気に当てられて森や山で倒れたままの者を捜索したり、でカカシも忙しかった。
その後、里外の任務を割り当てられたのを幸い、ほとんど里の外を転々としていた。
1つの任務が終わると式を飛ばし、報告書は忍犬に託す。自らは、そこから近い次の任務地に向かう。
そんな生活をしていた。
もちろん単独だ。任務の大半は暗殺や、他の部隊の応援。
それでもよかった。里に、戻りたくなかったのだ。
半年近くもそうやっていたカカシに、いきなり休暇が与えられたのが、ちょうど今頃の時期だった。
闇に身を潜めるがごとく任務に没頭するカカシを、三代目が心配したのだろう。
だが、休みをもらっても行くところがなかった。
里には戻りたくない。行きたいところもない。
気づくと、遊里に足を踏み入れていた。
里の外とはいえ、九尾の影響がまったくなかったわけではない。
一時、里から逃げ出した一般人が身を寄せていたとも聞く。
四代目が妻帯する前に通っていた遊郭の太夫は、どうしているだろう。
そう思って立ち止まったのが、桜花楼の前――それも、客も太夫も寝静まっている夜明けより少し早い刻限。
一年で一番日の長い時期のこと、東の空はうっすらと白んできていた。
灯りを落とした建物の前に立ち、面を外した。
傷痕もなく、建て替えをした様子もないのを確認して、きっと無事でいるのだろうと思った。それだけ、確かめたかったのだ。だから、さて、どこに行こうかときびすを返そうとしたときだった。
カラリと戸が開いた。
襦袢の上に打ち掛けを羽織っただけ、それでも十分に美しい朱緋が、にっこりと笑いかけたのだ。
「顔も見せずにお帰りですか?」
そして、目立つ血の汚れは落としたものの、まだどこか生臭い暗部服のままのカカシの手を取る。
鉤爪が、その白い肌を傷つけないかと気が気でないカカシをよそに、
「さあ、あがっていっておくんなまし」
と言うと、思いのほか強い力で戸の内に引き入れた。
さっと戸を閉めると、パンパンと手を叩く。小さな手から放たれたとは思えないほど、その音は響き渡り、すぐに奥の灯りが点いた。
寝巻きの上に羽織をひっかけただけ、それでもまったく着崩れた様子もない店主がやってきて、
「これは、ようこそ、お越しくださいました。お出迎えが遅れ、申し訳ございません」
と丁寧な礼をする。
営業時間外もいいところの時間にやってきたカカシを、客として扱う彼らにカカシは呆然とした。
「どうぞ、おみあしを」と、すすぎの盥を持ってきた少女がカカシを見上げる。
忍になれた遊郭の者も、暗部服を見ると一瞬だけ緊張するものだが、少女はあどけない顔で、
「あにさん。おみあしの汚れを落としますから、どうぞ」
と促した。足を洗うから出せと、そう言っているのだ。
血と汗と土ぼこりで汚れた、自分の足を? とカカシがためらっていると、初めて少女ははにかんだように笑った。
「足、洗うと、さっぱりすんから」
なまりの残るその言い回しは、接客マニュアルにない言葉だったからだろう。それだけに、少女が心からカカシを迎えてくれているのが伝わってきた。それが小菊だった。
結局、言われるままに脚半を解き足をすすぎ、カカシは店に上がった。
「店の者の朝食に用意していたものなので、お客さまにお出しするようなものではございませんが」
そう断りを入れて店主自らが置いていった白粥、あのとき口にした味は、忘れられない。
あれがあったから、自分の心は壊れることなく、この世につなぎとめられたのだと、カカシは信じている。
その休暇の間中、カカシは桜花楼にい続けた。
ただ、のんびりと朱緋の爪弾く三味の音を聴き、たまに酒を飲み、窓から空を見上げ流れていく雲を眺めたり、雨だれに誘われて転寝したりして、過ごした。
四代目の話も九尾の話もしなかった。
しなかったけれど、ふと漂う沈黙のとき、二人がともに今はいないかのひとに思いを馳せているのは、わかっていた。

「シンさんを使いに寄越したね〜」
このままでいると、きっとテンゾウのことまで探り出されてしまう、別に、知られて困ることではないが、長い付き合いの朱緋に知られるのは、ちょっとむずがゆい。だからカカシは、話題を変えた。
そんなカカシの意図など承知している朱緋は、クスと笑い、それから真剣な表情になった。
「小菊が、今度水揚げを迎える話は、聞きなんしたか?」
「うん。シンさんから」
「相手のお方は、小菊も慕っているさる商家の旦那さんで、その方ならと小菊も承知しての水揚げ」
「のはずなのに、なんか問題がある……んだね?」
「ご親戚の方たちが、快く思っておりませんで」
言葉とともに襖が開き、そこには新しい銚子と小鉢を載せた膳を手に、用心棒のシンがいた。
「別に水揚げするぐらい、い〜じゃないね。そのまま引かすってなったら、面白くないひともいるかもしれないけど」
膳がすっとカカシの前に進められる。
「それが、そうとも言ってられませんで。その方は、旦那とは言ってもまだお若い。ご両親が一昨年相次いで他界されたので、お店を継いだんですが、まだ奥さんをお持ちじゃないんです」
「だから、みんな気が気じゃない、ってこと?」
「いつ、引かして夫婦になると言い出すか、戦々恐々としているといったところです」
ふうん、とカカシは、小鉢の山芋を摘む。千切りにして山葵醤油で和え、刻み海苔を散らしたそれは、このまえテンゾウが作ってくれたものと同じだ。いや、カカシがここで酒のアテに出されたのを気に入っていて、「アレ、食べたい」とテンゾウにわがままを言ったのが最初だ。
手の込んだ料理より、手軽でシンプルなものを好むカカシのために、桜花楼ではいつも選りすぐりの食材を揃えている。これもきっと、普通に八百屋で見かけるものの倍も3倍もするようなヤツだろう。そして、山葵も醤油も海苔も、どこぞの名品だろう。
幅も厚さも長さも見事に均一な山芋と海苔は、まさに芸術的といっていい。
でも、とカカシは、テンゾウが作る、長さも厚さも不ぞろいなら幅もぐだぐだで、中には三角に近い形に切れている山芋を思い出す。
これは職人の技。テンゾウのは技ではなく、気持ち。
どちらがどう、というのではない。うまい、まずいでいえば、こちらに軍配が上がるだろう。
――そーゆー問題じゃないんだよね。
カカシは、山芋を味わいながら、ただテンゾウの不在を思う。
「恋しいお方は、いずこに?」
何気ない朱緋の口調に誘われるように、カカシも何気なく答えていた。
「ん、ちょっと遠い国」
言ってから、しまったと気づく。忍にあるまじき失態、と、見上げた朱緋は、優しい眼差しをカカシに向けていた。