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 お婿にいった四+カカのお話
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   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
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 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
 【3部】 ぶれいぶ・ぶる7話
 【Epilogue】 そして、恋

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  月読-5話 -キリリク話-
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  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
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 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
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-ヤマカカな話-

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2007年06月17日(日)
百年の孤独 1


「あっつー」
道行くひとが、呟くのが聞こえる。
海に向かって開かれた土地は、木の葉の里よりももっと湿度が高く、遮るもののない太陽の熱が容赦なく地を焼き、その熱が気温を上昇させる。
「隊長、暑くないですか?」
テンゾウも暑いと思ってはいたが、
「ボクは大丈夫」
自分よりベテラン暗部の隊員に尋ねられ、思わず見栄を張ってしまった。
そよと濃い緑の葉を揺らす風は、潮の香りがする。
「俺は早く交代して、冷たいビールに刺身で一杯やりたいですよ。この国、魚の鮮度に関しては、木の葉の比じゃないですから」
ベテランの言葉は「そう肩肘張らずに」と言う代わりの労いなのだろう。しかし、思わずひんやりしたグラスの感触を思い出し、テンゾウは余計に暑さを覚えた。
――これが先輩だったら。
あっついね〜、テンゾウ。あ、ねえ、アイス買ってきてよ。
だめです、今は任務中。
大丈夫、何も動きないから。ね、アイス。
……。
あ、無視した。隊長自らアイスを買いに行け、と、テンゾウはそう主張しているのね。
いえ。アイスは忘れてくださいと主張しています。
え〜。だって、暑いでしょ? テンゾウも暑いでしょ?
夏は暑いのが当たり前です。
ね、ちょうどあそこにアイス屋さんがいるから。
――アイスボックスを抱えて「アイスキャンデー」ののぼりを背負った男の姿があって、よく見たら、それが探していたターゲットだったんだったよなぁ。
ふと遠い目になったテンゾウの目の前に、チチッ、と、鳥が飛んできた。
伸ばした指先に止まるとふわりと煙に包まれ、文書に変わる。
「警務部隊のほうにも、動きはない」
テンゾウの言葉に、年上の暗部は頷いた。

病に倒れ余命いくばくもない国主から息子への政権移譲が滞りなく行われるよう治安の維持に努める、というのが、今回の任務だった。
火の国と防衛関係の契約を結んでいるため独立した軍隊を持たないこの国の緊急時には、火の国の軍隊が派遣されることになっている。
が、そうした関係を好ましく思わない者もおり、政権交代に乗じて事を起こす可能性もあった。
事実、火の国との防衛関係を争点に国政が荒れたことも過去には何度かある。最近では、若手を中心とした革新派が暴動を起こしかけたこともあった。
ただ、何も事が起きていない時点で軍隊を派遣することはできない。だから、こうして木の葉の里に依頼がきたのだ。
すなわち、これは隠密裏の任務。故に、暗部が動員されたのだ。
テンゾウたちは、SPにも悟られないように、ひそかに国主の邸宅を見張っている。
邸宅と言っても、火の国やその他の大国のようにだだっ広い敷地に立つ豪奢な建造物ではない。
火の国なら、中程度の大名の屋敷ぐらいのこじんまりしたものだ。
残るふたりは、この国の治安を担う警務部隊の本部を探っている。何かあれば真っ先に動くのが、国主の邸宅とこの部隊だからだ。
それを5時間ずつ、4個小隊の4交替で務める。テンゾウは第2小隊の隊長だ。
一度、警備を離れれば次までに15時間あるわけだが、その間に睡眠もとらなくてはならないし、市井の人々にまぎれて情報収集もしなければならない。そして実は、この情報収集がやっかいだった。

明確な敵はいない。しいて言うなら、社会に対する漠然とした不満や不平だ。
普段は空中を浮遊している不穏な空気が、国主の病という機会を得て、川の流れのよどみにゴミが溜まるように一箇所に集まるのは、よくあること。そして、それは間違いなく悪意や敵意といった形を成す。
これを未然に防ぐ、つまりはっきりしたターゲットのない任務なのだ。
明確な敵があって動く場合とは、まったく異なったスキルが求められた。
だからテンゾウたちは、慣れないスーツなる衣装を身に纏い、飲み屋であれこれ交わされる愚痴や噂話を聞いたり、年寄りに変化して早朝の散歩をしたり病院の待合室に居座ってみたり、小さな子どもを連れた女たちが集まる午前中の公園に潜んでみたり(あまりあからさまに潜むと不審者と間違えられるので要注意)、若作りして夜でも煌々と明かりの灯る店の前にしゃがんでみたり、定食屋を小奇麗にしたような店(ファミレスというそうだ)に陣取ってみたり……。
戦闘時のような凄惨さはないが、神経を使うという点では戦闘時よりも過酷と言えた。
テンゾウは西の空をみやる。夏の沈むのが遅い太陽は、まだ燦々と輝いているが、近隣のオフィスビルからは、そろそろ仕事を終え帰宅する者たちの姿が見られた。
「今日は、居酒屋コースですかね」
ベテラン暗部の声に、テンゾウは頷いた。時間的に自分たちが警備を交代すると、この街の人口の大半を占める勤め人が1日の仕事を終える時間帯になる。
この隊では、隊長であるテンゾウと目下別働の2名は若手だ。だから、一緒に動くとしたら、彼には多少若返りの変化をしてもらうか、上司とその部下といった役どころを決めなければならない。
だが、この彼が、それを多少、窮屈に思っていることを、テンゾウは感じ取っていた。
――カカシ先輩だったら……。
「一人で動きますか?」
「しかし……諜報は」
「ツーマンセルが基本」
セリフの後半を奪い、テンゾウはベテランを見た。
「ですが、戦闘時でもなければ、戦闘を警戒しなければならない状況でもありません。何かあれば式を飛ばしてください。ただし、目立たないように。それで充分だと思います」
――そう、カカシ先輩だったら。
基本は基本。ただし、それに縛られると、効率的に動けなくなる。
そう言って、イレギュラーな組み合わせで部下を動かすことも、ためらわなかった。
「差し支えなければ、そうさせてもらいます」
テンゾウは頷いた。
――残る二人は、このベテランをうっとおしがっていたから、今日は、多少の我がままには目をつぶろう。
腐っても暗部。たとえ、若い女にばかり目がいっていたとしても、忍としての本来の任務まで忘れるようなことはないだろう。ここは、部下を信じるしかない。
本筋を忘れさえしなければ、少々の不都合には目をつぶる、何かあればボクが責任を取る……とテンゾウは自分に言い聞かせる。
――先輩はいつも、そうやってきていた。

こうして、自分が小隊の長という立場に立って初めて、カカシの言動のあれやこれやが、ストンと胸に落ちてくる。
みな、任務だから不満はあっても我慢する。そして、我慢してもらわないことには任務が立ち行かない。
しかし、大勢に影響のない範囲で多少の融通をきかせるのもまた、隊長の裁量のひとつなのだと、テンゾウは今回、思い知った。
自分が部下でいるときは、「だから、先輩は甘いんです」と文句を言ったものだが。
特に、こういう神経戦のような長期任務で、ある程度の羽目はずしを大目に見ることが、何よりも隊員の精神面でのリフレッシュに繋がっているのだと、実感した。
訓練されてはいても、暗部もまた人間だ。任務に支障をきたすことはなくても、ストレスは軽減させておくに限る。
緊急事態になったら、そんな悠長なことは言っていられなくなるのだ。そうなった場合も想定して、なるべく個々の状態をベストに近いレベルで保っておくのは重要事項のひとつだ。
『テンゾウは真面目で、力もあるからね。こういう事態もなんてことないだろうし、部下がみんなテンゾウみたいなのばっかりだったら、とっても楽だとは思うけど。ま、暗部と言っても、いろいろだから』
カカシの言葉が脳裏を過ぎる。
――そうですね。ほんと、いろいろです。
そして、いろいろだから、うまくいくのだとも思う。
みながみな、自分のような男ばかりだったら、それはそれで、支障がでるだろう。
そもそも、どの生物も同じ種内で個体差があるのは、多様性が子孫を残すために必要な要素だからだ。
カカシは、テンゾウのように理屈で考えて答を導き出すのではなく、おそらく幼いころから忍として生きる中で、無意識にそういった諸々の知識やスキルを身に付けてきたのだろう。

「交替」
時間が来て、第3小隊の隊長を務めるイナダが、テンゾウの隣に降り立った。
「了解。異状なし」
真面目な顔で頷いたイナダは、一呼吸おいた後、そっとテンゾウに耳打ちした。
「悪い、この警備が終わったら、相談、のってくれ」
テンゾウは頷いた。暗部4個小隊16名は、それぞれ仮の身分で、マンションやホテルに滞在している。
5時間後……としたら、ビジネスのために長期滞在しているという名目で借りた、短期契約マンションの一室に戻っているころだろう。
「たぶん、部屋にいると思う」
「わかった」
大雑把な割りに勘の鋭いイナダが今回の任務に加わっているのは、納得のいくところだ。隊員たちも、親分肌でサッパリした気性のイナダに、好感を持っていたようだが、と思いながらテンゾウは、その場を立ち去った。
――何か、あったのか?
首をかしげながら集合場所に着くと、隊員二人が既に待っていた。
「あれ? おっちゃんは?」
テンゾウより少し若いこのふたりは、ベテラン暗部を影で「おっちゃん」と呼んでいる。親しみを込めているのかもしれないが、プライドの高いベテランには逆効果だ。
「単独を依頼した」
ふうん、と言いつつ、顔を見合わせる。
「だったら、隊長。今日は、ほら、あそこ、行きましょうよ!!」
短冊街を10倍いかがわしくしたみたいな街は遊里とも異なっていて、しかし男を楽しませる仕掛けのある店が並んでいた。
「任務だってことを、忘れてないだろうな」
テンゾウは釘を刺すが、彼らは「もちろん」と胸を張る。
「だって、不満鬱憤はこういうところに溜まるんですよ!」
確かに、とテンゾウも頷いた。たとえ部下の詭弁だったとしても。あの街は不満鬱憤の掃きだまりではあった。