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 お婿にいった四+カカのお話
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   ぎむれっと-40話 -キリリク話
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2007年06月13日(水)
百年の恵み 後


出発前に、一度だけでも。
そう思った自分に、テンゾウは呆れた。
一度ですむはずがないのだ。
抱き合ってしまえば恋しさはより募り、離れがたい想いもまた強くなる。
一度、身を任せ、理性のタガを外してしまったカカシは、きっと際限なく求めてくるだろう。
クールに見えて情に篤い男だ。相手を恋うる気持ちも熱く、性にも貪欲なのだと、テンゾウは付き合うようになって知った。
そんなカカシだからこそいとおしく、拒むことなど思いもよらない。
しかし、さすがにそれでは明日からの任務に差し障るだろう。

今回の任務を拝命したとき、まっさきに思ったのは忍としてあるまじきことではあるが……カカシのことだった。
もともとカカシには常に華やかな浮名が付いて回っていた。だから、自分が里に戻ったとき、いままで自分がいた位置にだれか別の者がいることもありえる。
その可能性に、初めてテンゾウは思い当たり、そして不安になった。
ようやく、恋人らしい付き合いができるようになってきたのに、白紙に戻ってしまうのか。
そう思うと、落ち着いてなどいられなかった。
急いで、しかし完璧に整えた装備一式を担いで、カカシの部屋に向かった。
短くても一ヶ月、長ければ……3ヶ月かあるいは、半年か。
自分が里を離れることを告げれば、カカシは寂しがるだろう。
絶対に、表に出すことはないが、寂しがる。どうやって宥めようか。
歩きながらテンゾウは、そのことばかり考えていた。
しかし、ドアを開けたカカシは見事に“先輩”で“隊長”だった。恋人としての寂しさは内に隠し、小隊長という大役を担った自分を励まし、アドバイスを与える。
凄い、と思い、同時に、物足りないとも思った。
そして、テンゾウは気づいた。
自分はカカシに愁嘆場を演じてほしかったのだ。
そうやって、自尊心を満たし、恋人であることを実感したかったのだ。

「よし。テンゾウの壮行会をしよう」
黙り込んだテンゾウの気持ちを引き立たせるように、カカシが明るい声で言った。
「三ヶ月だろうが、半年だろうが、一年だろうが、オレの小隊は替わりの人員補充なし、って、三代目にも言っておいたのよ。鳥面と虎面にはまだ話せないから確認してないけど、スリーマンセルで頑張ろうって言えば、わかってくれると思う」
つまりそれは、“待ってるよ”ということ。
「まあ、分隊単位のときは、だれか臨時で来てもらうかもしれないけど。あくまでも、臨時だから」
「……先輩」
テンゾウは言葉を失い、ただカカシを呼んだ。
カカシの隊に来たいという輩は大勢いるだろう。
たとえ、短期間の補充人員だったとしても、そこで認められれば正式な所属になる場合もある。
「テンゾウのポジションはテンゾウにしかできない。中途半端だったら、いっそいないほうが、こっちも楽だしね」
仕事の話だとわかっていても、カカシのその言葉に恋人としての気持ちも込められている、と思いたくなる。
「はい。ありがとうございます」
「さ、壮行会、壮行会。急だから、立ち飲み屋でいい?」
テンゾウは頷いた。
きっと部屋で飲んだら、歯止めがきかなくなる。それをわかって、カカシも外に誘ったのだろう。

「おや」と店の前を掃いている女主人が、二人を見て笑った。
「ごめん、店、まだ?」
「いいええ。今、暖簾を出そうとしていたとこですよ。口開けのお客さんが兄さんたち、ってのは嬉しいですね」
「嬉しい?」
「そりゃ、あたしだって女ですから。おっさんより若い男がいい、ってことですよ」
からからと笑いながら、女主人は引き戸を開け、暖簾を引っ張り出した。
軽口は、開店準備中にやってきた客に気兼ねをさせないためだとカカシもテンゾウもわかっている。
「お手伝いしますよ」
暖簾の両端を持ち、鉤手にひっかける。
「ありがとうございます。さ、どうぞどうぞ」
電気を点けカウンターに入り、手を洗う女主人にカカシが声をかけた。
「こいつがね、初の長期出張なの。だからね、今日は壮行会」
「それはそれは」
言いながらテキパキと動く。狭いカウンターのなかで無駄なく動き回る彼女を、元くの一かと思ったこともあるのだが、違うらしい。
「はい、お通し」
賽の目に切ったマグロの漬けに山芋、もみ海苔、生山葵。
「あ、やまかけ」
目を細めるカカシに、テンゾウも思わず笑顔になった。
「さて、なんにしましょ」
「明日、早いから……」
言いながら棚を見る。と、女主人はポンと手を叩いた。
「そうそう、いいのが入荷したんでした」
そして一度、奥に引っ込んでから緑色のボトルを手に戻ってきた。
足つきの細長で小ぶりなグラスに、注ぐ。
ほんのり甘みのある、度数のそれほど高くない酒は、二人にとってまるで清涼飲料水のようだ。
「へえ」
カカシも知らなかったようで、一口含んで味わい、それからコクンと飲み干す。
「なんでも、白樺の樹液を発酵させてつくるんだそうです」
「樹液」と、カカシとテンゾウの声が重なった。
「ええ、なんだか、この里に似合った酒でしょ? 味のほうは、びっくりするほどおいしいってわけじゃないですけど、素朴な感じで悪くないと思うんです。それにね、樹齢百年の白樺から樹液をとるらしいんですよ。なんだか、おめでたいような気がして」
一応、ふたりとも忍であることは伏せている。たいがいバレバレなのだろうが、女主人も客も知らない顔でいてくれるのが、ありがたい。
そして“出張”というのが、里外の任務だということも、おそらく女主人はわかっているのだろう。
だから、この酒を出してくれた。
まさか、テンゾウの使う術までは知らないだろうが、木の葉の里を思わせる“樹”を原料とした酒は、「どうぞ、ご無事で」と言う代わりのはなむけ。
「それにしても、よく、こんな酒、見つけてきますね」
心底、感心したカカシの声に、女主人は「そりゃ、酒屋ですから」と笑った。
どことなくカカシと相通じるものを女主人に感じながら、テンゾウは「お代わり、いいですか?」と尋ねた。
「もちろん。明日に触らない程度に、じゃんじゃん飲んでください」

小一時間ほどたったころ、ピィと鳥の声が聞こえた。「ちょっと失礼」とカカシがさりげなく、店の外に出る。
「兄さん、お茶漬けでも作りましょうか?」
確かに小腹もすいてきていたが、外の様子が気になり、テンゾウは曖昧に頷いた。
女主人はそんなテンゾウにふと優しい眼差しをくれると、奥に引っ込む。
同時に、引き戸が開き、カカシが戻ってきた。
「緊急の呼び出し」
カカシが囁く。
「ごめーんね」
「いえ。充分、励まされました」
ニコッと微笑むのに、「単独ですか?」と尋ねる。店内に、まだ他の客はいないが、どちらの声も互いにしか聞き取れないほど低い。
ん、とカカシが頷く。
ドックンとテンゾウの心臓がはねた。危険な任務じゃないだろうな、とカカシをみやる。
「だいじょーぶよ。酒屋で飲んでるとこに来たんだから。だいたい、アレじゃ酔わないし」
そう言われても、心配は消えない。おまけに自分は明日、発つ。
「先輩」
女主人が奥に引っ込んでくれているのをいいことに、テンゾウはカカシを抱き寄せた。
「ボク、ちゃんと任務を終えて戻ってきます」
ん、とカカシが答える。
「元気で、いてください」
ん、テンゾウもね、と小さな声が答える。
テンゾウはカカシの身体を少し遠ざけ、顔を見る。
いつもどこか眠そうな濃いグレーの右目、眼帯で隠した写輪眼、淡く朱を掃いたような薄めの唇……。
再度抱きしめ、そっと重ね、触れるだけのキスをする。
腕のなかで戦く体が、いとおしかった。
名残惜しさを断ち切るように身体を離したとき、女主人が奥から戻ってきた。
「オレ、先に失礼します。コレで、あとはよろしく。足りない分は、後日」
カカシが差し出した何枚かの札を受け取り、彼女は「これじゃ、お釣りがきます」と笑った。

結局、テンゾウはその後、鯛茶漬けを食べ、店を出たところで、カカシの部屋に荷物を置いていたことを思い出した。
「あっちゃー」
チャクラ装備の合鍵はもらっているのだが、なんとなく後ろめたい。
意味もなくこそこそと部屋に入ると、隅においたはずのテンゾウの荷物がドンと玄関の上がり口に鎮座していた。
『いってきます&いってらっしゃい』
簡単明瞭なメッセージと“へのへのもへじ”が書かれた紙が、ペラリと貼り付いている。
「先輩」
なぜか、胸が詰まった。
テンゾウは、“へのへのもへじ”に向かって、深く礼をした。
「いってらっしゃい……そして、いってきます」



<了>


百年の恵み
中国の黒竜江省で作られる。アミノ酸、ビタミン、ミネラルが豊富な白樺の樹液を原料とする。度数はちょうどワインや日本酒と同じぐらいの12度程度。