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 お婿にいった四+カカのお話
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4話
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  月読-5話 -キリリク話-
 月読の術に倒れたカカシを心配しつつ、
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  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
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 ※途中、18禁あり
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  La recommandation
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2007年05月22日(火)
後日談 1)


久しぶりの入院生活だった。
起き上がれなくなるほどの幻術を喰らったのも、忍になりたての子どものころ以来だった。
決して油断していたわけではないのだが、才能の違いを見せ付けられた。
持って生まれた天眼の力はやはり、大したものだと言うしかない。
自室に戻ったのは、目が覚めて三日目だった。
チャクラはほぼ戻った。あとは入院生活で衰えた筋力や反射神経を鍛えればいいだけだ。
筋トレから初めて、通常のメニューをこなせるようになるまでに3日かかった。
それでも、まだ軽い倦怠感が残る。

あの術が、身体的苦痛を与えるだけの単純なものでよかった、と思う。
三日三晩、痛苦に責め苛まれるというのは、それはそれできつかったが、あれが内面に働きかけるものだったら、と思うと、ぞっとする。
実際、サスケがくらったのはそちらだったと聞いて、暗澹たる思いになった。

オレも天才ともてはやされたりもしたが、結局、忍として早熟だったに過ぎない。
忍である父に、物心つく前から忍として生きることを教えられたのだから。
と言うと、まるで英才教育を受けてきたような言い草だが、なんのことはない。
父には、それしか教えられなかった、というだけのことだ。そういう生き方しか知らないひとだったのだ。
でも、イタチは違う。ああいうのを、天才と呼ぶのだ。
そして、なまじ才がある故に先が見通せるし、周囲の大人たちの器も見切ってしまえる。
その結果、失望するのだ。失望は、深く静かに潜行して、やがて絶望となる。
彼が暗部にいた時期は短かったし、オレとは同じ任務に就くこともなかったから接触も少なかったが、ひとつだけ印象に残っていることがあった。

単独任務の帰路、偶然、イタチが属する隊と一緒になったことがあった。まだ、イタチが暗部に配属されてすぐのことだ。しんがりを務めていた彼と、追っ手を警戒するもの同士、自然と共闘する形になった。とはいえ、実際には追っ手の気配はなく、比較的のんびりした帰路だった。
だからだろうか、イタチが珍しく話しかけてきたのだ。「眼の具合は、どうですか?」と。
眼、というのが、写輪眼をさしているのはわかった。
オビトの名が慰霊碑に刻まれてからの7年ほど、うちはの誉れを夭逝させた元凶であり、同時に、オビトの眼を一族でもないのに貰い受けたオレは、遺族をはじめとするうちは一族から忌み嫌われてきた。
開眼しない者が「眼を返せ」と詰め寄ってくることも、よくあった。
オビトを落ちこぼれと笑っていたはずの輩が、とオレは冷ややかな気持ちになったものだ。
けれど、暗部に配属になったイタチがオレを見るとき、一族の者にありがちな蔑むような、そして同時に羨むような色はなかった。オレはその理由を、彼自身がすでに写輪眼を開眼しているからだと思っていた。だから、オレに対するイタチ自身の本音がどこにあるのかは、わからなかった。
唐突とも思える問いかけに「ん〜、ボチボチだね」と、オレは適当な回答で濁した。
しかしイタチは、「ひどく痛むことは、ありませんか?」と、重ねて問うてきた。
常と変わらぬ淡々とした口調だったが、どこか心配そうにも聞こえ、それが普段の彼とは少し違っていた。
「移植した当初は痛みもあったけれど、ここ何年かは、ないね〜」
「そうですか……ならば、それはあなたに適合したんですね」
安堵したような声音が意外だった。
「うちはとしては、適合しなかったほうがよかったんじゃない?」
意地悪な問い方だとは思ったが、聞かずにはいられなかった。
「そうですね、うちはとしては、そうでしょう。でも……」
言いかけて、イタチは口をつぐんだ。
「三つ巴になるまで使いこなすのは、大変だったでしょう?」
さりげなく話題を変えたのだとわかった。今思えば、あのころイタチはもう一族の惨殺と里抜けを決意していたのかもしれない。
「そう言われれば、最初は二つだったね。悪戦苦闘しているうちに、三つになっていてびっくりしたよ」
イタチは、珍しいことに少し笑った。後にも先にも、オレがイタチの笑顔らしきものを見たのは、このときと、この少し後、弟がアカデミーに入学すると告げたときだけだ。
「それなら、大丈夫です。完全に適合したということですから」
何が大丈夫なのか、オレにはよくわからなかった。が、イタチの口調には労わるような色があったので、きっと一族の者も使いこなすのには苦労しているのだろうと、オレは考えた。
でも、このときイタチがすでに里抜けを決意していたとしたら。
脳裏を過ぎったのは弟のことだったのかもしれない。

その後、イタチのしでかした所業は憎むべきものだし、木の葉の忍として彼を許せないという気持ちはある。
しかし、それとは別の次元で、オレはイタチを嫌いにはなれなかった。
それは、月読の術を喰らい散々な目にあった今も、不思議なことに変わっていない。
彼だけが、オビトからもらった眼を気遣ってくれた。その事実は変わらない。
それに、いくら才走ったと言ったところで、十三やそこらだった彼が抱えていた苦悩を、どうすることもできずにいたひとりだったのだ、オレもまた。

控えめなノックの音に、立ち上がった。
わざと完全には消されていない気配は、テンゾウのものだ。
果たして、ドアを開けると暗部姿のテンゾウがいた。
「屋根伝いに来たの?」
「はい」と言いながら部屋に入り、面を外す。屋根伝いに来ても、玄関に回る律儀さは変わっていない。
「そのほうが、早いですから」
すばやくオレを一瞥し、「9割、というところですか」と呟いた。オレの回復度を一瞥しただけで見抜けるのは、この無駄に優秀な後輩ぐらいのものだろう。それだけ、苦労をかけてきた、ということだ。
「それでも、並よりは上よ」
「ご冗談を。間違いなく特上でしょう」
「……まるで、寿司の話みたい」
「そうですね」
オレたちは顔を見合わせて笑った。
「空腹なんですか?」
「どうして?」
「いえ、寿司を連想されたので、空腹なのかな、と」
言われてみれば、空腹だった。
「外へ出ますか? 何か作りますか?」
勝手に冷蔵庫の扉を開いて中を確認すると、「食材を仕入れてきます」とテンゾウは再び面を被り、外に出た。
――おまえ、その格好で買い物するの?
残されたオレは、半ば呆れて後姿を見送った。
それにしても、外に出るのは億劫だと思ったオレの内心まで見抜かれたのだろうか?
――オレ、先輩として終わってない?
病み上がりとはいえ、9割は回復しているのに。
ほどなく戻ってきたテンゾウは、リュックを背負っていた。
「今朝方、任務から戻ったら朝市が立っていたんで、買い込んだんですよ。それが家にあったので」
買い物に行ったのではなかったのかと安堵すると、テンゾウが口元を緩めた。
「この格好で、買い物はしませんよ」
オレは返事をしなかった。

テンゾウの作ったメシはうまかった。
ちょうど走りの時期にあたる秋刀魚の塩焼きと茄子の味噌汁。オレの定番メニューだ。
それに、レンコンのきんぴら、青菜と揚げの炒め煮。辛うじてテンゾウらしいといえるメニューは、八宝菜。
「おまえ、こんなので足りるの?」
「昔ほどは食べなくなりましたから」
その答を聞いて、そうかオレはコイツの“昔”を知っているのかと改めて思った。

付き合い始めたころ、こんなに長く続くとは思ってもいなかった。
木の葉崩しが起きたとき、オレはこのまま会えなくなることを覚悟した。
死ぬつもりはないが、己の命よりも優先しなければならないことがあった。
里の外にいたテンゾウも同じだろう。
だから、もう……国境警備につくと知らせにきてくれた、あれが最後になるかもしれない、と。
結局、オレは生き残り、九尾襲来後のように復興に走り回った。単独任務も請け負った。
暗部の消息など掴めようもないから、テンゾウのことはなるべく考えないようにしていた。
唯一、希望が持てるとしたら、もしテンゾウに何かあれば、知らせてくれる者がいるかもしれない、ということだった。
暗部のなかでも古参の連中は、オレたちの関係を知っている。吹聴してまわりはしなかったが、隠してもいなかったのだから当然だ。
たまに二人で連れ立っているときに暗部時代の顔見知りに会うと、まだ続いていたのかと呆れられた。
腐れ縁だな、と苦笑もされた。
そのたびにテンゾウは、「カカシさんに手を出すつもりなら、ボクを倒してからにしてください」と返しては、さらに相手を呆れさせていた。
彼らのうち、だれかは生き残っているだろう。そして、三代目を喪い、直後は混乱していた暗部も落ち着いてきたから、何かあれば、きっと、と。

片づけを終えたテンゾウが、ベッドにもたれて座っているオレの左隣に腰を下ろした。
少し首を傾げるように、オレを横から覗き込み、ふっと表情を綻ばせる。
その顔に自分のなかの何かが決壊し、テンゾウに向かってなだれ込んで行くのがわかった。
テンゾウは正面を向き、背から腕を回すとオレの頭を引き寄せた。
オレは素直に、テンゾウの肩に頭をもたせかける。
テンゾウの指先がオレの髪と戯れている感触を、ぼんやりと追いながら、頬にテンゾウの体温を確かめる。
――生きている。オレもテンゾウも……。
左目が熱くなった。