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 お婿にいった四+カカのお話
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  桜宵-4話
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  カカシとテン子のど〜でもいいヒトコマ


  a sirial -暗部なテンカカ話-

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  二人の出会い

  びとぅぃーん・ざ・しーつ-12話
  二人の“初めて”または物語の始まり
  ぱすてぃす〜前章
-18禁-
  ぱすてぃす
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  ぱすてぃす〜後朝 -18禁-

  猩々   おまけ -18禁-
  モジモジしている二人の一歩
  マラスキーノ 後日談
 ホワイトデー話

  らすてぃ・ねーる-12話
 ※4 に、テンカカ以外の絡みあり
  任務に出た二人
  カカシの過去を垣間見る

  恋女   後顧   おまけ
  ストーカー被害に合うテンゾウと
  嫉妬な先輩


  九夜十日
  イタチ里抜けのとき

  百年の恵み
  長期任務の小隊長を命じられるテン
  百年の孤独-6話
  初めての遠距離恋愛なテンカカ
  たーにんぐ・ぽいんと-8話
    テンゾウの帰還

   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
 テンゾウは……

 【1部】 だーてぃ・まざー-4話
 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
 【3部】 ぶれいぶ・ぶる7話
 【Epilogue】 そして、恋

  あふろでぃーて-5話 -キリリク話-
 くるみ


  a`la carte
  -暗部なテンカカとヤマカカの間話-

  春霞-4話
  暗部を離れたカカシとテンゾウ
  ちぇい・べっく
 -可愛いお嬢さん-
4話
  ※2,3に、ごく軽くテンゾウ女体変化あり
  久しぶりのカカシとの任務
  聖牛の酒-3話
  波の国任務の少しあと
  てぃままん-3話
  波の国と中忍試験の間

  月読-5話 -キリリク話-
 月読の術に倒れたカカシを心配しつつ、
 イルカ先生の存在が気になるテンゾウ

  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
  惚れ直すテンゾウ
 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
 du chef
-ヤマカカな話-

  再会-Reunion-  第二部





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2007年04月16日(月)
春霞 1


雨のなかを走っていた。
きっとこの雨で名残の桜も散ってしまうだろう。
隣を走る男が、枝を蹴る。
中忍以上が着用するベスト姿に、ふと違和を覚えた。

――いつも一緒に走っていたのは……。

オレは頭を振って、同じように枝を蹴る。

「やはり追ってきたか」
奪われた密書を奪い返したオレたちを追ってきたのは、敵国の雇った忍――お約束どおりの展開に笑いが出る。
「俺が囮になる」
こんな状況でも爽やかに言い放つ男とは、かつて暗部の任務帰りに偶然遭遇したのが縁で知り合った。当時は中忍だった彼はすぐに上忍になり、以来、7年余りの間に何回か任務で顔を合わせてもいた。
聞けばオレより少し遅れて下忍となった彼もまた、大戦と九尾の時代を知っている、いわば数少ない文字通りの“同胞”だ。

「敵さん、ふたりよ」
「男が交わした約束だ。カカシ」
雨の中なのに、歯が白くキラリと光った気がしたのは、錯覚か?
――オレ、疲れているのかも。
それはそうだ。面で貌を隠して赴く暗部の任務は過酷だが、オレにとっては馴染んだ場所だった。
暗部を外れ、上忍はたけカカシとして任務につくのは、未だオレにとってイレギュラーな出来事に感じられてならない。そんな状態が、もう4ヶ月余り。
上忍師を命じられ、担当した下忍候補をアカデミーに送り返すこと数回、シビレを切らしたらしい三代目は手っ取り早くオレを暗部から追い出したのだ。
しかし、今年も下忍候補はオレの試験に落ち、オレは上忍師になりそこねた。
「また落としたのか」
と三代目はため息をついたが、オレに言わせれば、落ちるほうが悪い。
なんの覚悟もないヤツを忍にすることはできない。
仲間に背を預けることの意味さえわからないようでは、たとえ合格させても、待っているのは死だけだ。

「いいな、俺が囮になる」
「はいはい。あんたの死体回収はしたくないから、頑張ってね」
軽口で答えてオレは先を急いだ。
マイト・ガイは、オレに向かって笑顔で親指を立てた後、敵に向かって跳躍した。
――ま、大丈夫でしょ? あいつ、強いし。
初めて出会ったとき、オレが同い年で上忍でおまけに暗部所属と言うのを知って、俄然ライバル意識を燃やしたガイは、時折、勝負を挑んできた。
つい最近のそれは、中段蹴りを1分間でどちらが数多くこなせるか、だった。
体術に長けたアイツが考えそうな勝負だ。賭けられたのは、次の任務の囮役だった。
でも僅差でオレが勝ち、約束どおり今、ガイは囮として残ることになった。
もっともあれが、中段蹴りでの破壊力勝負だったら、囮役はオレだっただろう。
暑苦しくて、うっとおしい男だ。でも、嫌いなわけではない。むしろ、好ましく思っている。
あんなふうにまっすぐにオレにぶつかってくる同年輩の忍は彼だけだ。
ただ、彼とのツーマンセルに慣れない。
彼もまた今年の下忍候補生を落として、上忍師になりそこねたのだからしばらく彼と組むのは仕方ない。
そしてガイという男は、存在そのものが自己主張の塊、周囲を気にしないマイペースな性格と思われているが(実際、そのとおりなのだが)、任務に関する限り調和を重んじる。
普段から悪目立ちしているせいか、余計な自己アピールもしないし、変なプライドでヘソを曲げたりもしない。
己の力量もきちんと把握しているから、こちらの采配にも文句をつけないし、余計な気を回すこともない。
オレにとっては、組みやすい相手だ。それでも、まだオレは慣れないでいる。

どうしても、思い出してしまう。
かつては同じ隊の部下で、後に分隊を任されるようになった後輩を。
2個小隊以上で動くときは必ずと言っていいほど彼の隊と一緒だった。
ツーマンセル任務では、ずっと相方だった。

国境を越え、あらかじめ打ち合わせたポイントで、中継役の忍と落ち合った。
彼が直接、密書を火の国の大名に届けるのだ。
合言葉と印で互いを確認し、密書を受け渡せば、オレの仕事は終わる。
ガイを応援すべく再び国境を越えようとしたところで、本人と出会った。多少、薄汚れてはいたが怪我もない。
「そっちはどうだ?」
「終わった」
オレの返答にガイはほっと息をついた。
「こっちも、終わった。一応、処理班と訊問部隊には連絡を送った」
――置いてきたのか。
オレはガイの横顔を見ながら思った。
その場で殺されるか、それとも生きながらえて捕虜となるか、どちらが楽か、それは定かではない。
木の葉の部隊が到着する前に彼らが自死する可能性に目をつむって、そのまま放置したガイの心情をオレは測ってみる。
温情ともとれるが、その熱血ぶりに反してガイは意外とプラグマチストだ。放置したのも、計算のうえなのだろう。
そこで自死を選べる相手なら、たとえ生きていても拷問に耐える。選べない相手なら、さっさと吐く。
敵の応援がかけつける場合もあるが、このようなケースでは下手に生き残ると、返ってスパイと疑われる場合もある。
こういうところで彼が戦場に慣れた忍であることがわかる。その点では、とてもやりやすいと思う。
だから、オレの感じる違和は、ひたすらガイがテンゾウではない、そのことだけなのだ。

帰り着いた里は気持ちよく晴れ、頭上には霞んだような青が広がっていた。
春の空は、この季節特有の湿気の多い空気のせいか、どこか曖昧だ。まるで今のオレの、もやもやとした心境を映しているようにも思える。
けれど強めの南風に、濡れた髪は、あっという間に乾いていく。
任務報告はガイに任せて、オレは部屋に戻った。
習慣で面を外そうとして彷徨う手に、笑ってしまう。面をつけていないのに。
任務が終わると面を外す習慣が長く続いていたから。
暗部所属のまま正規部隊の応援に行っていたときは、そんなことはなかった。
イレギュラーな出来事だということをしっかり認識していたからだ。
今は、その辺が混乱している。

まだ湿り気を残したベストとアンダーを脱ぎ、下に来ていた帷子も脱ぎ捨て、オレはベッドに身体を投げた。
身体の疲労は暗部にいたころよりも軽い。ただ、精神的な疲労が大きい。
どんなに目立っていても、暗部では「匿名」が建前だった。今は違う。何をやっても、上忍はたけカカシなのだ。
暗部からはずされた一因に、それがあるのは言われずともわかっていた。
面をしていても特定される場合は、少なくない。使う術の特殊性、面では隠しきれない外見など、理由はさまざまだ。ただオレの場合、正規部隊の任務も兼ねていたこともあり、名が売れすぎてしまった。
テンゾウは、使う術の特殊性では木の葉の里随一だが、彼の術を認識した相手はまず、死んでいる。
だから、面をしてしまえば外見がそう目立つわけでもない彼は、ビンゴブックに名がない。もちろん、各里の裏情報網には、何かしらひっかかってくるのかもしれないが、表向きにはなっていない。

ずっと同じ仲間とセルを組むことなど、ありえないとわかっていた。
なのに離れてみて初めて、その事実にオレは愕然としている。
――甘いねえ、オレも。
自嘲をこめたため息と同時に、コツコツと窓を叩く音がした。
顔の上に乗せていた腕をあげると、見慣れた猫面が窓に貼り付いている。
「テンゾウ!」
あわてて窓を開けると、面を外した男がため息をついた。
「先輩。その見事に鍛えられた、ボクにとっては目の毒とも言える裸体が、窓から丸見えです」
オレは、思わず笑ってしまった。いきなり弾んでしまう自分の気持ちに内心で苦笑しながら。
「なに? 里内警備?」
「いえ。任務報告を終わって、先輩のご機嫌伺いに……」
「なんで、窓から」
「ですから。先輩が戻っているのかどうか確かめようとしたら、その素晴らしく目の毒な裸体が」
「裸体、裸体って連呼しないでよ。ちゃんとパンツははいてるんだから」
「はい。パンツをはいていて下さってよかったです」
そう言って、テンゾウは姿を消した。律儀に玄関に回ったのがわかったので、オレも玄関に回る。
「はい、どうぞ」
ドアを開けるとテンゾウが「お邪魔します」と入ってきた。数年来変わらない挨拶だ。

「久しぶりだね」
「ボク、この三ヶ月、里を出ていましたから」
腕のプロテクターを外し、面を外したテンゾウの「里外任務」の言葉に、オレにはピンとくることがあったが、口にはしなかった。
もう暗部所属ではないオレの質問に、テンゾウは答えられないから。
「そっか……」
同じ里の忍なのに、急にテンゾウとの距離が離れたような気がしてしまう。
「先輩なら、おそらくお気づきだと思いますが、ソレのせいです」
そんなオレの不安を見透かしたように、テンゾウが言葉を継ぐ。
「暗部が水面下で動いていました」
規則違反すれすれの情報漏えいは、テンゾウの思いやりなのだろうか。
それはそれで、なんかムカツクと思っていると、テンゾウがふっと気配を緩ませた。
「だからボクはヘトヘトで、先輩の顔を見たかったんです」
それもテンゾウの気遣いとわかっていて、オレは嬉しい。顔を見たかったというその一言が、何もかもを、溶かしてくれる。
「うん、お疲れ」
テンゾウは、目元だけで笑った。
いつの間に、こんな笑い方を覚えたのだろう、と改めて思った。