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 お婿にいった四+カカのお話
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   ぎむれっと-40話 -キリリク話
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2007年03月31日(土)
あんしゃんて 5


帰路を襲われることもなく、ボクたちは無事に里に帰りついた。
カカシ先輩は、なんでもない顔で任務報告のために三代目の執務室に赴き、そこから病院に直行した。
というか、医療班によって強制連行されたのだった。
別に面会謝絶というわけでもなかったので、翌日になってボクは先輩の病室を訪ねることにした。
コレと言って、理由があったわけではない。強いて言えば、元気な顔を見たかった……そんなところだ。
だが、このときボクは気づいていなかった。
それが、ボクにとってどれだけ稀有なことか。

任務を離れた時間にまで、同じ暗部のヤツらとつるむ趣味はボクにはなかった。
鍛錬や術の研究は当たり前の日課だったが、それ以外では、部屋でひとりぼんやり過ごすことが多かった。
ただ穏やかに無為の時間を過ごすことが、ボクにとっての贅沢だった。
だから、飲みに誘われても余り嬉しくなかった。
ボクに気を使う相手に、ボクも気を使わなくてはならず、でも互いの気遣いはなぜか、ほとんどかみ合わない。
ただ、気まずい時間ばかりが流れる、そんな飲み会なら、ボクを放っておいてくれと思ったものだ。
実際、しばらくたつと、みなボクを放っておいてくれるようになった。

この前の演習のあと、カカシ先輩に強引に引っ張っられて飲みに行ったときは、億劫だとか面倒だとか言うより先に、びっくりしてしまった。
連れて行かれたのが、里の外れの屋台のおでんやだったから。
怪我でずいぶん昔に引退した忍が趣味でやっているというが、おでんはうまかった。
芯まで味のしみた大根やこんにゃく、各種練り物に餅入り巾着、牛スジもあれば魚のスジもあり、店主の気まぐれで、つぶ貝や、里芋、ゆり根と、そのときどきで具材は変わるらしいが、味は絶品。そして頼めば、おでんの汁で卵雑炊や煮込みうどんまで作ってくれる。
「こういうの、邪道なんですけどね」
と苦笑する元忍は、いかに若い忍たちが腹をすかせているかを、よく知っていた。
確かに空腹だったボクは、たらふくおでんを食べ、雑炊も煮込みうどんも食べ、もちろん酒も飲み、気づいたら、先輩と肩を組んで、里外れから里の中心部に向かう道を歩いていたのだった。
「明日は待機で、あさっては臨時の詰め番だからね」
そう言って、ボクを部屋の前まで送り届けた先輩は、そのまま地を蹴って闇に溶けた。
別に、何も話さなかった。暗部に配属になってどうとか、この隊はどうとか、そんなことは何も。
ただ、「ロールキャベツがおいしいです」とか「おでんの豚足って、初めて食べましたけど、いけますね」とか、そんなことを言うボクに、先輩は「オレは、ここのいわしのつみれが大好きなの〜、でもって、今日は黒はんぺんがあって、すんごく得した」と、幸せそうに笑った。
普通のはんぺんとは異なり、魚の骨ごとすり身にした黒はんぺんは、海から遠い木の葉の里ではなかなか手に入らない食材らしく、カカシ先輩はほんとうに嬉しそうに食べていた。

ボクは、そんなふうに自分と一緒にいて、他人が嬉しそうにしているのを初めて見た。
もしかしたら、ボクの気づかないところでカカシ先輩は気を使っていたのかもしれない。
でも、少なくともボクには、先輩もただただおいしいおでんを食べられて幸せ、というふうに見えた。
というより、そういうふうにしか、見えなかった。
そのことで、ボクはずいぶん救われたのだが、それを自覚するのは、もっと時間がたってからのことだ。

ただ、カカシ先輩が入院したと聞いて、咄嗟に見舞いを思ったのは、屋台の一件があったからだ。
自覚していたわけではないが、それがあったから、普通のひとのようにボクは見舞いを思いついたのだ。

その病院前で、ボクは面をしていないポッチャリ系と再会した。
友人だという忍と一緒に見舞いに来た彼は、外出用の正規部隊のベストを着ていたボクを見るなり、
「あ、あのときの猫面」
と言った。面もしていないし、そもそも暗部服でもないのに、よくわかったものだと感心するボクに、
「それぐらいわかるよ」
と彼は笑った。
「カカシさんのとは意匠が全然違うけど、ボクのも狗面だから。割と鼻は効くんだ」
「そうそう、こいつ、見かけは秋道家なんだけど、嗅覚は犬塚家並なんだぜ。どっちとも血縁はないけど」
友人だという忍の、いっそぶっきらぼうとも言える言葉が、ふたりの遠慮のない間柄を実感させた。
「オレがしくじって、カカシさんに負担かけさせたからさ、見舞いぐらいしないと、って言ったら、付き合ってくれたんだ」
そう言う彼のふくらはぎからすねにかけて、包帯が巻かれている。
「ああ、君が怪我した……」
普通、怪我をした自分を上役の部隊長が背負って移動したなど、恥以外の何物でもない。なのに、彼は悪びれず、
「ああ、オレのせいで、ほんと、オレんとこの隊長にも部隊長にも、迷惑かけた」
と、言った。そんな彼をポッチャリ系が笑う。
「だからっておまえ、ベッドから5メートルも離れて立つことないだろう?」
「それとこれとは別だよ。カカシさんのそば近くには寄れない、畏れ多くて、ダメ。オレ、気絶する」
ブンブンと手を左右に振っている。
「だって、怪我して負ぶってもらったんだろ?」
「だから、そういうのはもう、仕方ないんだよ。自分でどうこうできないから。そこで抵抗したって、余計に迷惑かけるだけだし。あのとき、『オレは傀儡、オレは傀儡』って自己暗示かけてたんだぜ。そうでも思わないとさ」
はぁ、と彼はため息をついた。
「でも自分の足で歩いて、そばにいくなんてのは、ダメ。目がつぶれる」
「変なヤツ」
ポッチャリ系の呟きにはボクも同感だったが、それとは別に、暗部にも、こういうヤツがいるんだ、とも思った。
自分の非を隠そうと汲々とするのではなく、非は非と認める……そんな彼の居場所がここにある、そう思うと、ボクはなんだか浮き立つような気持ちになった。
見舞いを終えて帰るところだった彼らと、今度、飲みに行こうと約束した。
そんな約束を交わすのは初めてのことなのに、そのことにも気づかないほど、自然に「じゃ、今度」と答えていた。

「あ〜、タイクツ、退屈、ねえ、テンゾウったら」
特殊な結界を潜り抜け、病室に入るなり詰め寄られ、思わずボクはのけぞる。
「げ……元気ですね、た……カカシ先輩」
「あ〜、いま隊長、って言おうとした〜」
「すみません」
なぜ、謝らなければならないのか、実はわからないのだが、絡まれたら謝っておけというのは、鳥面と虎面から叩き込まれているので、反射的に謝った。
「さっきね、ヒガタが来た。テンゾウに、よろしくって」
「ヒガタ?」
「知ってるでしょ? ポッチャリ系の狗面。テンゾウ、この前の任務で一緒だったじゃない、でもって、おしゃべりしてたじゃない」
ヒガタというのかと、ボクは思った。名前は聞いていなかったからだ。
「イナダもね。別に、怪我したのイナダの不注意ってわけじゃないのに。律儀だよね〜。で、ついでにテンゾウによろしくって」
ああ、もうひとりの彼はイナダというのか、とボクは思った。
「先輩は、あの、ふたりとは?」
「同じ隊になったことはないんだけど、あいつらの所属してる隊とは、前にも一度、一緒に任務についたことがあるから」
「一度」、その言葉がひっかかった。
たった一度の任務で、覚えるものなのか? それとも彼らが特異だったのか?
「一緒の任務についた隊の忍、全部覚えてるんですか?」
「覚えてるよ、そんなの当たり前じゃない。テンゾウ、覚えてないの?」
「いえ……覚えてはいますが……名前までは……」
それに、ボクが共に任務にあたった忍の数と、先輩のソレとは確実に桁が違うはずだ。
それに名前は相手が名乗らぬ以上、知りようがない。
「もしかして、現役暗部、全員顔見知りとか」
「当然じゃない。オレが何年暗部にいると思ってるの?」
里に常駐せずに、諜報を行っている分隊も少なくないなか、それは相当なことではないかとボクは思った。
「ちなみに、正規部隊の上忍も特別上忍も全員顔見知り」
あ、と言ったきりボクは言葉をなくす。
「中忍は……そうだね、最近は中忍試験の監督もしなくなったから、新しい人は直接は知らないな」
「間接的には?」
「だって、書類は回ってくるでしょ?」
たしかに、アカデミー卒業後、下忍になった者と、中忍選抜試験の後、中忍になった者、あとは適宜、特別上忍、上忍になった者のリストは暗部に回覧される。
ということは、このひとはいま木の葉の里で忍として登録されている者全員を記憶している?
「でもね〜。一度でも一緒に任務しないと、なかなか難しいよ、本人特定するのは」
記憶することは記憶しているのか。

「じゃ、ボクのことも?」
おそるおそる尋ねると、先輩の目が弓形になった。
「うん。下忍になったときから。そのあとも目立っていたし」
大きな任務の場合は、任務内容とともに携わった忍の名も、暗部には回覧されるのだ。
このひとは、そうやって自分の後輩にあたる忍たちの動向に、常に気を配っていたのだろうか。
確かに、情報収集の基本だ。それはわかっている。
わかっていてもなお、それを当たり前のように徹底してやっている忍がどれだけいるだろうか?
「なかなか華々しい戦歴だったよね」
たまたま振り分けられた任務が、そういうものだった。
あのときは、このまま目の前の道をまっすぐ進めると思っていたのだ。
「そのあと、いろいろあって2年近く入退院を繰り返してました」
そう……2年。まるで闇に閉ざされたようだった時間。

研究所で実験体として過ごしていたときのことは、実は記憶が曖昧だ。
始終何かしらの薬を投与されていたので、そのせいもあるのだろう。
助け出されてから半年あまりは錯乱状態だったから、これも断片的な記憶しかない。
ただ衰弱していた身体は、適切な栄養補給によって順調に回復していった。
忍としての才を見出され訓練をするようになってからは、錯乱も収まった。
今思えば、ボクは長いこと眠っていた感情というものに直面し、もてあましたあげく、再び、眠らせたのだろう。
そして、どんな戦場に放り込まれても、自分を見失うなうことのない忍となった。
下忍らしくないとも言われたが、事情を知っている数少ない上役は、苛烈な過去を持つ分、ボクは忍として強いのだと言ってくれた。
あまり覚えていないとはいえ、わずかに思い出せる限りでも研究所でのあれは、間違いなく生地獄だった。
それも無駄ではなかった、そう思うと、少しは救われた。
救われたのに……。

「それはおまえが暗部に配属になったときに、知った。事情を知ったのも、そのとき。突然、名前見なくなったから、死んだか、極秘任務についたか、と思っていたんだ」
先輩は静かな声で言った。
「初代さまの遺伝子が、目覚めたんだってね」