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 お婿にいった四+カカのお話
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  月読 後日談


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   ぎむれっと-40話 -キリリク話
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2007年03月30日(金)
あんしゃんて 4


「カカシさん、今回、ずいぶん無茶したな」
一緒に任務に就いた別の隊の暗部に話しかけられたのは、里への帰還の途中――水場で休憩をとっていたときのことだ。かなり年上のようだが、先輩に対して「さん」づけをしているということは、暗部に入ったのはカカシ先輩より遅いのだろう。

里内警備を除くと、カカシ先輩の部隊に配属となって初の任務で、先輩は総勢12人の部隊長を務めていた。
いつもと比べてどうだったのかなど、ボクには判断がつかない。
ただ、初めてその戦いぶりを最初から最後まで見て、確かに無茶をするひとだとは思った。

初日は、事前に入手していた情報の確認とさらなる情報収集を行い、その結果、奇襲で一気に敵の戦力をそぐことが決まった。
そこまではいい。セオリーどおりだ。問題は、昨日の戦闘だ。
カカシ先輩は囮となって敵の只中に踊り込み、その大半を消した。
代わりにかなりのチャクラを使って疲弊し切っていたはずなのに、昨夜、
「突破口は開けたから、明日、夜明け前の総攻撃で決着をつけるんで、よろしく〜。あ、そうそう今夜はイチャパラ禁止ね」
狗面を後頭部にまわし、素顔をさらした姿で軽口を叩いた。疲れのカケラも見せずに。
そして今日も、先頭に立って突き進んだ。
あげく、足にかなり大きな傷を負った暗部の一人を、彼が所属する分隊の隊長と交代で背負って移動している。

この休憩は医療班と合流するためのものだが、むしろこれ以上、先輩に負担をかけないための配慮に近い。

「部隊長もかねてるから、それでも、まだ抑えていたみたいですけどね」
別の暗部が割って入ってきた。なかなか体格がいい、というか、はっきり言ってポッチャリ系だ。
「まあ、そうだな。部隊長が潰されたんじゃ、作戦変更を余儀なくされる。本人は、あまり好きじゃないみたいだがな、部隊長の位置」
「『好きに動けないんだもーん。オレ、男とヤルときは騎乗位が好きなんだよね』って言ってたの、オレ、聞いたことありますよ」
別の暗部が、また割って入ってきた。彼は、なぜかボクの神経に障った。珍しいことだ。
年上の暗部は、はぁ、とため息をつく
「そういうことを言うから、誤解されるんだよな」
「セックスの体位と戦闘と、おんなじなんでしょうかね、あの人のなかで」
「まさか、そんなわけないだろう? カカシさんの軽口はいつものことだ」
年上の暗部が、呆れたように返す。
「お願いしたら、『仕方ないなぁ』って相手してくれた、って噂、ホントですかね」
「そういうこと、あんまり言いふらさないほうが」
憮然とした声は、ポッチャリ系だった。
「言いふらしてないだろ?」
鼻白む相手に向かって、
「『って、噂、ホントですか?』って聞いてる時点で、広めてるのと同じじゃないか?」
ポッチャリ系が負けずに言い返す。
「だって、みんな知ってるぞ」
「オレは知らなかったよ」
ボクは、少しだけこのポッチャリ系を気に入った。だから彼を援護するつもりで口を開いた。
「ボクも知りませんでした」
「あ? おまえ……カカシさんの隊の?」
さすがに、隊の者の前で無責任な噂話に花を咲かせていたのに気づいたのか、バツの悪そうな様子になった。
「ま…あ、新人なら知らないかもしれないけど。そういう噂一杯あるんだから」
「いえ、噂の大半は聞き及んでいます。どれもこれも噂で、確たる証拠はありません」
当たり前のことを言ったつもりなのに、彼はいきり立つ。
「でも、噂があるのは本当だろ? それにカカシさんは気にしないし、噂」
何かが、ボクを刺激した。思わず、ダンと地を叩き、そんな自分にボクは驚いた。
となりでポッチャリ系もオロオロしている。

「ああ、全部、噂。噂に過ぎないな」
のんびりした声で、年上の暗部が言った。
「そして、本人は、まったく気にしていないのも事実だろう」
「ほらみろ」
「だからと言って、身内に近い暗部が面白がって噂をするのはどうかと思うがな」
軽口を叩いていた彼は、肩をすくめただけだ。
「あのひとは」
と年上の暗部は言いかけて、しばらく口をつぐんだ。何かを思い出しているようだった。
「外野は無責任に好き勝手なことを言う、と、身をもって知っている。だから、噂など気にしない。そして、周囲が自分をどう見ているかも気にしない。そんなものに振り回されない自分でいたいと思っているんだろうな」
「わかるひとは、わかってくれる、そういうことですか?」
ポッチャリ系の言葉に、年上の暗部はまた口をつぐんだ。こんどは何か、考えているようだ。
「むしろ、だれにも理解されなかったとしても、自分がわかっていればいい……いや」
そこでまた口をつぐむ。
「そういう、突き放した感じではなく……そうだな。自分が自分に恥じなければいい、そして、それをわかってくれるひとがいたら、嬉しい……そんな感じかな」

その言葉は、なぜかボクの心に突き刺さった。
ズキン、と。
理由は、わからない。でも、この言葉を覚えていよう、とボクは思った。

「暗部のなかにも、カカシさんを胡散臭く思ってるヤツもいる。それは事実だ。これだけ多様な人間が集まっているのだから、当たり前だろう」
そうですね、とポッチャリ系が言った。
「考え方の違う人間もいて、当たり前ですね」
そう言って、チラと軽口を叩いた暗部を見る。見られた本人は気づいていなかったが、
「オレは別に……嫌いで言ってるわけじゃないです」
と、拗ねたように言う。案外、若いのかもしれない。
わかっているさ、というように、年上の暗部がその肩を叩いた。
「あのひとをいろいろ言うヤツも、信頼できないとは言わない。冷血漢だの、鬼だのとも噂されるがな。少なくとも、暗部に本気でそういうことを言うヤツはいない。まぁ、暗部の外では……仕方ないさ」
暗部自体が畏怖の対象なのだ。
そのなかでさらに突出していれば、それはさらなる畏怖の対象になる、ということだ。
「医療班が来たようだ」
これで話は終わり、というように、年上の暗部は立ち上がった。

ボクが戻ると、ふてくされているらしいカカシ先輩を前に鳥面と虎面が腕組みをしていた。
「ですから、おとなしく……」
「なんでオレまで運ばれなくちゃならないのよ?」
はぁ、とふたりがため息をつく、ということは、このやりとりを散々繰り返していたのだろう。
「ケガ……は、してませんよね?」
ボクの言葉に鳥面が振り返った。
「でも、チャクラが切れかけている」
え? とボクは先輩を見た。顔は面に隠れているが、のぞく首筋や指先はいつもにも増して白いような気もする。
「切れてない。だって動いてるよ、オレ」
「普通は、完全にチャクラが切れる前に身体が動かなくなるってのに、無駄にコントロールいいから、ギリギリまで動けてバッタリ行くのが隊長です」
ええ? と言うボクに、今度は虎面が振り返った。重々しく頷く様子に、決して冗談でないことを悟る。
「里までは帰れる」
「不測の事態があったら、どうするんですか」
仁王立ちでビシと言い放つ鳥面に、先輩が肩をすくめた。
「さっき、丸薬飲んだ。だいぶ回復したから」
はぁ、と鳥面はため息をつく。
「隊長が、離脱するわけにはいかないでしょ。不測の事態があったら、尚さら、でしょ?」
それから、先輩は急に身を縮めた。
「ちゃんと計算してるよ。チャクラ切れで倒れるなんて、みっともないから」
小さな声で、まるで言い訳でもするように付け加える。

さっきの年上の暗部の話を思い出す。
“自分が自分に恥じなければいい。そして、それをわかってくれるひとがいたら、嬉しい”

トクン、と心臓が騒いだ。

「わかりました」
気づいたら、ボクは言葉にしていた。
「何かあったら、ボクが援護につきます。隊長の状態によっては有無を言わさず拘束して里に送ることも、ボクなら可能です。そのときは、諦めて運ばれてください。でも、ギリギリまでは、援護します」
鳥面と虎面と狗面が、そろってボクを見た。驚いているのだろう。
しかし、いちばん驚いていたのは――ボクだった。
まるでボクではないボクが、言葉を紡いでいるようだ。でも、ボクの意志を無視して、ではない。
むしろ、いつも言葉になる前に胸の奥底に沈んでいってしまう想いが、思わず言葉となって溢れてきたようだった。

ふっと鳥面が、気配を緩めた。
「じゃ、任せた」
虎面も、ボクの肩をポンと叩いて立ち去る。
後に残された先輩は、面を上げてボクを見た。
色違いの目が、ひたとボクを捕らえる。

ほんの少しだけ、わかった。
感情が欠けているのではなく、ボクはずっとずっと押さえ込んでいただけなのだ。

トクン。

でも、このひとと会って、ボクは思い出した。

トクン、トクン……。

この心臓のざわめきは、ボクの感情の振幅と繋がっている。

「わかった。オレも、おまえに任せる」
そう言って、先輩が笑ったとき。

この時――ボクは確かに、喜び、という感情を取り戻した。