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 お婿にいった四+カカのお話
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2007年03月24日(土)
恋女 〜後顧


テンゾウにつきまとっていた人妻の影は、半月もしないうちに木の葉の里から消え去った。
夫が、子どもと妻を先に火の国に帰したらしい。本人はまだ事業の後始末があるので、残っているようだが、忍装束市場への参入については当面、引くことにしたようだ。
もっとも、このまま諦めるかどうかはわからない。
新しい素材を開発して、また乗り込んでくるかもしれない。
だが、いずれにせよ、先の話だ。

カカシがその家の前を通りかかると、犬小屋は庭からなくなっていた。
犬も火の国に連れ帰った、と近所の主婦が問わず語りに言うのを耳にして、カカシはひそかにほっとした。
その後、立ち飲み屋の女主人から聞いた、もう少し詳細な話では、犬は捨て置くといった母に子どもが猛然と食ってかかり、あわや家出をしかける騒動になったそうだ。
子どもに反抗された母親は、「男の子なんて産むものじゃない」と、あちこちで愚痴を零していたとか。

自分が余計な口出しをしたばっかりに、とカカシは少し憂うつだった。

あのとき――。
子どもがほんとうにあの仔犬を側におきたいと、真剣に願っているのが伝わってきて、嬉しかっただけなのだ。
こんなふうに強く思ってくれる子どもに拾われた犬は幸せになるし、そういう犬は飼い主にも必ず幸せをもたらしてくれる、そう信じたから、口を出した。
それが、思わぬ波紋となって広がり、挙句、テンゾウまで巻き込んでしまった。
一般人相手に予想もしなかった事態とはいえ、これでは忍失格だ。
カカシは内心、自分を責めていた。

試供品を試着しての任務報告も、もちろん私情を挟まず書いたつもりだ。
だが、やはり備考の一言は、余計だった、と思う。
あそこには、嫉妬のカケラが多少なりとも混ざっていた。

――オレも、まだ未熟だね。

だれも傷つけたくない、死なせたくない、泣かせたくない、そう思って、出来る限りのことをやってきたつもりだったが、まだ足りない。
自分の贔屓だとわかった途端、行きつけの遊郭は狙われ、太夫は危ない目に合う。
店主も太夫も、忍を客に取っている以上、それは承知と意地も張りも見せてくれるが、カカシとしては、やるせなかった。
強くなり名が知られるのは、里のためには喜ばしい。
けれど、諸刃の剣となってだれかを傷つける、それがもどかしい。

テンゾウなら。
背を預けても大丈夫、と思ったほどの男だ。生半可な相手に負けるはずがない。
だから、不安はなかった。どんなに情を注いでも、大丈夫、そう思えた。

けれど、任務でどうしても過去に縁のあった忍と、肌を合わせなければならなくなった。
回避できればとも思ったが、時間がなかった。
テンゾウを傷つけた。
彼は、任務に関わることだから、と、のみ込んでくれた。
ほんとうは、治まらない気持ちもたくさんあっただろうに。
つらい想いをさせた、と、カカシもつらかった。
それなのに、また巻き込んでしまった。
しかも、今度は相手が一般人で、事態はカカシにもよくわからない、そんな状況だった。
テンゾウが具体的に何か被害を被ったわけではないが、腹立たしくてならなかった。

それでも、やはり、テンゾウはカカシを責めない。
一言も、責めずに、ただ、抱きしめてくれる。

自分が、テンゾウに深く深く囚われて行くのがわかる。
こんなふうに、だれかを思うのは……。

そう思い至って、カカシは身震いする。
これは封印したはずの感情だ、と。

情事には長けていても、ひとりの相手と長く深く関係を紡いだことが、カカシにはない。
ただ、ときどき、思うことがある、もし、四代目が生きていたら、と。
きっと自分は命も情念も何もかもを、彼に捧げていただろう、と。
彼には妻がいたから、おそらくずっと片想いだっただろう。
それでもきっと、自分は迷いとも後悔とも無縁のまま、幸せだっただろう。
それは、恋というよりは信仰に近いのかもしれない。それならそれでもいい。なんと名づけられようと、その想いに生涯を捧げて悔いなし、だったはずだ。
かのひとは、カカシの気持ちを知っていたのか知らなかったのか。
「カカシはなんでもキッチリと突き詰めすぎるから、心配だよ」
と、時々、言っていた。とても優しい、包み込むような目をして。

四代目を失って、カカシのなかで何かが壊れた。
自分よりも師は年上だから、先に逝くだろうとは思っていたが、それがこんなにも早いとは予想もしていなかった。
もちろん、里の復興のため全力で任務をこなした。泣き言など言っている暇などなかった。
けれど、壊れた何かは、同時にカカシの箍を外した。
そして、浮名ばかりが増えた。

テンゾウに対する感情は、かつての師へのそれとは違う。
けれど同じぐらい強く、自分を捕えている。
いつの間にか、逃れられないほどに強く。

怖いとは思わない。
が、無二の存在として位置づけることは、まだ、ためらわれた。

このまま、情事の相手として、ただそれだけの相手として、終わったほうがいいのではないか。
そんな想念が掠めていく。
今さら、そんなことを考えるなら、もっと前に引き返していればよかったのだ。
そうも思う。

覚悟もなにもないまま、ただ、想いばかりが募る。

――せんせぇ……。

子どものころのように、呼んでみる。

――こんなオレに、あなたはなんて言いますか?

あれからずいぶん、年月もたつのに、自分は何も変わらない。
成長したと思っていたのに、ぜんぜん、変わっていない。
こんな自分は、もういっそ……。

――そっち、行ってもいいですか?



<了>