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 お婿にいった四+カカのお話
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  ぱすてぃす
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  ぱすてぃす〜後朝 -18禁-

  猩々   おまけ -18禁-
  モジモジしている二人の一歩
  マラスキーノ 後日談
 ホワイトデー話

  らすてぃ・ねーる-12話
 ※4 に、テンカカ以外の絡みあり
  任務に出た二人
  カカシの過去を垣間見る

  恋女   後顧   おまけ
  ストーカー被害に合うテンゾウと
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  九夜十日
  イタチ里抜けのとき

  百年の恵み
  長期任務の小隊長を命じられるテン
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  初めての遠距離恋愛なテンカカ
  たーにんぐ・ぽいんと-8話
    テンゾウの帰還

   香る珈琲、そして恋 -キリリク話-
 四代目とカカシの絆を知って、
 テンゾウは……

 【1部】 だーてぃ・まざー-4話
 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
 【3部】 ぶれいぶ・ぶる7話
 【Epilogue】 そして、恋

  あふろでぃーて-5話 -キリリク話-
 くるみ


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  -暗部なテンカカとヤマカカの間話-

  春霞-4話
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  ちぇい・べっく
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4話
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  久しぶりのカカシとの任務
  聖牛の酒-3話
  波の国任務の少しあと
  てぃままん-3話
  波の国と中忍試験の間

  月読-5話 -キリリク話-
 月読の術に倒れたカカシを心配しつつ、
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  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
  惚れ直すテンゾウ
 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
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-ヤマカカな話-

  再会-Reunion-  第二部





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2007年03月13日(火)
マラスキーノ 後日談


「相手って、何? 奥方のほうだったの?」
立ち飲み屋に、テンゾウと一緒に来たのは、2日後のことだった。
「はあ。ええ。まぁ……なぜか」
うわあ、これって、これって、と、眼帯をしていないほうの右目を見開いたカカシに、テンゾウは困ったように眉を下げる。

王族――外交官でもある王の弟君が妻女を伴って交渉に赴き、意外とスムーズに和平交渉は成立した。互いに、内紛には疲弊し切っていて、どこで手打ちにするかタイミングをはかっていたのだろう。
ただ、こうした裏には揉め事が大好物な黒幕や強硬手段に出たいタカ派がいて、彼らが交渉を妨げるために暗殺という手段を取ることは、ままある。だから警護が必要だったのだ。

「結果的には楽な仕事だったんで、半日の奥方のお守りが一番キツかったです」
「何したの?」
「え? 普通に買い物です」
内紛の渦中にあったのは国境で、交渉の場である首都は安全だと聞いていた。そして、かの国の首都は、ファッションとグルメの街だとカカシは思い出す。
「買い物ばかり、です」
そう言って、テンゾウは甘いチェリーのリキュールの入った小さなグラスを干す。
「女将さん、ボク焼酎、ロックで」
「だから、女将さんって柄じゃないですって」
笑いながら女主人は、グラスに氷を入れ、焼酎を注いだ。

「どうして女性って、ああも買い物となると精力的になるんでしょうか」
そのときのことを思い出したのか、テンゾウはため息をつく。
「服に靴にバッグに帽子、宝石、チョコレート……」
「奥方、ご機嫌だったでしょ?」
「はい。お人柄はいい方なんです。えらぶったところがなくて、ボクにも『何か欲しいものがありますか?』なんて聞いてくださって。挙句、食事までご一緒してしまいました」
あちゃー、これは絶対、気に入られたんだ、とカカシは後輩の横顔を見る。
真面目一徹の後輩が、まったく奥方の好意に気づいていないのが、幸いなのかどうか、微妙なところだ。

落ち着いているせいで年齢より上に見られがちだが、テンゾウはハンサムだ(とカカシは思っている)。
キリッとした眉と口元が男らしい(とカカシは思っている)。
鼻筋も通っていてかっこいい(とカカシは思っている)。
目は大きく黒目も大きくて、可愛い(とカカ……以下略)。
それが、男らしい眉と口元といいバランスをとっている。まるで、テンゾウの性格そのもののような容貌。
奥方は、確か若く、まだ二十代の半ばだったはずだ。若く見目のいい男を引き連れてのデートは、さぞ、気分良かったことだろう。
「それで、そのレストランで奥方がコレを召し上がったんです。ボクも一杯いただいたら、意外といけたんで」
「で、おねだりした、と」
テンゾウはあわてたようにカカシを見た。
「ねだってなどいません。そんな失礼なことしません。ただ」
「ただ、何?」
自分の声が尖っているのがわかる。
「オレも焼酎。お湯割りね」
ぷいと顔を背けて女主人に言うと、彼女はクスッと笑って、グラスを取り出した。
「ただ……」
「だから、何よ?」
「はい、お湯割り」
トンとグラスを目の前に置きながら、女主人がメッと目元でカカシを叱った。
後輩をいじめちゃいけません――わかっている、わかっているけれど、面白くない、とカカシは思う。

しばらく沈黙があった。
「先輩にも飲ませたいな、って」
呟くような小さな声だった。
「先輩、甘いの嫌いだけど、酒だといけるかな、って」
そこでテンゾウは顔を上げて、カカシを見た。
「に……仕事のときは、なるべく先輩のこと考えないようにしてるんです」
――あ、こいつ今、任務って言いかけた。
どうでもいい突込みを入れる自分が相当情けないという自覚はカカシにもあったので、心のなかだけにとどめておく。
「でも、一度思い出したら……と言って、まさかどこで買えるのか聞くわけにもいかなくて……そうしたら、奥方が店の人に頼んでくださったんです。『半日、息抜きさせてくださったお礼です』って、渡されたときはびっくりしました」
その奥方が、芯から上流階級の女性でよかった、とカカシは思った。そういうひとは、かえって無体なことはしないものだ。そうでなければ、きっとテンゾウはホテルにでも連れ込まれ、ガッツリ喰われていただろう。
もっとも、テンゾウのほうで反応しない、という場合はあっただろうが。それはそれで、やっかいな事態になった可能性もある。

「お返しには、少し早いけれど」
「お返し?」
「あれ、違ったんですか?」
「何が?」
「えっと」
と言ったきり、テンゾウは口をつぐんだ。
カカシは首を傾げたが、「そういえば」というテンゾウの言葉に、気を逸らされた。

カカシが、テンゾウの言いたかったことに気づいたのは、翌日。
なんだか、みなが浮ついていると思い、詰め所で新米の暗部を捕まえた。
返ってきた言葉は、
「今日はホワイトデーじゃないですか」
言われてみれば、そんな行事があったっけ? カカシの認識は、その程度だった。
「先輩、バレンタインデーにチョコ、もらわなかったんですか?」
「だって、オレ、甘いの嫌いよ。受け取るわけないでしょ」
「え?」
新米暗部は固まった。
「ま、まさか、先輩。毎年、それだけの理由で断ってるんですか?」
「ん〜、義理で渡されても面倒じゃない、そういうの。甘いの嫌いなのは本当だから、『そういう気は使わなくていいからね』って断ってるよ」
え? 義理じゃない……と思いますよ、とは、さすがに言えない新米暗部。
「それに、バレンタインデー自体、復活したの最近だから。オレ、けっこうその日、里を離れていることも多かったしね」
九尾の事件のあとしばらく、復興に忙しい里では、そんな行事に大々的に製菓業界が乗り出すほどの経済力はなく、割とひっそりしていたのだ。
「そう……でしたね」
浮かれる自分を恥じるようにうつむく新米に、カカシは苦笑した。
恋する男の気持ちは、どんな時代でも同じだ、と、やはり恋する男であるカカシは思う。
自分は別に、新米いじめをしたいわけではないのだから。
「で、何? バレンタインデーに告白してもらえたの?」
問いかけに、途端、新米は真っ赤になった。
「はい!! だから、オレ」
「頑張って、お返ししてあげなよ」
意外そうに目を丸くした新米に、カカシは微笑んだ。さらに真っ赤になった彼は力んで答える。
「はい!! 今日は木の葉レストランを予約しました!!!」
「無事に任務終わってよかったね」
そっか〜、すっかり忘れてたな、と思いながら歩き去るカカシの後姿を、新米暗部は見送った。
カカシ先輩って、意外と気さく? いや、優しい? 噂とはずいぶん違うんだな、と思いながら。

――あ、あれ? なんか、今……。
カカシは立ち止まった。
何かがひっかかった。

う〜ん。と腕組みして、考える。

「あ、そうか。あれ、2月14日だった」
そう、テンゾウにパスティスを飲ませた日。
「え? じゃ、もしかして?」

――甘いの嫌いだけど、酒ならいけるかな、って。
テンゾウはそう言っていた。
あの時、意味がわからなかったが、もしかしたら。

ホワイトデーはバレンタインデーより少し遅れて、と言うより、九尾の一件から里が復興した最近になって、ようやく定着し始めた行事だった。
もともとはチョコのお返しにキャンディーとかマシュマロをあげるはずで、その裏には、チョコレート業界だけにおいしい思いはさせないぞ、という製菓業界の熾烈な争いがあるのだ。
「なるほど、レストランを予約ねぇ。そういう返し方もあるんだ……」

今年の2月14日は、テンゾウと一緒に任務についていた。
子どもが絡む任務だったので、かなり気を使った。戻った途端、テンゾウに手を引っ張られ飲みに行き、そのまま酔っ払ったテンゾウにお持ち帰りされたので、チョコレートとは縁なく過ぎて幸いだった。
義理とはいえ、相手の好意を断るのは気が引けるんだよオレも、とカカシは思う。
でも、一度でも一緒に任務をした相手は覚えている自分が、顔も思いだせないような相手からチョコレートを受け取る気にはなれない。
顔を覚えているような相手は、カカシが甘いものを嫌いで受け取らないことは、最初から知っている。
後輩にはああ、答えたけれど、正直、毒殺はいやだ。だから、受け取らない。

でも、テンゾウも受け取った気配はなかった。
自分が引っ付いていたから、今年は彼もチョコレートとは無縁だったのかもしれない。
暗部の死神、と言われる自分が引っ付いていたら、どんな猛者でも、テンゾウに近寄りたくはないだろう。
申し訳ないと思う反面、余計なムシが着かなくてよかったとも思う。

でも、あの日、テンゾウは何も言わなかった。
いや、あのころテンゾウはカカシとの関係を、カカシの気まぐれか遊びの範疇でくくっていた。
だから、何か言うはずもないのだ。

でも……とカカシは考える。

後になって、カカシの本心をテンゾウは知ってくれたはずだ。
ソツのない後輩の頭のなかで、どんな思考が繰り広げられたのか、自分にはわからないが。
あれこれの挙句、カカシがパスティスを飲ませた意味を深読みした可能性はある。
で、お返しのつもりで、マラスキーノを手に入れた。

「ええー!! まずいでしょ、オレ」

なんとかフォローしなくっちゃ。
焦るカカシは思わず屋根伝いに移動しようとして、思いとどまった。

その後、里の中を一陣の銀色に光る風が吹き抜けて行ったという噂が立った。
それは、ホワイトデーの奇跡と呼ばれ、翌年には、その風を見た者は幸せになる、という噂に成長することになる。



<了>