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 お婿にいった四+カカのお話
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 四代目とカカシの絆を知って、
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4話
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  月読-5話 -キリリク話-
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  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
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 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
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-ヤマカカな話-

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2007年03月03日(土)
猩々−前−

暗部時代のテンゾウとカカシ〜サスケがアカデミーに入学するころ

「このところ、忙しいですね」
日本酒で唇を湿らせながら、テンゾウが言う。
「そうだねー。なんか、小競り合いが多い」
カカシは、この10日余り、単独任務をこなしていた。
テンゾウの顔も詰め所で一、二度見かけただけで、ほとんどすれ違っている。
おかげで、一緒に飲むのも久しぶりだ。
「あ〜、オレきっと働きすぎて、早死にするなぁ。何しろ、ビジンハクメイって言うでしょ?」
テンゾウは猪口を口に運びながら、真面目な顔で「そうですね」と答える。
「あれ? そこ笑うとこよ」
「え? そうなんですか?」
目を丸くする後輩に、カカシは「冗談の通じないヤツ」と口を尖らせる。
「ビジンハクメイのビジンって、美人だったと思うんだけど。どこが冗談なんだろう」と、カカシの横顔を眺めながら呟く後輩の独り言には気づかない。
「合間には、里内警備の当番も回ってくるしね〜」
里の警務部隊を率いているのはうちは一族だが、火影直属の暗部は主に、火影屋敷や里境の警備を担当し、その一貫として、うちは一族とは別に里内の巡回警備を行っていた。
警務部隊の動きも含め、里内に不穏な要素がないかを、巡回しながら観察するのが役目だ。
「任務がたてこむと、当番制もきついですよね」
「里内っていえば」
ふっと、カカシは最近ずっと気になっていたことを口にした。
「……近々、なーんかありそうな予感がするんだよね」
何、と特定できるわけではないのだが、妙に鼻がムズムズするような空気を感じる。
「え? 里内?」
「う〜ん、なんだろ。自分でもよくわかんないんだけど」
しばしの沈黙が二人の間に流れた。

「そういえば、今年はうちは本家の次男が、アカデミーに上がるそうですね」
テンゾウの言葉に、そういえばそうだった、とカカシは思い出す。
うちはイタチの弟—サスケ。
「あれ? じゃ、うずまきナルトと同じ歳?」
九尾を封印され、狐憑きと忌み嫌われている子どもは、教師のせいなのか、本人の資質のせいなのか、常に落ちこぼれている、と報告されている。
「あの子……ナルトは、忍になるんでしょうか?」
テンゾウが、彼には珍しく憂いを含んだ顔で問いかけてきた。
複雑な出自と言う意味では、テンゾウもナルトと似たところがある。何か思うところがあるのだろう。
「なったほうがいい、とオレは思ってるよ」
珍しくキッパリ言い切るカカシに、テンゾウはまた目を丸くした。
その目が可愛い、とチラっと思ってから、カカシは続ける。
「忍にならなければ、里の住人からは攻撃されないかもしれない。でも、いずれは己のなかに封印されている九尾とは、対決しなくちゃならない事態が起きるかもしれないからね。それには、忍としてのスキルがあったほうがいい、とオレは思ってる」

カカシの師で、ナルトに九尾を封印した四代目火影は、木の葉の里の未来を信じていた。
ちょっと……いや、かなり……脳天気というか、変なところのあったひとだった。
それでも師は、一番大切なこと――ひとはだれも、生まれてきただけで価値があり、生きていく意味を持っているということを、叩き込んでくれた。
忍は任務においては道具だが、同時に、“今”という時代を生きる個人で、そういう個人の集まりが社会を築き、次代にこの世をつないでいく。ある意味、とても単純で、とても大切な理を教えられた。
その時はわからなかったが、今ならわかる。
師は、里を愛し、ナルトを愛し、弟子であった自分たちを愛していてくれたのだ。そのために、命を賭けた。そのために、ナルトを器とした。

四代目火影の志を、最も理解し受け継いでいなければならないはずの忍のなかにも、師の想いをわかっていない輩は多い。ナルトがときに迫害されるのは、だからだ。

けれど、カカシはそのことを憂いてはいなかった。
師は、カカシに言ったことがある。
「あのね、カカシ。ひとには器というものがあるんだよ」
と。
「たとえば、1合の枡が受け入れることができるのは1合の酒。でも、5合のトックリは5合の酒を受け入れることができる」
あれは、残暑が和らぎ始めた時期で、師はカカシを相手に晩酌していた。
確か、産み月の近くなった師の妻が暑さ負けして、大事をとって入院していたときだ。
「だからね、カカシ。1合の器は5合の酒を受け入れられない。溢れてしまう。それは仕方ないことなんだ」
少し酔ったふうの師は、カカシをいとおしそうに見た。
「おまえも大きな器を持つ者だけど。小さな器を持つ者を見下してはいけないよ。それは持って生まれたものだから、どっちが上でも下でもないんだ」
あの、少し後、師は逝った。
だから、この言葉は今もカカシのなかに鮮明に残っている。
そして、いろんな場面で、いろんな意味を示唆してくれる言葉となった。

「あのね、テンゾウ。四代目が九尾を封印するために選んだのがナルトだったってことに、ちゃんと意味があると、オレは思ってるんだ」
「意味……ですか」
「そう。九尾を受け入れられるだけの器をナルトは持っている」。
「器……」
「うん、器」

テンゾウは沈黙した。自分の考えに没頭しているようだったので、カカシは手酌で静かに酒を飲む。

久しぶりに顔を合わすのに、自分たちはなんでこんな色気のない話をしているのだろう。
ほんとうだったら、どちらかの部屋でイチャイチャしていてもいいはずなのに。
いや、つまらないわけではない。決して、こうしていることに不満があるわけではない。
ただ、戸惑っている。
ちょうど任務を終えて解散したテンゾウと行き会って、「ナイスタイミング!」と思ったのに。
なぜか、出てきた言葉は「『酒酒屋』でも行く?」だった。
どういう理由で、よりによって「酒酒屋」だったのか、自分にもわからない。

――今まで、どうやって誘ってたんだっけ?
思い出そうとするが、思い出せない。それもそのはず、こういうことは以心伝心、魚心あれば水心、なんとなくそういう雰囲気になってうまくいく。花街では、いつもそうだ――それが今までのカカシだった。
だから、求め、焦がれた経験がない。

すれちがっていた間、会いたいとは思った。
緊張を強いられる単独任務をこなし、疲れ切って里に戻り、体力を回復させるためだけに休養をとり、そしてまた任務に出かけていく毎日だったから、あまり考えずにすんでいただけだ。
こうやって本人を前にすると、なんだかもどかしくてならない。
ただの先輩後輩のように酒を酌み交わしているのが、嘘臭い。

「だったら、先輩は……」
テーブルを見つめたまま、テンゾウが口を開いた。
「ボクが大蛇丸の実験体で、それで生き残ったのは、それがボクの器だったからだと考えますか? そのことに、何か意味があると思いますか?」
質問を言い切ってから、テンゾウは顔をあげた。
絶望の渕を覗いたことのある者だけがもつ貌だった。穏やかななかに宿された、底の知れない暗い双眸。
――こいつの、こんな顔、初めて見た。

カカシはその暗い双眸をまっすぐに見詰める。こういうとき、決して目を逸らせてはならない。
一度でも目を背けたら、きっと二度と、捕まえられない――相手が、敵でも味方でも。

「テンゾウは生き残るだけの器をもっていたから、生き残った。そのことに意味はある。たとえ、オレにもテンゾウ自身にも、わからなくても、意味はあるよ」
テンゾウは黙っていた。
見慣れた顔。男らしく鼻筋も通っていて、しっかりした骨格の顔。
彼の大きな目も、大きめの口も大好きだと思う。その口が動いて、先輩、と自分を呼ぶ声も、とても好きだ。
――こんな暗い眼して。
これが、どちらかの部屋だったら、抱きしめることができるのに。
抱きしめて、今のテンゾウだからオレはおまえが好きなんだよ、と言えるのに。

「大蛇丸の実験体としてテンゾウが拉致されなかったら、今のテンゾウはないでしょ?」
「ああ、まあ、それは、そうですね」
「そうしたら、オレとテンゾウの接点なんてなかったかもしれない。テンゾウには酷かもしれないけど、オレ、テンゾウの木遁好きだし」
後輩が、「好き嫌いの問題ですか」と呆れたように呟いたのは聞こえたが無視した。
「テンゾウ、いなかったら、アイコンタクトなしでフォローしてもらえる後輩もいなくて、オレ、もっと大変だったし」
自分で言いながら、これでは単に使い勝手のいい後輩だと言っているだけではないかと、カカシはため息をついた。

使い勝手のいい後輩は、しかし気にするふうもなく、空になったカカシの猪口に日本酒を注ぐ。
暗い眼差しは消えていた。
「もう少し飲みますか?」
カカシがカウンターに片肘をつき掌で頬を支えているせいで、下から見上げる格好になる。斜め下から見るテンゾウの表情は、とても優しい。
「う〜ん。飲みたいような気もするし」
オレの部屋、行こう、と言えばいいだけなのに、その一言が出てこない。
テンゾウは、そんなカカシを見つめている。
カカシの表情を読もうとしているようにも思えるし、ただ返事を待っているだけのようにも見える。

「先輩」
テンゾウは、優しい顔のままカカシを呼ぶ。そして、ほんの少し笑った。
「もしよければ、これからボクの部屋で飲みませんか?」
え? とカカシは上体を起こした。
自分の考えを読まれたのだろうか、と様子を窺うと、テンゾウの顔から笑みが消えた。
「あ、いえ。ここで飲んでもいいですが」
さりげなく視線が逸らされる。カカシはあわてた。
「行こう、テンゾウの部屋」
え? と今度はテンゾウが聞きかえしてきた。
「だから、行こうよ」