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 お婿にいった四+カカのお話
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  イタチ里抜けのとき

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 四代目とカカシの絆を知って、
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 【2部】 ぶらっく・るしあん-4話
 【3部】 ぶれいぶ・ぶる7話
 【Epilogue】 そして、恋

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  春霞-4話
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4話
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  波の国と中忍試験の間

  月読-5話 -キリリク話-
 月読の術に倒れたカカシを心配しつつ、
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  月読 後日談


  テキーラサンライズ−19話
 ぎむれっと前日譚


   ぎむれっと-40話 -キリリク話
  かっこいいカカシと、
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 ※途中、18禁あり
  プロローグ  本編  エピローグ



  La recommandation
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-ヤマカカな話-

  再会-Reunion-  第二部





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2007年02月22日(木)
ぱすてぃす  <後編>


なのに、なのに、なのに。
なんで、こいつは白昼堂々、手を繋いでいるんだーーーー。

棟を出るところで、カカシは立ち止まった。
「ちょっと、待て。このまま街中を闊歩するつもり?」
カカシの視線を追って、テンゾウの視線が繋がれた手に向かった後、あきらかに「何か問題でも?」という顔で、カカシに戻った。
「だめ。絶対だめ」
強く主張すると、あっさりと手を離され、それはそれでちょっと寂しいと思ってしまった自分をなんとかしたい、カカシだ。

「先輩、いつもの食堂でいいですか? あそこなら、気兼ねなく昼から酒、飲めますし」
快活な声が聞こえる。
「どうかしましたか? 今回は、子ども、ひとりも死んでません。ってか、ボク、絶対殺さないぞって誓いましたし。ほとんど怪我もしてません。気の強い子が、ちょっと擦り傷、こしらえたぐらいで」

――あー、はいはい。
いいよね、木遁。自然にもひとにも、やさしくて。
オレの忍術なんて、ほとんどコピーだし? オリジナル技なんて、暗殺術だよ、暗殺。

やさぐれるカカシを気にすることなく――普段、割と気を使う後輩の、こういうところでの大らかさも、カカシは気に入っていた――テンゾウは、ズンズンと歩いていく。

そして、二人はいつもの食堂の片隅で、定食に酒という、よくわからないメニューに取り組んでいた。
ゴクゴクとビールを水のように飲みながら、大丼の麦飯(テンゾウはこれが好きなのだそうだ)にトロロをかけてかっ込んでいる。おかずは、蒸し鶏のゴマだれと青菜炒め、それに豚汁。
それは、自分も一般人よりはよほど食べるが、テンゾウには負ける。
テンゾウは脂っこいものは苦手なようだが、そうでなければ一般人の倍近く食べる。肉も脂身は苦手みたいだが、脂肪分の少ない部位は、むしろ好んで食べる。
――だいたい、オレは肉より、魚だし……。
時節柄、秋刀魚よりもおいしいと食堂の親父が進めてくれた銀鮭を突付きながら、カカシは思う。
スタミナの差って、こういうところで出るのだろうか。
――それに、メシ食いながら、酒、飲めないし。酒は酒、メシはメシなんだよ、おい、わかってる?
「ごちそうさま」
キレイに料理を平らげたテンゾウは、満足そうに呟く。カカシも、空腹だったのは確かなので、あわてて残りをかっ込んだ。

「先輩、何飲みます?」
え? これから、飲むの? と言いかけた口を閉じて、カカシは壁に貼られている品書きを見た。
ホワイトボードには、本日のお勧めがしたたまれている。
「あれ?」
その横に、「本日の特別入荷」とあり……。
カカシはにんまりと笑った。
「ね、テンゾウ。おいしーい、お酒おごってやる」
「え?」と驚くテンゾウを横目に、カカシは上機嫌で声を張り上げた。
「パスティスちょうだい。ボトルでね」

やがて卓に運ばれてきた酒瓶の、見慣れぬ異国の文字が印刷されたラベルを、テンゾウはしげしげと見つめる。
「これ、南のほうの酒。香草を漬け込んでいて、独特の風味があるけど、慣れるとうまいよ」
「へえ。任務で南に行ったときに、飲んだんですか?」
「うん、そう。好き好きはあると思うけど」
そこで、カカシは言葉を切って、テンゾウを見、ニッコリと微笑んだ。
「オレは好き」

好奇心を刺激されたらしいテンゾウは、ボトルの口を開け、甘い芳香のトロリとした液体をグラスに注ぐ。
くん、と匂いを嗅いでから、一口含む。
「……ちょっとクセありますけど、案外うまいですね」
そう言って、ゴクリと飲む。
「肉に合いそうだな」
「え? まだ食うの?」
「いえ、さすがに腹一杯ですが。でもこれ羊肉とか、臭みのある肉に合いそうですね」
――って、オレ魚派だから。それより、羊肉なんて食ったことあるの? テンゾウ、意外と野生派?

すいすい、と後輩はグラスを口に運ぶ。
香草の香りにさえ抵抗がなければ、口当たりのいいこの酒、度数はかなり高いのだ。
でも、酔った様子もなくボトルを空けること3本。
強い酒を飲ませて、酔わせて、からかってやろうと目論んでいたいたカカシも、さすがにストップを入れた。

「うーん、確かに少し酔いました」
店の外に出ると、テンゾウはカカシを振り返る。
「それより、先輩!」
ずい、と寄って来られて、思わずカカシは後ずさった。
「ボク、先輩に話があったんでした」
言うや否や、カカシはテンゾウに引っ張られ、お持ち帰りされてしまったのだった。

「なんで、ずっとボクを避けていたんですか?」
「いや、避けていたつもりは」
部屋に帰るなり、説教モードに突入したテンゾウの前で正座をしているカカシは、首をすくめる。
なんだか、よくわからないが、たぶん、今まで酔いというものを経験したことのないテンゾウは、おそらく人生初めて酔っ払いになって、ハイになっているのだろう、とカカシは思った。
酔っ払いに逆らうすべはない。

「そんな、上目遣いで、可愛い顔してみせても、ダメです」
いや、だから、可愛い顔なんてしてないから。
と言いたいのを、堪えた。酔っ払い相手に反論しても、空しいだけだ。
「一度、抱かれたら、それで終わりなんですか? あなたは」
いや、そうじゃなくて……って、終わりじゃないって思っていいんだよね。
微妙に腰の引けている自分が、いっそ笑える。
「だいたい、だれかれ構わず色気振りまくし」
は? 色気? んなもん、オレにあるわけないでしょ。
と思うが、やはり口に出すのはためらわれた。
「ボク、先輩の恋人って思っていいんですよね? 違いますか」
いや、オレこそ、それでいいの? って聞きたい。
「だいたい、この10日間、ボクがどれだけ……いえ、過ぎたことはいいです」
突然、消え入りそうになった声のわけを、聞きたい。すごく、聞きたい、切実に、聞きたい。

正座したまま顔色を窺うカカシに、ふっとテンゾウが笑った。
「細かいことはいい、にします。ボク、ずっと先輩に会いたかったです」
そう言うと、いきなり両手を伸ばし、カカシを抱き込んだ。
「ずっと、こうしたかった、です」
耳元をくすぐる声に、背筋がゾクリと粟立った。

「明日は待機ですよね。だから、今日は逃がしません」
そう言った瞬間、テンゾウはカカシを床に押さえつけていた。

そしてカカシの目を覗き込むように視線を合わせる。
「大好きです。先輩」
そう言うと極上の笑みを浮かべる。

キスは、文字通り甘かった。
パスティスに溶け込んだ、香草の甘さだとカカシは思った。
そして、その後、翌日声が枯れるほど泣き叫ぶ羽目になったのが、思い出したくない記憶となった。

甘い誘惑と強い酒にはご用心――。




<了>



Pastis:
リコリス、アニス、ディルなどの香草を漬けた40度以上のリキュール。地中海地方で好まれる