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 お婿にいった四+カカのお話
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ごはんにメイル


2007年02月04日(日)
びとぅぃーん・ざ・しーつ 4)


「な、な……ど……」
「なーに。テンゾウったら。任務ではてんぱったりしないのに。変なヤツ」
いったい、なんの魂胆があって、こんな……。
と聞きたいけれど、声にならない。
っていうか、食べたいなんて言ったことあっただろうか?
自慢じゃないが、食に関するボクの関心は、せいぜいが暗部が利用する定食屋のメニューどまりだ。
だいたい、このお膳、破格と言われる暗部の報酬をもってしても、暗殺任務の1回や2回ではとても、というほど超ウルトラ高いうえ、ふつうに頼んだのではまずお断りされてしまうほどの代物、コネがなければ拝むこともかなわない。何しろ「上得意のための特別」だからだ。

「あー。昔……まだ、四代目がオレの師匠だったときにね。その料亭がらみの任務を請け負ったことがあったんだよ。なんでか女将が気に入ってくれて、『いつでも融通しますよ』なーんて言ってくれて」
なんでか、って……それは先輩の将来性を買ったんでしょう。忍としての資質と、美貌と。ああいうところの女将の目は確かだ。
「たまに任務に協力してもらったり、こっちもお偉いさんの護衛なんかのとき、あそこの仕出を使ったり、ついで紹介したり。ま、もちつもたれつ?」
そこまで言って、先輩はふっと表情を曇らせる。
「もしかして、メシ食ってきちゃった?」
「いえ。メシは食ってきちゃってませんが」
「じゃ、食べよ。おいしいよー、ここの」
ローテーブルににじり寄った先輩が、重箱の蓋をあける。
「いっつも、任務がらみだからさ。オレも味わって食べるの、初めて……あ、この、先付けの山独活の木の実和え……絶品だよ」
ひょいと指先で行儀悪くつまんで、先輩が口に運ぶ。ん、うまい、なんて満足そうにする。
つられるように、ボクも行儀悪く手を伸ばした。
ほんのり青っぽい香りを、こっくりとした木の実の甘みが包んでいて、確かにおいしい。
急に自分が空腹だったことに気づく。
「じゃ、遠慮なく」
ボクは箸袋から割り箸を取り出して、パキンと割る。
厚みのある和紙の箸袋も杉を使った高級割り箸も、普段、縁のない代物だった。

きっと、先輩はボクの気持ちに気づいていた。
今更、自分の出自に傷ついたりはしないが、己の存在が他人に引き金を引かせてしまうことの、苦さを。
だから、こうやってボクの気持ちを引き立てようとしてくれている。
でも、そう言ったとしても、たぶん先輩はとぼけるだけだ。
だからボクは箸を動かし、
「おいしいです」
と言った。先輩はうんうんと頷いて、ビールを飲む。
「先輩、食べないと、なくなっちゃいますよ」
そうだね〜なんて笑いながら、ヒョイと指先で小鯛の唐揚げをつまみ上げる。
淡い朱をはいた小鯛が、先輩の口の中に消える。

すっかり忘れていたけれど、思い出したのだ。
ちょうど、暗部に配属になってすぐぐらいのころのこと。
詰め所で雑談していたときに、「何を励みに生きて帰るか」という話になった。

最初は、真面目な話だったのだ。
もうだめだ、と思うとき。にっちもさっちもいかなくなって、こうなったら自爆したほうが楽だと思うとき。
それでも生きて帰りたいという強い意志を持っていると、不思議と道が開けるという、そんな話だった。
「オレの場合は、子どもだな」
その話をした暗部の先輩は、独身の多い暗部のなかでは珍しい既婚者だった。
「まだ、あいつを残して死ねないと思うんだ」
しーん、とした空気を変えるようにおどけたのが、ボクの同僚。
「そりゃ、子どもだとか恋人だとか、いればいいですけど。オレみたいに、恋もまだ、なんてのは、どうなるんでしょうかね」
「いや、それこそが究極だよ」
「死ぬ前にいっぺん、いとしのなんとかちゃんとやっとけばよかったなぁ、とか」
「いや、オレ。どっちかっていうと食い気だし」
某家の親族とよく間違えられるというデ……ポッチャリ系のそいつは、遠い目をした。
「あ、でも、ありかな。『花散里』のお持ち帰りご膳を食べるまでは死ねない! いや、一度食ったら、きっともう一度食べたくて、絶対、生きて帰ろうと思う!!」
なんだよそれ。いや、やっぱり女だよ、女。そうだよ、子作りってのは本能だから。え〜、本能っちゃ、食欲も本能でしょう。
そんなふうにわやわや、みんなが言い出して、場が賑やかになった。
「ふうん。食べてみたいな」
と、つい声に出したのは、無意識だった。
そこまで同僚に言わせる料理とはどんなものだろうという単純な好奇心からだった。ただ、それだけのことで、それ以上の意味はなかった。
そもそも、異性にも興味はないが、食にも興味がない。
あの場に、先輩はいたけれど、話には加わっていなかった。
でも、聞いていたのだ。聞いていたから――。