晴れ 何度? 昨夏 他課のIさんがコンポステーラを歩かれたのだという噂を耳にしてから ずっと彼女と話をしてみたいなと思っていた。 しかしバリバリのキャリアな彼女にはわたしなどが話しかけるすきなどないばかりか 寄らばはねかえされそうな強いオーラを放っていたのだった。 そんな彼女がコンポステーラを歩いたという事実は不思議な気持ちにさせられた。 わたしがその道を知ったのはシャーリー・マクレーンの本を読んだことからだった。 記憶を辿ればシャーリーの道程はとてもストイックで 日頃一心不乱に仕事に打ち込んでいるIさんがひたむきに歩く姿のイメージと重なって、そう思えばさほど不思議なことでもないのかなと思えた。 先週のいつだったか忘れたが、朝の通勤途上後ろから早足で歩いてくる人をやり過ごそうと歩道脇に寄ったところ、その足音の持ち主はIさんだった。 挨拶をして通り過ぎようとする彼女に 「ご一緒していいですか?」と声をかけた。 彼女はちょっと意外そうにしていたけれどにこやかに一緒に歩いてくれた。 道々その旅のことを尋ねた。 野犬は出なかったの? どんなところに泊まったの? わたしがシャーリー・マクレーンの本でその道を知ったのだと話すと彼女はとても驚いた様子だった。 わたしが彼女に「不思議」を感じたように 彼女もわたしに同じような不思議を感じたのだろう。 けれどそんな話をしながら、日頃殺伐と仕事をこなすだけの関係だったものに柔らかな化学反応が起こったような… ほんの僅かだけれど細い糸がつながったような… 淡雪のような優しいものが間に生まれたような… 何かで読んだ言葉が頭に浮かんだ。 ちょっとしたつながりを持つだけでそれが「癒やし」につながるのだと。 事実そうなのだろう。 ちょっとした挨拶や 思いがけず見つかった共通点がどれだけ日常に安堵をもたらすか… 夕餉は にらと玉子のおじや 胃が疲れている今日この頃。
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