職場の電気・施設の管理をしているセクションに鈴木さんという方がいらっしゃる。 業務は委託されているので業者から派遣でいらしてる方だ。 わたしの所属しているセクションのさまざまなものの転倒防止の装置を付けていただくようにお願いした。 以前は転倒防止の金具がしっかりボルトで固定されていたのだが、レイアウトを変えたり改築工事があったりでいつの間にか転倒防止の装置はぜーんぶ取り払われてしまっていた。 肝心な震災の時には文字通りの無防備な状態で、ああ…こんなものだよねえ…とため息をついたものだ。 で、その鈴木さんとおっしゃる方がセクションにやって来た。 設備にいらっしゃる方たちはリタイアされていてパートで働かれている人がほとんど。 鈴木さんも60代だと思われる。 けれど、その充分おじさんであって当然の鈴木さんは全くおじさんではないし、おじいさんでもない。 すらりと背が高く細身でらして、だからと言って生年とか少年というのでもない… では、鈴木さんはいったいどういうのかと言えばーーー 乙女。 乙女のオーラなのだ。 ゆっくりと密やかにお話になる。とてもとても優しい。 だからといって「おねえ」言葉ではない。 普通に話されているのだがとても静か。 几帳面に叮嚀に仕事をされる。 なんだか清らかな乙女に触れたような気持になった。 きっと鈴木さんの辞書には「やっつけ仕事」などと言う言葉はないことだろう。 おかげさまで安心して職場で働けます。 ありがとうございます、鈴木さん。
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