日々の泡

2010年03月06日(土) カラスとわたし

前にもこの日記に書いたけれど、わたしはカラスが好きだ。
わたしが彼らを好きなのがカラスにも伝わるのか、わたしはカラスのわたしに対する好意を感じて暮らしている。どんな風に好意を感じるのかと言うと、
まず鳴き方 
カラスは電柱から下方のわたしに身を乗り出して、「くわあ…」と優しく鳴くのだ。ほんとだもん。
それから誘導…
視覚障害者であるわたしが通勤で通る道には、もちろんたくさんの障害物があるのだけれど、調子が狂うときは、いつもは難なくクリアする障害物にぶちあたり方向感覚をなくしてしまう時がある。
焦って杖で探っていると、そういえば先程来聞こえているバサバサという羽音にふと気付く… カラスがわたしの左先方へと緩やかに旋回を繰り返している。ああ…そうか…そっちなのね…
わたしは進むべき道を探り当てる。カラスのおかげ。
先日も曲がるべき脇道を通り過ぎてしまい後戻りをしていると、いつも曲がる角の上で子ガラスが「カア…」と鳴いていた。それまでは気配がなかったのに…
偶然と言われればそれまでなのだけれど、わたしはカラスの好意を確信しているのだ。
カラスがわたしによくしてくれるのは、わたしがカラスを好きだからだ。
たとえ餌をやらなくともカラスはわたしがカラスを好きだからわたしに好意を持ってくれる。
わたしはカラスが好きなのだ。そしてわたしの好意を彼らは感じられるのだ。
生き物たちは敵意に関して何より敏感だ。
彼らの生存に関わる問題だから。


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茉莉夏 [MAIL]