2009年12月26日(土) |
ペンギンの憂鬱 アンドレイ・クルコフ著 沼野 恭子訳 |
寒い国のとてもとても寒い冬の話が好きだ。 何十年に一度のひどい吹雪に閉じこめられて 数日間、家の暖炉の前で音楽を聴きながら本とお貸しとに囲まれて過ごすのって素敵っ!と小さい頃、憧れたうつけ者だ。 吹雪の難に遭わずとも寒い夜にほの暗い部屋の絨毯に石油ストーブのオレンジの灯が映るのさえ好もしい。 そんなわたしの好みにぴったりの小説に出会いましたの。 「ペンギンの憂鬱」(Crest books) 著者 アンドレイ・クルコフ著 沼野 恭子訳 ヴィクトルは売れない小説家。アルバイトで始めた死亡記事を書く仕事が思わぬ事件に彼を巻き込んでいく。 って書いてしまうと、ハードなミステリー小説のように思ってしまうかもしれないけど 物語は小さな女の子と鬱気味の皇帝ペンギンの存在のおかげで静かでファンタスティックなムードが全編漂っている。 だけど静かな生活の背後ではしたたかにサスペンスが進行していく。わたしが未だかつて読んだことのない不思議な感じの小説だった。 しかもウクライナの小説。 簡単な文章で語られているけれど、奇妙におかしく微妙に恐い。 とにかくペンギンが可愛いっ! なんだか説明になってないけれどすみません… お詫びにあとがきに紹介されていたペンギンの笑い話を引いてみます。 <警部が車で町を回っていると警官のペトレンコがペンギンを連れて歩いているのに出くわした。 「何をしてるんだね?すぐにペンギンを動物園へ連れて行きたまえ」 「わかりました」とペトレンコ。 こうしていったんは別れたが二時間するとまた別の場所でペトレンコとペンギンに出くわした。警部は怒って怒鳴りつけた。 「さっきペンギンを動物園へ連れて行けって言っただろ?! すると警官のペトレンコはこう答えた。 「動物園へはさっき行きました。映画にも行きました。これからサーカスに行くところです」> ああ… ペンギンかわいい…
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