はぐれ雲日記
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今朝早く原発性肝臓癌のNさんという女性が息をひきとりました。 この二ヶ月は膨れ上がった腹部から腹水を週一回1500〜2000CC抜き取ること。 疼痛の緩和。を中心に治療を行ってきました。 発見されたときにはもう手遅れの状態で当院へ転院されてきました。 やはり皮膚の状態も良くなかったので二日おきに薄い重曹の微温等で体を清拭。 その後オリーブオイルで軽くマッサージ。 オムツのあたっている部分は汚れた都度ていねいに洗浄。二時間ごとの体位交換。 これは病棟の患者様全員に施行しておりますがターミナルケア病棟であるのにそのせいか 褥創のある患者様はひとりもおりません。
Nさんは60過ぎの方ですが元ジャーナリストの経験もあり女性でありながら大学を2つ出ておられて とても元気が良く(お口が)最後まで意識清明、ほとんど苦しまずに亡くなられたのが救いでした。 気分が悪いときはわたしたちスタッフに「このちゃんころ!」「アオソコヒみたいな目をしやがって」 「○○看護師をソッコーで呼んでコイ!」 とか、なかなか日本語の語彙がたいへん豊富な患者様でした(苦笑) 亡くなる三日前には「挽きたてのコオヒイが飲みたい」「マンゴーを・・・」と希望され、なぜかご家族と疎遠な方なのでこちらで入手してお口に運びましたが二、三口で「おいしい。けどもういいや」と。 マーゲンチューブからは珈琲がそのまま流出しておりました。
ご家族より危篤時でも深夜や早朝には連絡しないでください。と言われていましたので 7時から連絡し続けたのですが連絡がとれず、ケースワーカーが引き継いで息子さんの携帯に やっとつながりましたが「今日は行けません。でもいつ行けるかわかりません。」ということでした。
最近は老人社会で少子化がすすみそれぞれのお家で事情もあるでしょうが、こういうケースが 増えてきつつあります。 また、ご家族の経済状態によっては「入院代がかさんでしょうがないのにヨーグルトやプリンなど 嗜好品を食べるなんて贅沢じゃあないか。病衣も週二回も替える必要ない」とお叱りを受けたことも。
「ご事情はわかりました。でもあまり制限されたり必要なこともカットされますと人間としての最低の尊厳も保てない状態になりますので・・・。」 と説明してなんとかご家族にわかっていただいたことも。
夜勤明け。ちょいと足を引き摺り気味・・・。
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