はぐれ雲日記
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2000年11月14日(火) 波照間島絶唱

沖縄県竹富町波照間島のニシハマビーチでひとり旅の女性が殺されるという痛ましい事件があった。
離島とはいえ、沖縄八重山好きな私たちにとっては、リピーターであれ、そうでない人にとっても
波照間という島ははるかなホームグラウンドだと言えると思う。
事件のショックとともに、犯罪によって美しい島と海を汚されたという無念さ、悲しみは沖縄好き人間でなくては
わかり得ないことかも知れない。
あるTV局のレポーターは暗に、一人旅は物騒だというようなことで、殺された側にも責任がある
という風な報道をしていたが、事実を正確に伝えることが仕事であり、私情や感想を述べる立場ではないだろう。

被害者の女性はわざわざひとりで旅立った。
それは仲間や友達と語り合うためではなく、自分自身と対話したかったのだと思う。
都会では毎日毎日うんざりするほどの人・人・人の中で働いていた。
リフレッシュして、また患者さんや家族と笑顔で過ごすための休暇であったことは容易に想像できる。
荒れた海だったそうだが、それでも南の果ての海を見たかったので出かけた。 なんの不思議があろう。

しかし、これからはあのレポーターに象徴されるような、まったく人の立場を理解できない
想像力に欠けた報道関係者やお役人、企業のエリートなどの人々に私たちは遭遇することが多くなるだろう。

それと共に、どんな美しい海を眺めていても心まで美しくなるということは無い。
どんなきれいな場所にも、どんなに人情にあふれた土地でも。
キチガイとドロボーはいるという事実を受け入れなくてはなるまい。
それを踏まえて沖縄、八重山を目指したいし、いままで以上に守って行きたいとも思う。

誰もいない海、 雨の波照間島。 沖縄を愛してやまないひとりの若者が心無い人間によって、その命を絶たれた。

平成12年10月30日寂。     被害者のご冥福を心よりお祈りいたします。


鈍角 |MAIL

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