歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2009年07月28日(火) 知識、技術、経験、センス、度胸、そして忍耐

先日、先輩の歯医者S先生と話をしていました。S先生は非常に懇意にしている先生の一人で、最近の僕が感じていること、疑問に思ったこと、悩みなどを包み隠さず話をしました。
黙って僕の話を聴いていたS先生は、歯医者として必要な六つの要素を端的に示して下さりました。その6つとは、知識、技術、経験、センス、度胸と忍耐でした。

歯医者として多くの患者さんに接し、認められ、生活をしていくには不断の努力が欠かせません。僕自身、歯医者としての専門知識を学び、技術を習得し、経験を積むことに異論はありませんでした。
センスに関してはどうだろう?自分を振り返ると、一流の歯医者としてのセンスは無いだろうと思います。僕は決して器用なタイプではありませんし、多くの歯医者を唸らせるような技も持っていません。ただ、優秀な人を真似ることはできますし、優秀なレベル人が持つセンスを垣間見ることはできます。優れたセンスを身につけるために努力することは可能だと信じています。
何事も新しいことを行う際には、それなりの覚悟がいります。医療の分野では特にその面が強いものです。また、ある程度のリスクがある患者さんを治療する場合、念入りな準備をし、何度もシミュレーションを行い、万全の態勢で治療を行うよう準備をしていたとしても、いざ治療の本番となると緊張するものです。
一歩踏み出す度胸、思い切りの良さが求められることが非常に重要なことは明白です。

最も僕にとって耳が痛かったのが忍耐でした。常日頃、自分の思い通りにならないことに直面します。治療そのものであったり、患者さんとの話、予約状況、スタッフとの意思疎通が充分でなかった時等々、僕はついつい感情的になってしまいます。時には言葉を荒げてしまうこともあり、後になってから反省しきりといったことを繰り返しています。
そんな僕にとって忍耐という言葉は非常に重いものでした。どんなに自分の思い通りにならなくても、裏切られたとしても、約束が反故にされたとしても、常に淡々とし、泰然自若、ポーカーフェースでいること。自分の感情を表に出さず、常に冷静沈着に適切な言動ができること。

非常に難しい課題です。どんなに優秀な技術、たくさんの知識、経験を積み、度胸があり、センスがあったとしても、忍耐が無ければ全てが台無しになるというS先生の指摘に言葉を失ってしまった、歯医者そうさん。

本当のかかりつけ歯科医になるにはまだまだ道は険しいものだということを実感した瞬間でした。


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