歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2009年07月13日(月) 頬杖は歯並びを変える?

昨日、地元歯科医師会で講演会があり出席してきました。日曜日という休日にあった講演会ではあったのですが、非常に興味深い講演会でした。内容としては何気ない生活習慣がかみ合わせや歯並びに影響を与え、これら習慣を変えない限り、いくら治療をしても効果がでなかったり、不定愁訴が無くなることはないというものでした。

実際に講師の先生が見せたいくつもの患者さんの治療例を見るにつれ、講師の先生が指摘されることは説得力が増し、会場で聴講していた人たちは皆一様に驚きを隠しきれずにいたのが印象的でした。
何気ない、頬杖やうつ伏せ寝、横向き寝、唇の巻き込みやショルダーバッグの掛け方などが姿勢に影響し、その結果として顔の形やかみ合わせ、歯並びも変化をする。歯医者は口の中だけを見るだけでなく、全身をくまなく見ることをもっと習慣付ける必要があることを力説されていました。

以前から何気ない生活習慣が歯並びやかみ合わせに悪影響を与える話は伝え聞いていましたし、僕自身、これまで診てきた患者さんの中にもそのような可能性があるのではないかと思う方もいました。ただ、これほどまでに日頃の何気ない、しぐさや生活習慣が体の健康面に影響を与える可能性があるとは思いませんでした。これは基本的には患者さんの問題ではあるのですが、ほとんどの人が気が付かないもの。それを指摘し、患者さんに生活習慣の改善を求めていくことも歯医者の役割であることは確かなことでしょう。

普段の何気ない生活習慣を変えることは難しいことです。昨日の講演会でも一度や二度指摘し、生活習慣が変わったと思っても気を抜いていると直ぐに元に戻るケースがいくつも紹介されていました。毎日の歯磨きを変えることも難しいものです。ましてや長年の頬杖や寝癖、姿勢などを変えることは非常に苦痛であることでしょう。
ただ、これまで不定愁訴だと思われ、治療が困難であったことの原因の一つに何気ない生活習慣が影響を及ぼしていることがある場合は、生活習慣を変える努力を患者さん自身が自覚し、何が何でも変えるという強い気持ちを持ち続けないといけないようです。そういった意味では、生活習慣の改善は医者、歯医者の治療ではなく、患者さん自身の問題、患者さん自身が自分のために行う治療とも言えるかもしれません。


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