2009年07月10日(金) |
最近の子は足が長くなったか? |
ある程度の年齢を重ねると、自分たちよりも若い世代の人に対して
「最近の子は・・・・」 「今の子は・・・・・」 「昔は・・・だった」 といった言葉を口にする機会が多くなってくるかもしれません。自分たちのライフスタイル、考え方、行動などが若い世代のそれと異なることが多いからでしょうが、中には本当だろうかと思いたくなるようなこともあります。
以前からよく耳にしたこと一つに 「最近の若い人は足が長くスタイルが良くなった」 という言葉があります。一見すれば何となく賛同できそうなこれらの指摘ですが、果たしてこれが本当なのだろうか?以前から僕は素朴な疑問を持っていました。
そんな疑問が氷解したのは昨日のことでした。 僕は学校歯科医を務める地元小学校の学校保健委員会に参加してきました。今回の学校保健委員会では6月までに行われた生徒たちの定期健康診査の結果が報告されました。僕が担当した歯科検診の結果も報告され、コメントを述べてきたのですが、その際、養護教諭の先生が提出した参考資料の中に身長に占める足の長さの割合という資料があったのです。
この資料は平成20年度と昭和53年度における5歳から17歳までの各年齢に身長に占める足の長さの割合をパーセントにしたものでした。どの調査の出典かを確認できませんでしたが、厚生労働省が行ったある調査を基にした結果だそうです。 どうしてこのような比較をしたかといいますと、平成20年度に対し昭和53年度というのは概ね親の世代だということを前提に調査されたとのことです。足の長さに関しては、身長から座高を引いた値を足の長さにしているとのこと。
さて、その結果ですが、以下のようになりました。 6歳 昭和53年度 44.0% 平成20年度 44.3% 12歳 昭和53年度 46.7% 平成20年度 46.7% 15歳 昭和53年度 46.9% 平成20年度 46.7% 17歳 昭和53年度 46.6% 平成20年度 46.2%
全身に占める足の長さの割合は昭和53年度と平成20年度ではほとんど変わらない、場合によっては昭和53年度の方がごくわずかながらも平成20年度を上回っていることがわかるのではないでしょうか。 もちろん、このような結果には個人差があります。データの偏りもあります。全国の平均値ですので、各地域によって差があるかもしれませんし、平均値で比較するのは無理があるかもしれません。 ただ言えることは、常日頃世間で言われているようなことではない可能性が高いということです。すなわち、今の若い世代は決して足が長くなったわけでもないという事実です。 その一方、身長は毎年増えていっているのは事実のようです。
11歳での身長は 明治33年 127.9センチ 大正14年 130.0センチ 昭和14年 132.9センチ 昭和23年 130.4センチ 昭和40年 138.5センチ 平成元年 144.3センチ 平成19年 145.1センチ
若い世代は確実に身長は大きくなり、その結果として足の長さは長くはなっているが、身長に占める割合としての足の長さは長くなっていないというのが実態のようです。
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