歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2009年05月26日(火) 何のための厚生労働省だったのか?

いろいろなシステム、仕組み、機構というのは充分に練り上げて作り上げたつもりでも、時間の経過とともに時代の変化についていけなかったり、現状にそぐわなくなってきたりするものです。その都度、臨機応変に対応し、システムの部分的変更や場合によっては抜本的改革が必要な場合もあるでしょう。
今回の厚生労働省の分割案も昨今の厚生労働行政の多様化、複雑化があり、一つの省で行うには限界が生じてきたことが背景の一つとして挙げられるかもしれません。

最近、話題になっているこのニュースです。以下このニュースの引用です。

読売新聞
麻生首相が意欲を示している厚生労働省の分割に向けた政府内の調整が25日、スタートした。
 河村官房長官、与謝野財務・金融・経済財政相、甘利行政改革相は同日、首相官邸で協議し、週内に厚労省分割の素案をまとめる考えで一致した。6月にまとめる「経済財政改革の基本方針(骨太の方針)2009」に具体案を盛り込む方針も確認した。
 甘利行革相は協議終了後、記者団に、「政策的な整合性と、閣僚が責任を負えるキャパシティーの観点から(厚労省のあり方を)見直すということだ」と述べた。
 26日には、河村氏ら3閣僚に舛添厚生労働相、小渕少子化相、塩谷文部科学相が加わって協議する。
 首相は、厚労省所管の医療・介護・年金などを「社会保障省」に、雇用、保育行政や内閣府所管の少子化対策などを「国民生活省」に再編する案を示している。文部科学省所管の幼稚園と、厚労省の保育所を統合する「幼保一元化」についても検討を指示している。河村長官ら関係閣僚は「首相の方針に沿って素案をまとめる」(政府筋)予定だ。
 ただ、分割論議は各省庁の利害に複雑に絡んでいるため、官僚の抵抗で一筋縄ではいかない可能性もある。


省庁再編が行われたのは2002(平成14)年、今からたった7年前です。行政改革の一端として、組織のスリム化、効率化を図るために行った省庁再編だったはず。その省庁再編の代表例の一つが旧労働省と旧厚生省が合併した厚生労働省だったはず。それがたった7年で分割の対象となる。一体何のために厚生労働省を再編したのか理解に苦しみます。

確かに省庁再編後、各省庁の中には時代の流れに対応できない点が多々あることでしょう。それは組織の宿命かもしれません。しかしながら、厚生労働省の場合、果たして旧労働省と旧厚生省を合併させる必要があったのか僕は疑問に思います。あまりにも複雑な業務を一つの省に統合させるのは組織のスリム化というよりも機能麻痺に陥らないか危惧さえありました。
実際のところ、日本で一番忙しく、押し迫る様々な危機に直ちに対応せざるをえない省の一つは厚生労働省であることは明白です。昨今のインフルエンザの件から薬害肝炎、年金問題等々、大臣である舛添大臣自身も“体が二つないと充分な対応ができない“と嘆くほどです。

僕はこのようなことは省庁再編当初から大いに予想されていたことではないかと考えます。それを行政改革の一端として、当時の小泉政権が推し進めたのが省庁再編。果たして、省庁再編に際し、充分な考察があったのでしょうか?単なるパフォーマンスに過ぎなかったのであれば、そのほころびが今回の厚生労働省分割論議に至ったと言わざるをえないと思うのです。最初から労働省と厚生省との統合は無理があったのではないか?

強引に統合したのであれば、税金投入の無駄となり、そのつけは国民が払うことになります。一見、格好良く見える省庁再編でしたが、たった7年で分割されるような省庁再編は、呆れてモノが言えません。選挙目当ての改革だと言われても言い訳できないように感じた、歯医者そうさんでした。


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