2009年03月06日(金) |
歯ブラシを強く押し当てていませんか? |
患者さんに歯磨指導をする際、いろいろと患者さんに確認することがあるのですが、ほとんどの患者さんが毎日歯を磨くと答えます。一日の歯磨き回数にはばらつきがありますが、最近では一日に複数回、歯を磨かれる方が多いようです。これは厚生労働省が6年に1度発表している歯科疾患実態調査という調査結果にも反映されています。もはや日本では歯磨き習慣は定着したということが言えるでしょう。
それでは、歯磨き習慣が定着したからといって歯磨きがきちんとできているかといいますとこれは別問題です。先ほど書いた歯科疾患実態調査では国民の8割以上が歯周病であるという調査結果も報告されています。この歯周病、歯の汚れとの相関関係が証明されています。むし歯の場合、歯が汚れていてもむし歯にならない場合があるのですが、歯周病は歯が汚れていれば程度の差はあれ歯周病になるのです。国民の8割以上が歯周病である背景には、歯の汚れが多いに関係しています。歯磨き習慣が定着しているのに国民の8割以上が歯周病であるという事実。これは、歯磨きで歯の汚れをきちんと取り除いている人が少ないかということを物語っています。
どうして歯磨きで歯の汚れを取り除けていないのか?いろいろと理由はあるのですが、僕が患者さんの歯磨き指導をしていて感じることは、歯磨きの際、歯ブラシを歯に強く当てている人が多くいるということです。
今は使用する機会は少なくなりましたが、皆さんは箒を使用された経験はあると思います。箒を使って掃除をする際、箒を強く押し当てて掃除をしてもうまく汚れを取り除くことはできません。箒の毛を曲げないように軽く当てながら掃除をして初めて汚れを取り除くことができるものです。 歯ブラシもこの箒と同じです。歯ブラシで歯の汚れを取るのは毛先です。歯ブラシを歯に強く当てると毛が寝てしまい、毛先が全く当たりません。そうなると歯の表面の汚れが取れなくなります。軽く歯ブラシの毛先を当て、毛の弾力を利用して歯磨きをするのです。必要以上に強く磨くと歯の汚れは取れないどころか歯や歯肉を傷つけることになり、何のために歯を磨いているのかわかりません。
ゴシゴシ歯を磨くという言い方がありますが、この“ゴシゴシ”という表現は良くないかもしれませんね。“ゴシゴシ”というと、誰もが力を入れるイメージを想像してしまいますから。とにかく、歯を磨く際には、歯ブラシは軽く歯に当てて掃除をする。これが歯磨きの基本の一つです。
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