2009年02月19日(木) |
むし歯は確実に減少している |
昨日、某歯科業界雑誌を見ているとある調査結果が出ていました。その調査とは平成20年度学校保健統計調査速報。これは毎年文部科学省から発表している調査で、毎年学校で行われている定期健康診断の調査結果を元に集計したものです。
この中で僕が注目したのは12歳児のDMF歯数の値でした。DMF歯数とは、平たく言えば、むし歯になった永久歯の本数のことです。12歳児というのは小学校6年生が該当し、乳歯が抜け落ち永久歯と生え代わった時期でもあります。子供における歯の衛生状態を知る指標の一つとされ、世界的にはWHO(世界保健期間)が目標値を定めている値でもあります。 過去の値は以下のようなものでした。ちなみに毎年データは公表されていますが、ここでは5年毎のデータを示します。
平成元年度 4.30 平成5年度 4.09 平成10年度 3.10 平成15年度 2.09
そして、今年度である平成20年度は1.54でした。 過去20年間で小学校6年生の永久歯のむし歯の数がほぼ3分の1に減少したことがおわかりかと思います。
このことは毎年小学校で歯科検診をしていても実感します。永久歯がむし歯であると判定することが少なくなりました。地域や学校間に多少の差はありますが、総じてむし歯は減ってきているように思います。このことは、歯医者をしていても感じます。最近、子供のむし歯で治療をする機会が減ってきました。子供の患者が多い歯科医院でもむし歯の治療で受診するというよりはむし歯予防のために受診するケースが増えていているようです。 うちの歯科医院でも子供の患者を治療する機会が減ってきました。元々、人口が少なく少子高齢化が進んでいる地区ではありますが、それにしても小学校でむし歯の治療勧告を受けて受診するような子供そのものが減ってきています。
子供のむし歯の減少は将来の大人のむし歯の減少にもつながります。大人になるにつれてむし歯の本数は増えていく傾向にあるのですが、子供時代のむし歯が減少すれば、大人になってからのむし歯の数も自ずと減少してきます。
かつて日本ではむし歯の洪水と呼ばれた時代がありました。今のように歯医者が少なかった時代、老若男女むし歯をたくさん持っている人が多く、限られた歯医者になだれ込むように受診していた時代があったのです。それくらいむし歯が多かったのですが、今では小学校6年生で永久歯のむし歯の数が平均で1.5本程度となったのです。 どうしてこのように減少したか?いくつか理由があるとは思いますが、やはり学校での定期検診による効果、そして、歯磨きをはじめとしたむし歯予防の実践が世の中に浸透してきたことが大きいでしょう。この傾向が今後も続くことを望みたいですね。
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