歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2009年01月28日(水) きれいな字を書きたい

人は声でお互いの意思疎通を図っていましたが、長い歴史の中で文字を発明し、発言内容を記録したり、より多くの人に伝承する手段として用いるようになりました。その根本は人が書く文字でした。その後、印刷技術の向上により活字が生み出されましたが、それでも字は人が書くものだったのでした。ところが、ここ10数年のパソコンやインターネットの普及は字を書かなくても文を伝えることができる劇的な変化となっています。
かくいう僕もこうやって“歯医者さんの一服”日記を“歯医者さんの一服”日記はパソコンを通して書いています。書いているというのは正確ではないかもしれません。パソコンを用いて文字を打ち込んでいるといった方が正しいですね。

僕の日常生活を振り返ると、僕は一日の一定の時間、文字を書いています。それはカルテに記入することです。最近では電子カルテといってパソコン上にカルテがあり、キーボードを利用して打ち込んでいくタイプのカルテが主流になりつつありますが、カルテに関して僕はまだまだアナログ派です。限られた診療時間内で必要なことを書くには、まだ手書きのカルテの方が使いやすいのがその理由です。今後のカルテのデジタル化の世の流れから考えると、僕も今後はカルテも電子カルテ化していかないといけないかもしれません。

いつも書いているカルテですが、自分のカルテを見る度に幻滅することがあります。それは自分が書いている字が年々下手くそになってきていることです。
元々、僕は字が上手ではありませんが、上手でないなりにそれなりのバランスを取り、他人が何とか読むことができる字を書いてきたつもりです。ところが、その文字が徐々に崩れてきているように思うのです。限られた診療時間内に患者さんの治療内容を書くことは結構大変なことではあります。そのため、どうしてもカルテに書く文字が殴り書きになる傾向にあるのです。
ただし、いくら書く時間が限られているからといってもカルテは自分の日記ではありません。僕のみならずスタッフも読みます。そして、患者さんの求めがあれば患者さんにも公開しないといけない公文書の一種でもあります。それを他人が読めないような乱雑な字で書かれているとすれば、大きな問題です。
そういった意味で僕は字をきれいに書く人がうらやましく思います。人が書く字はそれぞれで個性があるものですが、僕の知人の何人かは実に丁寧なバランスが取れたきれいな字を書かれます。字が汚い僕からすれば実にうらやましい。どうしたら字がきれいになるのだろう?

そんなことを思っていた昨日のことでした。我が家にある郵送物が届きました。送り主は僕が某歯科大学学生時にお世話になったベテラン歯科衛生士Kさん。Kさんは、僕が某歯科大学の臨床実習時に何もしらない僕をいろいろと手取り足取り世話をしてくれた恩のある歯科衛生士でした。このKさん、実は歯科衛生士以外に別の顔を持っていました。それはプロの書道家。歯科衛生士をしながら書道も行い、何度も個展を開くぐらいの実力の持ち主だったのです。Kさんとは某歯科大学卒業後も交流があったのですが、そのKさんから送られてきた郵送物の中身にはペン習字の教則本が入っていました。書いたのはもちろんKさん。

“この度、初めてこのような本を書きました。字がきれいだと得をすることが多いもの。お忙しいとは思いますが、是非活用して下さいね”

Kさんが書かれた手本の文字がたくさん書かれているペン習字の本。見ているだけで心が洗われるような美しさです。これくらいきれいに文字が書ければ楽しいだろうなあ。ここまでかけなくても、少なくともお手本にして少しでも乱れた自分の字をきれいにしたい。これは是非ペン習字を始めないと罰が当たるなあ。そんなことを感じた、歯医者そうさん。Kさんに感謝です。


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