歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2009年01月22日(木) いつまでも生え代わらない乳歯

僕は時々自分の子供の口の中を診ることがあります。僕の子供は10歳と7歳なのですが、さすがこの年齢になると自分で歯を磨くようになっています。けれども、この年齢は乳歯が永久歯と生え代わる時期。長い人生の中でも最も大きな変化の時期とも言えるでしょう。特に永久歯は生えてきた時はまだ未完成で、むし歯になりやすい時期でもあります。また、歯並びのチェックも必要で場合によっては歯の矯正治療が必要な場合もありえます。僕は親として自分の子供たちの歯には責任を持ちたいと考えていますので、定期的に彼らの口の中をチェックするようにしています。

ところで、乳歯が永久歯と生え代わる時期ですが、概ね小学校の間で生え代わるものです。もちろん、個人差はあります。中には、特に女の子の早熟な子の場合には既に小学校の4年生くらいで全ての乳歯が永久歯と生え変わっているようなこともあります。
その一方、高校生になっても乳歯が残ってまだ永久歯と生え変わっていないような子もいます。親御さんの中には子供の永久歯への生え代わりが遅く、心配される方がいらっしゃいます。このような場合、現状を知るにはレントゲン写真が一番です。永久歯がどのような位置にあるのか一目瞭然なわけですから。乳歯の真下にあり、間も無く生え代わる位置にあるのか、骨の中で埋もれたままか、生え代わる位置がずれているのか、それとも、永久歯が存在しないか?各々の状況に応じて対策を考えていけばいいでしょう。

先日、60歳代の患者さんが来院されました。定期検診を希望で来院された患者さんだったのですが、口の中を診ていると、僕はあることに気がつきました。それは、上の歯の一本に乳歯が残っていたからです。第二乳臼歯と呼ばれる乳歯で、本来なら第二小臼歯という歯と生え代わる歯なのです。僕はレントゲン写真を撮りました。結果は本来生え代わるべき第二小臼歯が存在しませんでした。すなわち、この患者さんは生まれつき第二小臼歯が作られなかったのです。
このようなケースは時々あります。生え代わるべき特定の永久歯が無い方はまれにあるのです。このような場合、どうするか?基本的には乳歯はそのままにしておきます。状況によっては乳歯の根っこが小さくなり動揺が激しくなってきたりしますが、患者さんが気にならず、機能として問題なければ、なるべく乳歯を残しておくのが基本です。
今回の患者さんは自分の歯の一本が乳歯であることは全く気がついておられませんでした。僕は現状を説明した際、この事実を伝えましたが、患者さん曰く
「私はこんな年齢になっても優柔不断なところがあるのですが、今日その理由がわかりましたよ。乳歯が残っていたからなんですね。ハハハハハ・・・・。」

口の中の管理が行き届いていたこの患者さん、乳歯にはむし歯一つ無く、根っこもしっかりしており、治療を必要としない健康そのものでした。おそらく一生この乳歯とお付き合いすることになることでしょう。


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