平成20年(2008年)も残るところ後僅か。思い起こせばいろいろとあるのですが、僕の意識としては昨日正月明けだったのではないかと思いたくなるような感覚です。充実した時間を過ごしていたといえばそうなのかもしれませんが、年を追うことにこの感覚が加速しているような気がしてなりません。これも加齢現象なのかもしれません。
あっという間に過ぎていった今年一年ですが、日記を書いているうちに一つ思い出したことがあります。それはある仕事の引継ぎでした。地元歯科医師会のある仕事を僕は先輩の先生から引き継いだのです。世代交代をしなければいけないという会長の一言で、僕が指名を受け、仕事を引き継ぎました。 仕事を引き継ぐこと自体、異論は無かったのですが、問題は引継ぎ作業そのものでした。前任の先輩先生曰く、 「わからないことがあったら何でも聞いていいよ。」
この言葉だけ聞けば、何とも良心的な思いやりのある人だろうと思い勝ちですが、僕はそうは思いませんでした。なぜなら、引継ぎでこの先輩先生から口頭で直接説明を受けた機会は一度もなく、引継ぎ事項が手書きの紙切れ一枚だけだったからです。しかも、この紙切れに書いてあった内容は僕が知っていたことばかり。実際の詳細な引継ぎ事項、暗黙の了解事項などは一切書かれていなかったのです。 僕は何度となくこの先生に確認を取ったことがあったのですが、回答はいつも 「わからないなあ。好きなとおりにしたらいいよ。」
この先生、僕が引き継いだ後も全く様子を見ることはなく、放置されていました。非常にいい加減な引継ぎとしかいいようがありません。
引継ぎは事務的なことばかりではありませんでした。負の引継ぎもあったのです。 ある関係者に引継ぎの挨拶をしたところ、その関係者の口調は非常に重く、明らかに好意的ではありませんでした。後日わかったことですが、先輩の先生の仕事ぶりがいいかげんで愛想をつかしていたとのこと。関係者とのわだかまりを解くことに今年一年の時間を割いたと言っても過言ではないくらい気を遣いました。
僕はこの先輩の引継ぎを反面教師としました。改善すべきところ改善し、悪しき習慣は徹底して取り除く。非常に手間ひまがかかりましたし、今もって完全なものとは程遠いとは思いますが、僕をサポートしてくれるメンバーの助けの下、引継ぎを何とかこなしたように思います。
引継ぎというのは大切なことのはずなのですが、前任者がいい加減だと後継者が苦労をします。また、前任者が素晴らしくても後継者がいい加減だとこれも大変です。世の中の不祥事と呼ばれていることのいくつかはこの引継ぎがいい加減にされているが故に生じているのかもしれない。そのようなことを身を持って知った一年だったかもしれません。
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