2008年08月22日(金) |
仕事の引き際を考える |
今月初め、僕が所属する地元歯科医師会の先輩の先生、H先生が急死されました。今年に入ってから体調がよくなく、自分の診療所を休診とし、治療に専念されていたのです。伝え聞く話ではかなり体調がもどってきて、間も無く自宅療養ができるとの話だったのですが、病態が突如急変し、帰らぬ人となったのです。
僕は通夜に参列させてもらったのですが、H先生と親しかった先生から話を聞くと、H先生は以前から60歳を過ぎれば徐々に持ち患者数を減らし、そろそろ完全に歯科医院を閉院しようとしていたそうです。ご子息もいたようなのですが、ご子息は歯科医師になることはなく某企業で務める会社員なのだとか。跡継ぎもなく、趣味人であったことから歯科医院を閉院後は、趣味に生きて悠々自適の生活を過ごそうとしていたのだとか。 その途中、思わぬ大病にかかり、病気療養中だったのだそうです。
このことを訊くと、僕はいつまで仕事をすればいいのだろうか?と考えてしまいます。個人開業の歯医者の場合、会社や役所に勤務している方と同じように定年というものがありません。基本的には自分の意思で好きな時に引退することができるのです。極端な話、命ある限り引退しなくていいのが個人開業医であるわけですが、それ故、仕事に一途な人が多いのも事実です。
僕の親父などはその典型です。今年喜寿を迎えたうちの親父ですが、昨年、大病をしたこともあり、以前に比べれば勤務時間は大幅に減少しましたが、それでも一日に必ず診療所に出て来ては患者さんの治療をしています。昔からの馴染みの患者さんが中心ではありますが、それでも、好きなことを言いながら悠々自適に治療をしている姿を見ていると、これは下手に引退勧告をしない方がいいなあと思わざるをえないのです。
退職後の一日の過ごし方がわからず、四苦八苦する人が多いという話を聞きます。昨今の少子化のことを考えると、将来、社会を背負う人たちの数が少なくなってくるのは事実です。現役時代、仕事に専念してきた人はどうも自分の仕事を取り上げられると、もぬけの殻になってしまうような人が多いことを考えると、多少給与が低くなったとしても、死ぬまで働くというライフスタイルが、結局のところ、健康維持にいいのかもしれない。 地元歯科医師会のH先生の葬儀に参列して、そのようなことを感じた、歯医者そうさんでした。
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